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神獣殺しの精霊使い  作者: 氷帝花心(門屋定規)
1章 無の精霊と少年
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第38話 未開大陸と雷鳥電王


 魔法大学。

 風神が創設開校させた学校だ。

  

 かの有名な歴戦の精霊神、精霊軍の強者たちが集う場であった。

 広さは大きめの校舎が10以上とかなりの規模を誇り、さらに教育係の講師たちも、良くも悪くも名だたる者ばかりであった。


 そして、新たに一人の少年と少女が入学した……はずだった。



――



「はあ、なんでこんなことに……」


 そう言うのは、若い少年だ。全身を布製のマントで覆い、手には高級そうな装飾が施された拳銃が握られていた。


『だから言いましたよね? 低料金はやめたほうがいいですよって。それも何回も!』


 銀髪の少女が少年へと少し怒り気味に言う。

 少女の姿は、白桃色のワンピース、それに上着を羽織っていた。

 背の丈は少年の肩程であり、銀に輝く長髪が風で揺れ動き、表情からは怒りと心配が半々であった。


「まあ、そりゃあ言う通りだよ。でもさ、仮にルシアだったら、何十倍も高い船を選ぶか? それに、安いとはいえ今まで安全だった、好評な船だよ?」

『それは、その、財布と相談して……』

「それは低料金を選択ってことでいいよね?」

『……はい』

「とりあえず、こうなったからには仕方ないし、意地でもここから人界へと戻ろうと思う。それに、この子を捨ててくことなんてできないしね」


 バルはルシアへと決意を込め言い、それを聞いたルシアが再度ため息をつき、足元を見つめる。

 そこには少女が寝転がっていた。

 目は開かず、体はボロボロ。

 そして、周りには大き目の鬼。

 ただし腹と顔には丸い穴が貫かれ、ピクリともしない。

 ――すなわち死んでいた。


『でもどうします? バルは最悪な事態に巻き込まれたみたいですよ』

「そんな他人事みたいに言わないでくれ……俺もまさか、こんなところに来るとは思わなかったんだからさ」

『あの業者、最初から狙っていましたかね……?』

「ああ、道理で安すぎるはずだ。安全というのも、嘘だったということだろうな。最初から俺たちを殺してしまう手はずだったってことだろ」

『――でも、倒してしまったと。それにそちらの少女の命を救うことも出来ましたし、それは良かったですね』

「ああ、そうだな」


 巨木が生え渡り、どこからもなく、冷たい冷気が流れ込んでくる。

 カサカサと何かが蠢く音が広がり、あるいは、嫌な匂いが漂ってくる。

 

 不気味すぎる森。

 不可思議な森。

 不快な森。

 喧噪から程遠い森。

 どうとでも言える。


 人国語では、未開大陸と呼ばれていた。

 つまるところ。

 俺たちは魔族が住む地。

 

 ――【バルバスケ大陸】へ来ていた。



――



「それでどうしたらいいかな?」

『そうですねえ、ひとまずは、辺りを探索したほうがいいかもしれませんね、最悪なことに鬼の巣の近くだったら、寝ることもできませんから』

「それもそうか」


 俺は魔法袋から大き目の袋を取り出し、その中から光学迷彩マントを取り出して、身にまとう。


「どうだ?」

『大丈夫ですよ、私からは何も見えないです』

「そうか、なら行ってくるよ」


 辺りは闇に包まれており、遠くは良く見えない。そのため足元を滑る様に進んでいくも、何も変化は感じられない。

 鬼がこの近くに現れたことから、この辺に生息しているのかと思ったがどうやら違ったみたいだ。

 それに、草村が遮るかのように伸びつくしているため、進むほど道が出来てしまう。

 これを見つかってはそのまま危険ともなりえる。


『光学迷彩マントだから、相手からは見つからないはずだし、そろそろここらでいいか』


 俺は手のひらに魔法で小さな炎を発火させ、近くの木へと当てていく。

 すると、炎で木々が燃えて、少しばかり黒い煙が立ち上り、そして傷がついた。

 今日はこの辺でやめた方がいいだろう。

 帰り道、同様に印を木々に刻んでいく。

 それと同時に、適当な木々の枝を折っては道にばらまき、さらに土をけずって足跡を大きくしていく。

 これで、獣の仕業だとでも思ってくれるかもしれない。

 それか、魔族の仕業とでも思うだろう。



――



『お帰り』

「ただいまだ。それで、その子はまだ目覚めないのか?」

『はい、まあ、魔力枯渇による気絶でしょうね。あのとき、鬼に塞がれはしましたが、確かにこの子が水魔法を使っていたから』

「俺の魔力を上げることはできないか?」

『可能でしょうが、やめておいた方がいいよ。バルまで、魔力枯渇で気絶したら全滅確定になっちゃうよ?』

「だよな」


 とりあえず、気絶なら数日で目覚めるだろう。

 そのときにでも、俺たちについてくるか聞けばいいか。それまでは、辺りの調査と、食料の調達にでも行くべきか。


「ああ、そうだ。飛んで、空から見れば一発で辺りの地理がわかるじゃないか」

『うーん、それは止めておいた方が良いかもしれませんよ。あれを見てください』


 ルシアの指さす方を見てみる。

 するとそこには巨大な黒っぽい雲が広がるだけだ。

 まあ、雨も降らずに雷が時折光ってはいるが。


「あれがどうかしたか?」

『あれって、もしかしたらですけど……』

「?」

『雷鳥電王かも……』

「らいちょうでんおう? ええと、雷の鳥ってことか?」


 雷の鳥なんていうと、サ●ダーとかを思いついてしまった。

 つまりは、雷を纏った鳥ってことだろうか?

 だけど、王という言葉に引っかかる。


『あれは、危険です。仮にも王の名が付く魔物ですので……制空権を支配するのが定めだと古より言われていると、風神が言っていました』

「いつの間に?」

『バルは考えずに行動するだろうから、最低限度の知識を覚えろと、二人から言われまして、一日かけて学びました……』


 ああ、なるほど。

 道理で出発を一日ずらそうとしていたわけか。


「で、ようは、風神でも敵わない魔物ってことでいいのか? それこそ、黒龍クラスか?」

『相性もあるので、一概には言えませんが、あれが王の中の王。ようは、空の主であった場合、黒龍の数倍は強いでしょうね……』


 黒龍の数倍の強さとは想像もできない。

 まさに、王にふさわしい化け物か。


「まあ、それなら仕方ないか。だったら、どうするか」

『現実的に考えれば、少しずつ進んでいくべきですね。拠点をずらすことで、魔族との遭遇が減るかもしれません。それに、食料の調達は絶対ですし……』

「まあ、それもそうだな。とりあえず、その子が目覚めてから移動するか――じゃあ、すまないけど俺も休むから、何かあったら教えてくれ」

『はい、だけど場所が場所なだけに爆睡はしないでね』

「わかった」



 とりあえず、俺たちは未開大陸。

 バルバスク大陸の攻略を始めていく。


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