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神獣殺しの精霊使い  作者: 氷帝花心(門屋定規)
A章 とある鍛冶師の昔話
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α-5 ムゲンゴーレム

ルウが飛び出してすぐヒートは攻撃を受けていた。

洞穴内には轟音が走り、地面が揺れ動く。


「くそっ、地の精霊か!」


周りの壁壁はひび割れ、落ちた岩岩は集まりゴーレムとなる。

その数、数十は軽く超えていく。


「グゴゴ」

「グガガ」


ゴーレムは体を軋ませながらもヒートたちへと向かってくる。

洞穴の入口に向かおうにも、次々と出来上がる岩のゴーレムが立ちはだかるように連なる。


「壁の軍勢」


思わずヒートはそう思うほどにゴーレムは増え続ける。

一体を作り出す魔力はどれも均等であり、そして剣で傷付いた箇所も辺りの砕け散った岩を吸収し元どおりへとなる。


「これならどうだ!」


ヒートの投げる小瓶がゴーレムへと当たり大爆発が起き、前方のゴーレムが砕け散った。

だが、


「嘘だろ‥‥‥?」


砕けた石が重なり合い、先ほどと寸分の狂いなく復活した。


「は?」


本来ありえない現象にヒートは立ち尽くす。

本来ゴーレムはこんなに大量に作り出すことが出来る魔法ではない。

それは精霊神であろうが同じである。

だが、現に今。


ヒートはゴーレムの軍勢に押されている。

これは王国騎士団ですら不可能な芸当だ。

それにあの地神ですらやらないふざけた魔力の無駄遣いである。


つまりはそういうことであった。

人には無理な芸当。


だが、彼らであれば。

ここがかの地であれば。


何もおかしくはない。

精霊の都であり魔力の湖でもある〈精霊区〉であれば。



始まりは彼だった。

だから、精霊は従った。自らの欲望を心の底に押し殺した。

だが彼は精霊に何も言わずにとある事に関わった。

だから彼は消えたのだと彼の精霊だった私は思った。


彼がどんな事を思ってそうしたのかは今もまだ私にはわからない。

だって、彼は言ったのだ。


この世界を頼むと、そう悲しそうに言ったのだ。

だから従った。

なのに消えるなんて思わないだろう。


彼を信じた私は裏切られた。

だけど信じていたいとも思っていた。


だから私は守り続ける。

あの人がいつか帰ってくる日まで。

ずっとここには誰も入れさせない。



ルウが戻って目にしたのは大量のゴーレムだった。

ゴーレムは入口を塞ぐように重なり合い、隙間は見当たらない。


「何これ、ゴーレムの軍勢なんて誰が⁉︎」

「グゴガガ」


声に反応したのか入口のゴーレムが起き上がるとルウへと向かう。

そして一つ一つが大きい岩岩の腕がルウへと襲い掛かる。


「……よっと。〈ファイア〉」


だがルウは素早くしゃがんで避けるとゴーレムの頭部へと炎魔法を打ち付ける。


「え?」


打ち砕いたはずのゴーレムが止まらずルウは困惑した表情を見せた。先ほどのゼンとの戦闘でかなり魔量は心許ないがそれでも上級精霊の放った一撃だ。普通は一発で沈むはず。

だが、ゴーレムは砕けた岩の破片が頭部を作り出していく。


「不死身のゴーレムなんて聞いたことがない!」


元どおりとなったゴーレムはルウへと迫る。


「グゴガガ」


ゴーレムはルウへと迫り、そして入口を塞ぐように停止する。

ルウには実体化を解いてゴーレムを潜り抜ける選択は選ばない。

それを知っているのか、ゴーレムはルウへと近づくと殴りつける。


「よっとと……もう最悪⁉︎ なんで、さっきの男と同じ材料が岩に混ざってるのよ!」


精霊にとっては天敵といえる物質。

それをルウは知っていた。男の放った弾である。そしてゴーレムからは同じ性質をルウは感じた。例え精霊であろうとも簡単に殺すことが可能であろうことを。


(実体化を解いてもあれは多分私に効くはず。じゃなかったら、実体化を解いても痛みが残ったのはおかしい……入口にはその精霊殺しのゴーレムが大量にいる)


ルウの考えが正しければ相性が悪すぎる。

そしてルウには何も出来ることがないということでもある。

だが、ルウは諦めない。


「ファイア!」

(まだヒートの力は感じる。まだ、途切れてない! だったらやることは一つ)

「私がヒートを助ける! 〈ファイアーウォール〉」


ルウは全身に青い炎を纏わせる。

そしてゴーレムを避けずに入口へと体ごと突っ込んだ。


「グガガ」

「うぁああああああ」


叫びながら炎をさらに燃やしていく。

青い炎から白い炎へと。

そして、〈黒〉へと。


「ヒートを助ける、私が守る!」


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