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詩集 大好きだったひと

『九十日目の夜』『REVIEW』

作者: 小日向冬子

『九十日目の夜』


心ない人の噂が

ふたりを遠ざける


いつかは 終わる恋と

知っては いたけれど


こんなことぐらいで

揺れてしまう

あなただった

なんて


本気だ という言葉に

呑気に寄りかかっていられるほど

馬鹿じゃなかったことだけが

せめてもの 救い


それでも

抱きしめられた

なごりの背骨は

せつなくきしむ


出会った日から

たったの九十日目


確かなものなど

何ひとつないまま

終わりを

迎える

ふたり



『REVIEW』


君の視線が

危なっかしく僕をよける

白い指で

たどたどと つまびくメロディー

確かめたくもなかったけれど

もう 僕のどんな愛も

君を引き戻すことは できないんだね


ふたり はちきれそうに手をつないでも

抱えきれなかった幸せは

一体どこにいってしまったの

今 憎しみも 嫉妬もない

そんな静かで寂しい場所に

ひとりぼっちで行進していく君


ああ

人生がビデオテープだったなら

「あの頃」だけの

ストップモーション

何度でも繰り返していられたのに

擦り切れるほど

熱い肩を寄せあったままで


もう一度こっちをむいて

そしてそっと教えて

どうしたらいいの

他人のように微笑んでいる君の心を

ハイスピードで巻き戻すには

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― 新着の感想 ―
[一言] 「九十日目の夜」チョコレートにひっかいて書いた文字みたい。甘い傷。溶けて消えてしまう。 「REVIEW」ながれる言葉。つるつると滑らかにところどころひっかかる。見てしまえば記憶に留まる一瞬。…
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