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神獣殺しの精霊使い  作者: 氷帝花心(門屋定規)
1章 無の精霊と少年
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第39話 目覚めと雷轟

 次の日。

 日が昇り朝のはずだが、高く広がる木々が隙間を封じ込めているため、薄暗い。

 それでも、辺りでは異様な鳴き声が響き渡り、さらに気づけば俺たちの周りを見たことも無い獣たちが囲むようにいた。


「……ちょっと、待てよ。ルシア、これはどういうことだ? 何で起きたら、こんなに囲まれている? そしてその割には全然襲ってこないし、訳がわからないけど」


 獣は多岐にわたり、犬っぽい小型獣から、熊みたいな大型獣と様々だ。それらが、俺らの周りをぐるりと包囲していた。当然ながら急ぎ右手に魔法銃を持ち、戦闘態勢に入る。

 だが、そんな俺をキョトンと不思議そうに見つめるルシア。


『おはようバル』

「ああ、うん、って違うよ。これは何!? 寝ている間に何が起きた?」

「……これは、私がしたことです。はじめまして、昨日は助けてくれてありがとう。私、マレイアと言います」


 と、声の方を向くと、そこには一人の少女が正座で座っていた。足元には円と四角が組み合わさったような魔法陣らしきものが光り、開かれた右手の上には青い水球がプカプカと浮かんでいた。


「ああ、俺はバル。良かった、眼覚めたのか」


 本当はこんな状況ゆえに良くはないのだが、まあ良いのだ。

 それにしても、少しばかり状況が読み込めてきた気がする。


「それって、マレイアの力なのか?」

「うん、私は、水魔法を操って、辺りを検索できるのだ。あと、獣たちにこの辺のことを訪ねようかと思いまして呼んでしまいました」

「へえ、って、えっ? 獣を呼んだの?」

「はいですよ~。獣なんて、わたしの力の前じゃあ、ペット同然ですので~」

「な、なるほど」


 とは一応言うもののまったくわからない。

 脳の理解が追いつかない。

 獣がペット? 

 それは、つまり、獣を操れるということなのか?


『バルは知ら無いかもしれないから一応言っておきますけど……獣を配下にすることが出来る人は少なくとも居ますからね。だから、そんなに珍しくもないので、いちいち黙り込まないでください』

「あ、ああ」


 わからないなりにも理解した。

 これは普通のことだったのだ。自分が出来ないからと言って、すぐさま獣を敵認識することはよくないのかもしれない。


「ははっ。それで、獣を呼んでどうするんだ? 獣は人語を喋らないし……」

「はい、辺りの情報を聞いていたのですよ。これでも、私は、獣に限れば、思考が読めるのです。凄くないです?」

「うん、確かにそれは凄いよ。それで、どう獣たちは考えている?」

「ええとね。……エサ、タベタイ、オイシソウ、くx」

「もういいよ! それってつまりは、何も情報が手に入らないってことだよね? それに、こいつら僕らを餌としか見ていないようだし」

「うん、実はそうなのだ」


 と、マレイアはのほほんと気楽に言う。

 どうやら、この子はアホの子のような気がする。

 いや、でも一応考えてはいるのか、それがはた目から見たら危険に見えるだけのことであるだけで。


『まぁまぁ、落ち着いてバル。それで、マレイア、この獣たちを遠ざけてくれませんか?』

「ええとね、それは、無理かも。というよりも、出来ないのだ」

「どういうこと?」

「私の力ってね、呼ぶだけなの。だから、この子たちを遠ざけられないのだ。それに、時間制限もあってね。後、数秒がげんか……」


「風魔法、風砲」


 足元に風を送るイメージをし、二人をも巻き込み全魔力をフルバーストする。

 当然ながら、辺り一面を揺るがす台風が吹き荒れ、木々が大きく揺れる。さらに、俺たちの周りを囲んでいた獣たちも同様にコロコロと転がっていく。

 そして、俺たちはというと。


「うひょおおおー」

「うわああんん~」

『ちょっと、なにを!』


 驚く二人を左右の手でつかみ空中へと舞い上がる。

 目の前を塞ぐ木々の隙間を次々と潜り抜け、邪魔な木々は風魔法で吹き飛ばす。

 まるで、一つの風のごとく俺たちは突き進む。

 

 ……ふと下を見てみると、そこには小さくなった木々が見える。

 どうやら、高く舞い上がりすぎたようだ。


 バルバスケ大陸。

 その大きさは人界と比べても遜色ないほどの規模みたいだ。

 空からざっと見たところ、果てしなく遠い先まで森林が広がっていた。さらに遠くには高めの山々が連なり、白っぽい雪化粧が見えた。

 おそらくは、冬なのだろうか。

 そして、ざっと端から端までの距離は数百キロくらいあるかもしれない。なんせあまりに遠くて端が見えない。

 とてもじゃないが、足では端から端にたどり着くのに何年かかることか。

 それらが空を飛ぶことで得られた情報だ。


『バルッ、早く降りましょう、降りて!』

「うんうん、もう何もいないよう。早く地上hに……」


 と、二人が俺に降りる様に頼んでくる。

 ルシアもマレイアも急に空を飛んだためか顔色が良くなさそうに見えたため、その辺に着地する。

 地上には何もいない。

 それこそ何も蠢く者はいない。どうやら獣の群れから逃げることに成功したようだ。


「はあっ……なんとかなったかな……?」

『いえ、状況はさらに最悪みたいですよ』

「うん、私のせいかもしれないけどね、これから起こることはバルの責任なのだよ」

「うん?」


 なぜか、助けた二人に怒られる。

 そんなに高いところが苦手だったのだろうか、それとも急にジェットコースタ以上の恐怖体験にあったからイラついているだろうか?


「ははっは。ごめん。でもあのまま逃げなかったらもっと危険なことになっていたと思うけど……そんなにダメだったのかな?」

『逃げる判断は良かったです』

「うん、そうそう」


 と、ルシアが言い、マレイアがそれに同調してくる。

 とはいえ、何が悪かったのかいまいちわからない。


「ルシア、わかりやすく教えてくれるか?」

『その前に、この辺りに魔法を使ってください。そうですねえ、土魔法とかで、穴を掘って地下空間みたいな感じで』

「うん? わかった」


 よくわからないが、とりあえずルシアの意見に従っておく。

 地下空間というと、飛行艇墜落のときに王国騎士団の人がやっていた感じでいいのかな。


 とりあえず、魔力を右手に集め、さらに土を壊し固めるイメージをする。

 そして、右手を地面へと当て、魔力を流し込む。

 すると、モノの数秒で、地下2~3mくらいの地下空間というより、トンネルが出来上がった。


「これで、どうする?」

『早く二人とも中に入ってください。早く!』


 ルシアの声に押されるようにして、急ぎトンネル内に入った。

 トンネル内には入り口から微量の光が差し込むだけの為薄暗い。


「明かりをつけたほうがいいか?」

『いえ、やめてください。もう少しで……』


 何が起きるのか訪ねようと思ったとき、突如辺りに轟音が響き渡った。

 まるで、雷でも落ちたかのような轟音に耳が壊れそうになる。

 そして、さらに辺り一面がピカッととてつもなく輝き、同時にまた轟音が響く。


「こ、これはいったい……?」

『奴が来ちゃいました。バルが空を飛んだせいで』

「空?」


 

 空、そして光に轟音。

 まるで雷みたいな現象。


「あ……まさか、もしかして」

『はい、その通りですよ。奴――【雷鳥電王】のお出ましです』



 その日、俺たちは獣たちよりもさらに上位種。

 空を総べる神獣王。


【雷鳥電王】に遭遇したのだった。


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