第八話:モンスター闘技場
次にこの大量に増加したポイントの使い道である。
いろいろやらなければならないことは多いが、まずはポイントがたまってから行うつもりだった計画を早めることにする。
最初に道具召喚から50P消費しキッチンを設置する。
設置したキッチンの大きさは3×6mの空間で、中には冷蔵庫や電子レンジ、オーブンなども備えついてあり、塩コショウなどの調味料や調理道具までも完備されてあった。
ただ、予想していた通りにお米やパンといった食材は冷蔵庫にも入っていない。やはり食材は自分で取ってこいということなのだろう。
次にダンジョン作成で20×20の空間を作成し、名前付のコボルトを新たに9匹召喚した。
今回はこのコボルトたちに武器を装備させるわけではなく、先ほど獲得した大きめの袋を装備させた。
そして今回の命令は残りのコボルト10匹に、
「人間に見つからないように、ダンジョンの外から今いる農場部屋に土を運んで来い。人間に見つかった場合はダンジョンの場所に気づかれないように戻ってこい。」
掘る場所は少し遠めの場所を指定した。今回の計画は農作物の作成である。
ダンジョンを掘ることができなかったため、そのまま種を植えても意味がない。
なので、ダンジョン内に土を運び、その土で農業を行うことで農作物を作成しようと考えている。
スコップがあればなおさらよいが、ダンジョンクリエイトで召喚した道具は外に持ち出すことができない。
つごうよく外に落ちていることもないので、今回はコボルトの手と爪がスコップの代わりだ。
今回の計画で計490Pを消費した。これ以外でも、まだまだ実験したいことは山積みである。
スライム以外のモンスター全てをダンジョンの外に出してしまったので、戦力アップのために召喚できるすべてのモンスターを1匹ずつ【No Name】で召喚した。
というのは建前で本来は実験のためである。今回の実験はモンスター闘技場である。5×5の部屋を作り、全てのモンスターをそこにいれ、命令する。
「闘技場部屋にいるすべてのモンスターを殺せ。ただし、復活したモンスターは戦いに参加せず端にいろ。殺し終わったらドアの前で待っていろ。」
モンスターの実力を確かめるのは大事なことだ。
ポイントを大量に消費したのにもかかわらず、案外強くはなかったなどがあるかもしれないし、グループにした時の連携相性など調べることはたくさんある。
まぁ、他には娯楽っていうのもあるのかもしれないけど…。
まぁ、ほんの少しだけだけど…。と心の声を漏らしながらルナのところに駆け寄る。
「新たに闘技場部屋を作って、全てのモンスターを戦わせているんだけど、ルナはどれが勝つと思う?」
「難しい質問ですね。以外にスライムかもしれませんよ。」
「スライムは絶対にないよ。僕は絶対ベビーサタンだと思うんだけどな。」
そんな話をしながら1時間が経過したくらいのところで、闘技場の結果を確認する。
誰が優勝しているか楽しみにしながらゆっくりとドアを開けると、そこにはスライムが堂々と待ち構えていた。
「えっ!まさかスライムが…。そんなことは絶対にありえないはずなのに…。」
思わず叫んでしまった
しかし、中をのぞいてみると真ん中にコボルトがいる。おかしいぞ。負けたものは端にいろと命令したはずだが…。
わけがわからず考え込んでいると、ゴブリンが魔方陣から復活した。
そしてそのゴブリンは端に寄らず、堂々と真ん中に居座った。
どうやら「勝ったらドアの前で待て。や、負けたら端にいろ。」は【No Name】にとっては高度な命令だったようだ。
結局のところスライムが勝ったのかコボルトが勝ったのかは謎のままだった。(後々気が付いたことだが、ステータス確認を行っていればHPが減っていた方が勝ちということが分かったはずだった。しかし、そのことに気が付かず、一日中ルナに勝ち誇られた顔をされている気がした。まぁ、気のせいだとは思うが。)
~ルナside~
今日ダンジョンが解放された。
これからはいつ冒険者たちが襲ってくるかわからない。
マスター様は襲ってこない自信があるみたいだけど。
どんな強い冒険者が来たとしても、絶対マスター様は守って見せる。
ただぁ…。闘技場で戦いをした後から、マスター様が落ち込んでいたのはなぜだろう…。
~ルナside完~