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神獣殺しの精霊使い  作者: 氷帝花心(門屋定規)
1章 無の精霊と少年
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第4話 新たな二人 

 目を覚ますと俺はなぜか暗い部屋の中に居た。

 腹を確認してみると、傷一つ無い。試しに触るが痛みもなく完全に治っていた。服を見ると破れて血が付着してるし、あれは夢ではなく本当に起きたことみたいだ。

 あの人たちが助けてくれなかったら今頃俺はこの世には生きてはいられなかっただろう。ドラゴンに喰われて、一つ残らず、誰にも気づかれずに死んでたのかもしれない。

 そう考えると俺は幸運だったみたいだ。

 それにしてもだ、あの二人は王国騎士団と名乗っていた。騎士団と言うくらいだから戦士なのだろうが、一瞬で倒すなんて強すぎだろ、それにあの傷を完全に治すなんて治癒魔法すげえな。


 まあ、ひとまずはお礼を言わないとダメだな。

 俺は立ち上がり、部屋を出ようとする。

 暗いため、わかりずらいが壁を触ると、ドアらしきものがあり、押すと簡単に開いた。


 外は真っ暗で遠くの方は何も見えない。空を見ると、綺麗な星空が広がっていた。だけど、月は無いみたいだ。

 俺は一応、リュックに入れてた木剣を取り出し、右手で構えながら音のする方に近づいていく。

 すると、そこには先ほど俺を助けてくれた人たちではなく、代わりに40過ぎのおじさんと、10才位の女の子が簡易椅子に座り話をしていた。

 

「あ、あの」

「うん? ああ目が覚めたか、体の具合はどうだい?」

「大丈夫?」


 声を掛けると二人はそれぞれ俺を見て話しかけられた。

 2人の目の前にはテーブルがあり、そこには美味しそうな料理がたくさん並べられていた。


ぐー


「ふーむ。どうやら元気みたいだね」

「ここに座って?」

「あっ、はい」


 俺は少女が指さす椅子に座り、右手の木剣を地面に置いた。いつでも戦えるようにだ。


「あの、いったい俺は?」

「まあまあ、まずは飯だ。好きなだけ食え」

「うんうん」

「本当にいいんですか? お金は持ってないですよ?」

「ああ、いいぞ」

「お腹が空いているんでしょう、なら食べて」


 二人が進める料理はとてもおいしそうだ。パスタ料理に、ピザ、焼き肉と金を払わないと食えないようなレベルのばかりだ。

 前の俺なら少しは持っていたが今の俺は、転生したため1円も持っていない。

 だから、遠慮していると。


「おいおい、遠慮する必要はないぞ。それに子供から金を取ったりしねえよ」

「うん、そうだよ?」


 うーん、どうしようかな。こんなご馳走をただでくれるなんて怪しすぎるけど、でもこの人たちは本当に親切心からやっているようにしか見えないんだよな。

 よし食べるか。



「では、いただきます」

「おう、食え食え」

「うんうん」


 二人が進める料理は見た目以上に美味しかった。

 お腹も膨れてだいぶ回復できたような気がする。




「それで、なぜ二人が僕を介抱していたのでしょうか」


 確か俺は王国騎士団の二人に助けられたはずなんだが、気が付いたら違う人たちが俺を介抱していた。これはどういうことなんだろう。


「ああ、王国騎士団の二人に頼まれてな」

「うんうん。あの二人に君を町まで送ってって頼まれたの」

「町までですか?」

「ああ、それでだ、君の住む町はどこなんだ?」

「……それが思いだせなくて」


 住む町か、どこなのか俺が知りたいくらいだ。

 以前住んでいた場所なら言えるが、この世界に来てからまだ1週間しか立たないのに、そんなのわかるはずがない。むしろ、この世界に俺の家なんて無いのかもしれない。

 でも二人にそんな話をしても嘘を言っていると思われるだけだろうしな。

 ここは記憶喪失とでもしておくか。


「住む場所がわからない?」

「ええ、なんか襲われた時の影響か、家族や住む場所とかの記憶が全て忘れてしまったんです。」

「記憶を無くしたの? 大丈夫なの?」

「はい、記憶を無くしたんですが、自分が誰だとかはわかるので。 でもこの世界についてのこともほとんど忘れてしまいまして」

「それは、記憶喪失と言うやつだな。おそらくドラゴンに襲われたことで恐怖心から記憶の一部を忘れてしまったのだろう」

「大丈夫なの?」

「ええ、でもよければこの世界についてのことを詳しく教えてほしいんですがよろしいでしょうか」

「ああ、俺で良ければ教えてやる」

「私も!」


 はあ。これでこの世界についての情報が少しは手に入るか。

 

「それで君の名は?」

「僕の名前はバルーシュです。友達からは縮めてバルと呼ばれていたので、良ければそちらで呼んでください」

「バルか、わかった。私はヒートだ。そしてこっちが」

「リア!」

「2人ともよろしくお願いします」

「ああ」

「うん!」


 

 そしてようやく、俺はこの世界について教えてもらうことになった。

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