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第七話:外の世界

 外は日の光が温かく、どうやら季節は夏のようだ。


 周りは森林に囲まれているため、遠くまでは確認できないが、近くには人の気配はない。


 少しだけ張っている気が緩まる。腕を大きく広げ息を吸う。久々に外に出たせいか、空気がとてもおいしい。


 ここで初めて、自分が異世界で生きていることを実感した。


 当面の安全を確認したところで、自分たちが装備していたものが消えていることに気が付いた。


 どうやら道具召喚したものを外に出してしまうと消えてなくなるみたいだ。


 これで事前に装備していた7Pが無駄になったようだ。


 そしてもう2つわかったことがある。


・ダンジョンの外ではダンジョンクリエーターが使えないこと。


・自分たちのダンジョンは洞窟だったこと。


 前者は残念だったが、後者はうれしい発見だった。


 事前にルナからダンジョンは塔や城などもあると聞いていた。


 もし、人工的に作られたものであれば誰かに発見されるリスクが高い。しかし洞窟であれば発見はされにくい。


 一番懸念していたことが解決されたが、絶対に発見されないということではない。


 ここにはトナカイ狩りをする人間がいる以上、いつ見つかるかはわからない。緩まっていた気をもう一度締めなおした。


「もう少し奥を確認してくるよ。ルナは僕が戻るまでダンジョンを守ってくれるかい?」


「わかりました。十分にお気を付け下さい。」


 僕はルナにダンジョンのことを任せ、コボルト2匹をつれてさらに奥への偵察に出た。

 

 広がる森林は寒い地域のせいか針葉樹林が多く、歩きを邪魔するような大きな草などはない。

コボルトを先頭にし、周りを警戒しながらゆっくりと歩く。20分程度歩いたところで何かの気配を感じたのかコボルトの足が止まった。


 相手に気づかれないよう恐る恐る近づいてみると、4匹のウルフがいた。初めての敵対モンスターに緊張が走る。


 ウルフたちは何かを食べているところだった。何を食べているかはわからないが、おそらくトナカイなのだろ。


 これ以上近づくと気づかれる恐れがあるため、コボルトに回り込むように指示を出す。


 このまま気づかれないうちに戻ることも考えたが、ウルフならステータス上こちらが有利なのはわかっている。


 いつか来る冒険者撃退の練習もかねて戦闘することに決めた。


 コボルトが裏に回ったことを確認し、先制攻撃のファイアを撃つ。


 食べ物に夢中なウルフはファイアに気付かず1匹を仕留める。


 臨戦態勢に入ったウルフだったが、すぐさま後ろからコボルトが爪と噛みつきで襲いもう1匹を仕留める。


挟み撃ちされた残りの2匹は逃げようとしたが、ファイア2発で全滅させた。


それにしても、楽にウルフを殲滅することができた。思っていた以上にウルフの素早さが低い。


ステータス上は僕と同じDEXだったはずなのに。僕が撃った魔法がすべて当たるとは…。


 こうして、この世界に来て初めての戦闘を無事勝利で飾ることができた。


 今回の戦いでわかったことだが、野生のモンスターが死ぬと地面に魔方陣が描かれ魔方陣とともに消えるということだった。


 おそらく、このウルフたちはもともとダンジョンのモンスターだったのだろう。


 確か本にも『ダンジョンマスターが死んでしまった場合、名前付モンスターは破壊されてしまう。』と書いてあった。


 つまり、ダンジョンが破壊されると【No Name】は野生化してしまうのだろう。これなら、ウルフたちが遅かったことに説明がつく。


 いろいろな可能性を考えながらあたりを見渡すと、人間の死体が2体あることに気が付いた。


 おそらくウルフたちが殺したのだろう。


 死体の近くを調べてみると剣が2つと大きめの袋が5つ落ちていた。


 中を確認すると血の付いた袋や穀物が入っていた痕跡のある袋だったので、おそらくこの人たちは食べ物を運んでいる最中に襲われたのだろう。


 剣と袋は戦利品としてもらっておくことにしよう。


 再び探索に戻り、だいたいこの辺の地理がわかったので、1時間くらいかけての探索を終了しダンジョンに戻ることにした。


 ダンジョンに着き、ルナに確認する。


「ダンジョンは大丈夫だったかい?」


「誰も来ることはありませんでした。マスター様は大丈夫だったでしょうか?」


 探索での出来事をルナに説明する。少し心配したような表情だったが、無事だったことを確認するとほっとした表情に戻っていた。


 ちなみに戦利品はステータス確認で調べることができ、二本とも古びた剣だったのでコボルトに装備させた。


 探索の結果、当面の危険がないことが確認されたので、剣を装備しているコボルトとウルフ6匹に新たな命令を出す。


「人間に見つからないように、連携しトナカイを狩って戻ってこい。人間に見つかった場合はダンジョンの場所に気づかれないように戻ってこい。」


 コボルトたちは命令を理解し、すぐさまダンジョンの外に向かった。


 先ほどの探索でウルフたちがトナカイを食べているところを見て、確信を得ていた。


 これである程度の食糧問題が解決できるはずである。コボルトの召喚とダンジョン解放により大幅な出費をしたが、結果的に692Pの増加になった。


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