第五話:レベルアップ
「ごちそうさまでした。」
ご飯を食べた後だからだろうか、少し眠気が出てきたことに気が付いた。
道具召喚の生活施設にベッドがあったので、きっとダンジョンマスターも睡眠が必要になるだろうと思ってはいたが、やはりそのようだ。
トイレのとき同様、24P消費してベッドルームを2つ作る。
すると、頭の中からさわやかな音楽が鳴りだし、モニターを確認すると、
『初期ポイントの100Pすべて使用したため、ダンジョンレベルが1から2にあがりました。ボーナスとしてダンジョンポイント100Pの追加とダンジョン作成の追加、モンスター召喚の追加、ステータス上昇があります。』
との表示だった。初心者保護期間中のダンジョンポイントが少なすぎることから、なにかしらの追加ポイントがあるとは思っていたが、こんな早くに追加があるとは思はなかった。これでできることが広がった。
まずはモンスター召喚の追加を確認してみよう。
モンスター召喚(ダンジョンレベル2)
ベビーサタン (悪魔系) [1×1] 7P
HP 10
STR 3
INT 21
DEX 7
魔法 ファイア(単体)
コボルト(魔獣系) [1×1] 9P
HP 12
STR 12
INT 12
DEX 9
オーク(魔獣系) [1×1] 10P
HP 21
STR 20
INT 5
DEX 4
バブルスライム(スライム系) [1×1] 10P
HP 8
STR 8
INT 8
DEX 8
スキル:毒攻撃、毒耐性
ダンジョンレベルが上がったことで格段に強いモンスターが召喚できるようになっていた。
冒険者でいうとベビーサタンは魔法使い、オークは戦士、コボルトは僧侶、バブルスライムは特殊といったところだろうか。
次にダンジョン作成を確認してみると、
仕掛けドア [1×1] 6P
転移魔方陣(2つ) [1×1] 25P
仕掛け転移魔方陣(2つ) [1×1] 50P
が追加されていた。
仕掛けドアというのは鍵付きドアのことである。事前に条件を決め、条件を満たせば鍵を開けることができるとのことで、転移魔方陣に関しては100マス以内であれば事前に設置した対となる魔方陣間で転移できる装置とのことだった。
最後に自分たちのステータスだが、
ダンジョンマスター【マスター】 Lv2
HP 23
STR 4
INT 30
DEX 12
スキル:ドッペルゲンガー
魔法 :ファイア(単体)
眷属【ルナ】 Lv2
HP 16
STR 17
INT 13
DEX 15
魔法:ヒール(単体)
ステータスに関してはそれぞれ2程度ずつ上昇しただけだったが、一番の喜びは魔法を習得したことだった。
魔法の知識がなかったため、前の世界では魔法がなかったのだろう。そのためか、すぐにファイアを試したくなった。
「ファイア」
何もない壁に向かってファイアを唱えてみる。すると直径30cm程度の火の玉が直線状に飛び立ち、壁に当たって消えた。
もちろん壁は破壊できないので傷一つない。初めての魔法を使用したせいで僕は興奮してしまった。そして壁に向かって何度もファイアを唱えてしまった。
「ファイア」
「ファイア」
・・・
ファイアを5発撃った後だろうか、急に体に脱力感を覚えてしまった。
いつ倒れてもおかしくないくらいの脱力感だ。すぐさま僕はルナに、
「今日は夜も遅いし、早めに寝ることにしようか。ちなみに寝室を二人分つくっといたけど、ルナはどっちがいい?」
「私にも部屋をいただけるのでしょうか?」
「もちろんだよ。ゆっくり休んで明日も頑張ろうね。」
お互いの部屋を決め、僕は早々に「おやすみ」を言って自分の寝室に入る。そしてドアを閉めた瞬間倒れこみ、深い眠りについてしまった。
なぜだろう、ルナの前では強がってしまう自分がいるのは…。
~ルナside~
眷属というのはダンジョンマスター様の奴隷になるということである。
最初に召喚された時は怖くてダンジョンマスター様のお顔を見ることさえもできなかった。
しかしマスター様は気さくに声をかけていただき、私に名前まで下さった。
また、眷属である私にマスター様と同じご食事、さらにはベッドまでお与えになさってくれた。
マスター様はなんとお優しい方なのだろうか。私はなんて恵まれた眷属なのだろうか。
何としてでも、マスター様の力になりたい。マスター様をお守りしたい。と強く願いながら眠りについた。
~ルナside完~