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神獣殺しの精霊使い  作者: 氷帝花心(門屋定規)
A章 とある鍛冶師の昔話
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α-2 サイキョウノイッカク

気づくとヒートの身体を青い炎が包み込んでいた。

だが青い炎はヒートの身体に傷をつけることはなく、周りの炎から守るように薄く光り続けている。


「はぁはぁ、なんとか間に合ったよ。大丈夫だよね」

「ああ、ルウのおかげで大丈夫だ。だけどなんでいきなり爆発が……ガスが漏れていたのか? それとも山の自然の魔力に干渉してしまったのか?」

「ううん、どちらでもないよ。これは精霊の魔法によるものだよ。本来燃えるはずもない岩とかも思いっきり燃えているし。壁とかみてよ」


2人の正面の壁は今も赤い炎が燃え広がり、壁中に焦げ目をつけていく。

そして所々ひび割れも起きている。


「確かにな、魔法じゃなきゃここまでひでえことにはならねえか」


ヒートは洞穴の入り口の方を見つめるもそこからは誰も入ってくるそぶりはない。

だがヒートは身体が冷える感覚に陥り、そして心拍が大きくなっていくことを悟った。


「……2人も来るとかありえねえだろ⁉︎」

「それはひどいお言葉ですねええ、私の顔を踏みつけておいてその態度は少々苛立ちも覚えますかねえ、はい」


と2人以外の声が空間に響き渡ると直後2人の下の影が大き動き。

そして徐々にまとまるとそこから黒色の人が出現した。


「闇の精霊神か、何が目的だ」

「何が目的だとは驚きですねえ、先ほどの話は全て聞かせてもらいましたからねえ。いやあ、こんな暗闇でコソコソ話なんて私に聞いてくださいってお願いしてるんんですかねえ、はい」

「相変わらず悪趣味なやつだな、それにめんどくせえ奴だ」


ヒートの嫌味にも闇の精霊神は顔色ひとつ変えることなく、ただニタァと気持ち悪い笑みを浮かべたままだ。


「どうせ金だろ、この情報をいくらで漏らさない?」

「商人でありながら、相手から聞き出そうとは随分と物分かりが実にいい。ただまあ、その方が楽だからいいですがねえ」

「いくらだ? いくらで情報を守る」


今度は語気を強めヒートは闇へと訪ねる。それを聞いて闇は少し考える振りを見せると、指を一本立て、そして二本、三本とどんどん増やしていく。

そして、


「くうっくっ、指がとてもじゃありませんが足りませんねえ。ですが、1でいいでしょう、はい。それでいいでしょうねえ」

「1アルスでいいのか」

「フゥウッッ、ご冗談を。億に決まっているじゃあないですかあ」


闇の精霊神の言葉に流石に頬がひきつるヒートであるが、闇はてんで気にしている様子は見受けられない。


「それを払うことが俺ならできるとでも言うのか?」

「ええ、無についての手記でしたか、あれを売るだけですよ、はははっ!」

「それじゃあ本末転倒じゃねえかよ」


仮にここで闇の精霊神を倒せるかヒートは考えてみるもそれは馬鹿馬鹿しい考えだと思いすぐにそれは切り捨て。


「わかった。だが支払いは剣になる。それでいいよな」


だいぶ投げやりに答えると闇は一回頷いた。

そして直ぐに下の闇へと潜り込むとヒートの前に一枚の紙が落ちていた。


「では紙の通り契約成立ということですねえ。まあ、オマケです。精霊士くらいは殺してあげますよ。それに彼があなたを燃やすのもやめさせてあげるとしますかねえ。ハハハハハッ」


そう言い残すとその場から大きな闇が瞬く間に消え後には2人だけが残っていた。


「やっぱりもう一人来てたか……まさか炎の精霊神か? いや、あの二人が行動するなんてありえねえか? チッ、考えてもしゃあねえか」


先ほどの爆発がもう一度起きたら今度は無傷とはいかないだろうとヒートは己の魔力の残りから思う。


「まあ、精霊士がいなければ地図を見ながらだったら逃げられるか。ルウ、手記を燃やしてくれ」

「うん、ファイア」


今度は何も妨害は入らずに手記は燃えていく。そして手記は完全に燃えて灰となった。


「……ゴメンね、燃やして」

「いや、世界が壊れるかもしれねえんだろ? しゃあねえさ。それに1億はキツイが工房で10年も打てばまあ、払えるだろ。それに、精霊士をサービスで殺してくれるってえ言ったしな。まあ、しゃあねえさ」


とヒートは心の底からルウへと伝えた。

そして、冷えたルウの手を強く握ると、


「それに俺にはお前がいるからな、ガハハッ!!」


ヒートの言葉で少しは元気を取り戻したのか、ルウは首を縦に数回振った。

そしてルウはヒートの手を握り返す。


ヒートとルウ。

二人が出会って数年目。

二人はようやく心の底から信じあえる仲間となったのだった。


「ガハハッ、これからも頼むぞルウ」

「うん、もちろん」


「だれ、です?」


と、いきなり空間に二人以外の声が反響した。

だが、先ほどの声とは異なり幼い声だ。それに怯えているようにも思える。

そして洞穴のはずなのに、強風が吹き渡り、二人とも尻餅をついてしまった。


「ルウ、どこから聞こえた?」

「ええとですね……これは水晶の中にいた精霊です⁉︎」


上から落ちて来た水晶の中で眠っていた精霊が目覚めたのだと二人は知るも、風はどんどん強くなっていく。


「おいおい、精霊が生まれたってことか?」

「うん、でもなんで? 精霊が生まれるには密度の高い魔力を吸収しないとダメなのに」

「魔力だと⁈ ってことはさっきの炎の爆発による魔力を吸収してたとでも言うのか? 魔力は人から精霊に渡り魔法が発動するよな。なら、魔法を受けて魔力を取り出すことだって可能ではあるのか」

「うん、たぶんできるね……初めまして同郷の者。私はルウ。炎の精霊よ。そしてこっちは私の契約者の」

「ヒートだ。ええと、風の精霊! お前のことはなんて呼べばいい」


と、二人がちゃんと自己紹介すると少しは精霊も落ち着いたのか風の勢いが弱まっていく。


「ないよ? 私には名前なんてない」

「そうか、ならとりあえず……リアって呼ぶからな」

「リア……わかった。私は、リア。風のリア!」


嬉しそうに何回も自分の名を呼ぶリアを見てルウは昔、ヒートと出会った頃を思い出していた。その時の自分も同じようにはしゃいで嬉しかったなとルウは思い、落ち着くまで待つことにした。


「リア、リア! わたしはリア!」



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