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神獣殺しの精霊使い  作者: 氷帝花心(門屋定規)
1章 無の精霊と少年
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第50話 師匠の師匠

ギールの屋敷に住んで一週間。

その間、俺は銃術を学んでいた。拳銃一つで竜すら亡ぼす技術。

それを極めたのがギールらしい。


名だたる精霊にも劣らない、攻撃力。

それは俺とルシアも二度、経験した。


「だからね、拳銃に頼り過ぎてもダメなのさ。精霊と同じように、常に魔力を爆発させては意味がない。それは、精霊使いの技さ」

「つまりは、一瞬に効果力を詰め込むってことですか?」

「そうだ、それが銃術の基本。それが重要だ。普通の銃と魔法の中間とでもいえば、分かるかな。魔法は詠唱が必要だ。効果力になるほど、発動に時間がかかる。それは風神ですら違わない。逆に、拳銃は引き金を引くだけで相手を貫く。だが、魔法に比べるとどうしても、火力は落ちる。人に対しては有効だが、魔物には聞かない。あの分厚い皮を破るにはね」

「その中間が、銃術——魔力を込めた弾丸ということですね」


銃術。

精霊と契約してなくても、魔力を認識できれば使える技。

本来、精霊無しで魔力を感じることは出来ないはずだ。だが、ギールによると、とある精霊と手を合わすことで、魔力を認識できるようになるらしい。

たぶん、精霊の祠で出会った、炎を分け与える精霊みたいに、認識力を分け与える。


「ああ、そうだ。これが使えるようになれば、そこら辺の魔物なんて容易く倒せるはずだ。まあ、同じ銃術使い同士が戦えば、その限りではないが。だが、俺が教えるんだ。その辺は心配する必要はない。なんたって、俺が部隊長にまで上がれたのは、敵となる銃術使いが弱すぎたからだ」


あまりにも、自己評価が高すぎる。

でも、実績が誇っている。


「師匠は、誰に銃術を教えてもらったんですか?」

「うん? 俺の師匠?」

「はい、そんなに凄い技。誰が開発したのか気になって」

「知らないのか? これを開発したのはお前が持つ拳銃の作り手である、ガナルス様だぞ」

「ええ! そうなんですか?」

「三宝のガナルス。その名が世界に広まったのは、銃術を開発したからだ」

「つまりは、ガナルスさんが師匠の師匠?」

「そうなるな。と言っても、数週間しか師事して貰えなかったがな。ほとんどは、独学によるものさ」


三宝。

銃術のガナルス、剣術のヒート、魔術のノーム。

前に聞いたことがある。

だが、詳細は知らない。


「ガナルス様って、どんなお方なんですか? ヒートから貰った銃の作り手としか知らないので、教えてください」

「もちろん、ガナルス様を一言でいえば、元部隊長だ。つまりは、俺の前任だな。部隊長の役割を引き継ぐときに、色々と教えてもらったのさ」

「ってことは、独学で部隊長の座まで上り詰めたってことですか?」


それならば、天才どころではない。

精霊とも契約せず、銃術すらマスターしていない人間とか、どんだけバケモンだよ。


「まあ、銃術は独学でそこそこ極めていたからな。ガナルス直筆の銃術書を読んで、ある程度は覚えていたのさ。流石に、銃術も精霊もなしで、部隊長にまで上がれるほど甘くはないさ」

「そうですよね、安心しました」

「まあ、この話はまた今度な。そろそろ、学院に着きそうだ」


右隣を見ると、白亜の王宮が佇んでいた。

馬車に乗って数時間は掛かると聞いていたが、話に熱中しすぎていたようだ。


「ルシア、着いたぞ」

『むー、おはようバル』


寝ぼけた姿のルシアが実体化して、俺の右座席に現れる。

いつもとは違い、金髪の碧眼、それに少し表情が明るく見える。


「ルシア、何か魔法を使っているのか?」

『うん、これはリーナがバルをおと、おとと、な、何でもない』


意識が覚醒したのか、飛び上がる。

そして、何故か顔が真っ赤だ。


「俺がどうかしたか?」

『ううん、何でも——バルが学院から落とされない様に、試験に挑まなきゃって思ったの』

「試験かあ、銃術も基本しか学べてないし、受かるかなあ」

「心配する必要なんてないさ、俺の弟子だ。既に話は通した」

「つまりは、裏口入学……ですか?」

「はあ、お前の実績を思い出せ。単身、バルバスケ大陸に乗り込み、一国の王女を救った英雄だ。それだけで、入学試験なんてパスできる」

『そうですよ、バルはもっと誇ってください』


今まで、敵を倒しのは俺じゃない。

黒龍は風神、雷鳥電王はギール。だが、確かに補助はした。

それが冒険者として、少しは評価された。そう思うと、直感に従い、逃げなくて良かった。


「それに姫も、バルと同じ学院に通うことを楽しみにされている。国が後ろ盾さ」


なんだか、とんでもない話になってそうで恐ろしい。

王女に部隊長が推薦した、精霊使いって。


絶対にヤバイことになってそうだ。


「じゃあ、行ってこい。帰りはリーナに任せてあるから」

「はい、行ってきます!」



馬車から降り、バルとルシアは学院へと向かう

——それが、次の災難に繋がるとは、今はまだ思いもしていなかった


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