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神獣殺しの精霊使い  作者: 氷帝花心(門屋定規)
1章 無の精霊と少年
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第32話ーシャットダウン

                 ☆


 なんとなく近くに居た青年に訪ねたのはどうやらしっぱいだったようで、俺たちの目の前には目が固定された、というよりも視線を一つも動かさず、黙り込んでしまう青年が石のように固まっていた。

 これは、あれか?

 この世界にメデューサでもいるのか? 

 それでか、って、それは妄想しすぎか。

 まあ、あれだ。


「あの、大丈夫ですか?」


 とりあえず、状態を訪ねてみた。

 万国共通、人種共通の話題だ。

 この手の対応が相手も一番しやすいと俺は考える。

 

「……」


 だが、青年はまるでシャットダウンでもしてしまったかのようにピクリとも動かない。それこそ、ショック死でもしてしまったのだろうか?

 でも、なんでこんなことに……?


「なあ、俺って何か悪いことしたか?」

『いえ、ただ普通に接しているように見えましたよ』

「だよなあ」


 これは、どうしたものかと悩んでみていると、青年の後ろの方から一人の男が近づき、そして、青年の頭を殴った。

 な、殴っただと?


「えええええええ!? え、これって、へうえええええっ?!」

「馬鹿が、何ぼうっとしているんだ……目的を忘れたのか!」

「あ、ああ……リュウヤか……いきなり視界がモノクロに反転したぞ! もう少しだなあ、気遣いと言うものができないのか?!」

「俺の知ったことか、それに、その少年に用があるんだろ? それならさっさと聞けよ、馬鹿が」


 要件?

 突如青年が固まったと思ったら、今度は別の男が青年の頭を思い切り殴るというわけのわからない状況に俺たちも固まってしまったが、なんだか俺たちに用があるみたいということはわかった。


「悪いな、こいつ、人見知りで。で、実は二人に聞きたいことがあってだ……今、時間は大丈夫か?」

「ええ、少しなら……」


 とりあえず、今思いだしたが青年のほうはホテルで滞在許可証をくれた国員の人だし、もう人も青年の人と打ち解けて喋っているし、同業者みたいだ。

 それに、ルシアも警戒心を露わにしないし、まあ、危険人物ではなさそうだ。


「それで、何の用でしょうか?」

「ああ、実はね、炎神絡みの件について聞きたかったんだよ……つい先日、二人とも炎神と会っているだろ? あの炎神が他人に興味を持つなんて、そうそうあることでもないから、僕らも少し気になったのさ」


 なんだか先ほどまでとは違う人物みたいに感じる。

 殴られたことで人格が壊れたのか? それか、仲間が来て一人じゃなくなったからなのか?

 まあ、シャットダウンさえしなければ、どっちでもいいか。


「……ああ、そのことですか……それなら、僕たちが砂漠で……説明に時間がかかりますが大丈夫ですよね」

「うん、もちろん」

「ああ」


 二人から了承を得てから俺は砂漠でのことを説明し始める。

 停止家のことや、魔獣人のことについて。


 しばらく話し時間が過ぎるがここは酒場、年がら年中営業している。

 そのため、俺たちはしばらく情報交換をつづけ。

 それは日が昇るまで続いた。


                ☆ ☆



 少年からの話は興味深いものだった。

 まず、停止家。

 確かに、停止家は存在する。今から遥か昔、伝説とも言われる無の精霊が考案した、魔力を抑える装置が組み込まれた牢屋のことだ。

 閉じ込めた者の魔力を使うことで機能するため、まさに自分殺しだ。


 そして、もう一つ。

 魔獣人。

 これについては、初耳だ。

 元から持つ魔力が暴走することで神獣と同様に狂暴になるやつか。

 正直なところ、嘘話すぎて信じられない。

 まず、魔力が暴走とあるが、人は精霊の力を借りなければ、魔力を使うどころか、存在にすら気が付くことが出来ない。

 そんな人が精霊もなく魔力を暴走とは、あまりにもおかしいだろう。


 そして、少年の精霊に化けて、力を調べたかった。

 これが一番不思議だ。

 確かに炎神は奇妙な精霊神として有名だ。それこそ、精霊神の中でもとくに悪い意味で有名かもしれない。

 そんな炎神がたかが少年の力を調べたかったとは……僕にはあの少年はどこにでもいる普通の少年の一人に思えた。

 とてもじゃないが、あの炎神が時間を割くのが想像できない。


 だが、砂漠にしてほしいと頼んできたのは、少年の力を調べるために、必要な舞台だったってことか。

 確かに、あの自然豊かな地では、足場も悪く少年の力が十二分に発揮できなかった可能性がある。

 それを考えれば、炎神の依頼については納得できるな。


「なあ、リュウヤから見て、あの少年はどう映った?」

「どうって、そこらにいる、普通の少年に見えたぞ。 お前もそうだろ?」

「ああ、あの少年には悪いが、とくに優秀には見えなかった」


 あの程度なら本気を出さずとも勝てそうだ。

 ということは、炎神が注目したのは少年ではないってことか。

 つまり、精霊のほうか。


「ふぅ、どうやら、精霊がキーかもしれないな」


 だが、少年は先ほど次の町を目指し旅たってしまった。

 だから、もう調べるのは不可能か、いや、炎神に聞いてみるのも手か。

 

 そして、僕たちは普段の業務に戻る。

 だが、バル。

 この名は覚えた。

 いつか、面白いことになるかもしれない名として。


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