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第二話:眷属召喚

 時間のことを考えながら、まずはモンスター召喚をタッチしコマンド開いた。何の気なしにモニターをタッチしているが、おそらく前の世界でもこのような技術は存在していたのだろう。


 モンスター召喚のコマンドでは、現時点で召喚できるモンスターの詳細のほかに眷属召喚という文字があった。これをタッチしないことには情報が得られないので、眷属召喚をタッチする。


『眷属を0ポイントでランダム召喚しますか?』

『 Yes , No 』

という画面が出てきた。


 ランダム召喚という文字が気になったが、Noを押して必要な情報が得られなくなるのは避けたいので、Yesを押す。


 そうすると、地面から直径2mほどの白色に光り輝く幾何学模様の魔方陣のようなものが描かれ、その中から一人の女性が現れた。


 身長は160cm程度、容姿は人間と同じ顔立ち、黒髪でポニーテールをしている髪型のせいか年は18歳程度と思わる。どことなく懐かしさを感じる女性だった。


 するとその女性はすぐさまひざまずき、うつむきながら


「初めまして、ダンジョンマスター様。私目に何なりとお申し付けください。」


と、聞きなれない敬語で話しかけられた。


「こちらこそ初めまして、君の名前は?」


「私に名前はございません。」


「名前がないと呼びづらいなぁ。えっと…。今日から【ルナ】と呼んでいい?」


「私に名前をいただけるのですか?」


「嫌な名前だった?」


「嫌ではありません。むしろ光栄です。」


「なら決まり。改めてよろしく。ルナ!」


「ダンジョンマスター様からもらった名前は一生大切に致します。」


 本に書いてあったことだが、モンスターを召喚する場合はNo Nameか名前付を選択しなければならない。


 No Nameが死んだ場合は召喚された魔方陣から一時間後に復活するが、ダンジョンの外に出るとステータスが半減してしまう。


対して名前付は一度死んでしまうと復活することができないが、高度な命令を理解することができ、またダンジョンの外に出てもステータスが半減しないとのことだった。


「ダンジョンマスター様って長くて呼び辛くない?僕も気軽に名前で呼んでもらってもかまわないよ。」


「では、なんとお呼びしたらよいでしょうか?」


 名前で呼んでと言ってから気づいたことだが、自分が誰かもわからないのに自分の名前を知っているはずはない。


「実は僕もNo Nameなんだ。かわりにルナが名前を付けてよ」


「私には滅相もございません。ダンジョンマスター様はこのダンジョンのマスターなのですから。」


「それいいね。今日から僕の名前は【マスター】だ。僕もルナからもらった名前は一生大切にするね。」


「はい。マスター様。」


 初めてルナと目があった。僕はなぜ【ルナ】という名前を付けたのだろう。『名前付は復活しない。』これは大きなデメリットだ。


 しかし、どこか懐かしさを感じさせる容姿を見たとき、メリットデメリット考えるよりも先に【ルナ】という名前を付けたいと強く思ってしまった。


 前の世界で出会ったことがあるのかどうかはわからないが、きっと関係はあったのだろう…。


「さっそく悪いんだけど、ルナの知っていること全部教えてよ。」


このような大雑把な質問に対して、ルナは快く答えてくれた。


 まず、本にも書いてあった通りこの世界の知識を教えるために召喚されたので、ダンジョンマスターのみが行うことができるダンジョン作成やモンスター召喚などの知識は全くなかった。


 さらに召喚される前の記憶は全くなく、自分と似たような境遇だった。しかし、この世界のある程度の知識はちゃんと持っていた。


 ルナ曰く、この世界はもともとオズ大陸という大きな大陸が1つだけだった。


 しかし、地震や噴火などによる隆起によってオズ大陸を囲むように大小4つの島ができた。


 大陸から島への移動は船しかないが、海には好戦的な大型モンスターが多く存在しているため、オズ大陸に一番近いピペリン島以外は交流がないとのことだった。


 そのためか、オズ大陸とピペリン島以外の島に関しての情報はほとんど知らないらしい。世界規模で話を聞く限り、海にモンスターがいるため航海術はあまり発達しておらず、世界が球体であることも知らないようだ。


 そもそも、世界が球体であるかどうかも前の世界の知識によるもので、この世界は球体ではないのかもしれないが…。


 オズ大陸には無数の村や町があるが、帝国と呼ばれるほどの大きな大都市は4つある。


昔は帝国間での戦争が絶えなかったが、ダンジョンの存在が確認されてからは人間対モンスターとの争いが続いている。


 次にオズ大陸の地図についてだが、大陸の中央には険しいドーレ山脈が東西を分けるかのようにそびえたっている。


 山脈から東側では厳しい冬が続くため、広大な土地はあるが西側に比べると人口は少なく、帝国もベッカ帝国の1つだけとなっている。


 主な産業はないが、険しい山脈があるため西側の帝国には攻められず、また厳しい寒さのおかげなのか外にいるモンスターの数も少ないため、今日までベッカ帝国が存続している。そのため軍事力は4帝国中一番低くなっている。


 続いて山脈の西側だが、北方にはアサヒ帝国がある。大きなロキ砂漠に囲まれていて、町を移動するにはラクダが必要であるが、サソリのようなモンスターが多数存在している。


 産業は漁業と宝石が盛んで、他の地域に比べると海洋モンスターが少ないため、珍しい魚が取れるらしい。


 東方にはミスト帝国がある。広大な草原が広がり、気候も安定しているので農業が盛んである。


 また、ドーレ山脈付近では鉱山なども多く存在するため工業が発達しており、4帝国中一番人口が多い。


 最後に南方にはギース帝国がある。アビス大森林に囲まれているせいか多くのモンスターが存在しており、それに対抗するため軍事力が一番強い帝国となっている。


 ギース帝国自体には他帝国に対抗できる産業はないが、唯一コショウや砂糖などの貴重な調味料が取れるピペリン島と貿易を行っているため、莫大な軍事費を補うだけの資金力が存在している。


 そして、その三国の中央にはトーマロ湖という大きな湖がある。海とは違いモンスターは存在しないため、今では三国間での移動手段として船が多く使用されている。


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