表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神獣殺しの精霊使い  作者: 氷帝花心(門屋定規)
1章 無の精霊と少年
24/67

第23話 違う国

 空から発見した町は予想以上に巨大な国だった。

 入り口には、王国騎士団らしき守衛が10人ほどいて厳重な警備だ。だがその反面、内部には警備兵らしき人たちは誰一人居なかった。

 それだけ、内部は安全ということなのかもしれないし、屈強な戦士が陰に隠れているのかもしれない。どちらかはよくわからない。


 だが、俺たちは滞在申請を出し当分はここで生活していくことにした。何分お金も無ければ、ここら周辺の情報も何一つないのだ。当然のことだろう。

 それに、お金は神獣討伐金が手に入ると思っていたが、ここは目指していた国では無く、違う国らしい。それも、王帝国に属する国では無く、別の組織に属する国の為、持ってきた金銭は何一つ使えなかった。

 せめて、材料や武器など、売る物があればよかったのだが、ヒートから貰った武器を売るわけにはいかないし、それに武器が無ければこの先困ることになると思い控えていた。

 

 まあ、この先生きていくためにも、何か動物を刈っていかないといけないかなと思った俺たちは近くにいた人たちに狩場を訪ねるのだが。


「この近くに、狩りが出来る場所は無いですか?」

「この近くねえ。 あるけど強いよ。君みたいな子供では危ないし、別の仕事を探したほうがいいと思うけどねえ」


 とそんな感じで国民にいくら訪ねても、狩りができる場所は教えてくれなかった。これでも神獣殺しなんだけどな。


『仕方有りませんね、確かにバルは強いけど、外見は子供にしか見えないですし……』

「それはルシアだって同じだろ?」


 何か仕事でもあればいいけど。残念ながらどこに行っても子供なんて雇えないって門前払いされるんだよな。

 このままじゃあ、ラルトルス国にも行けないし、強くなることも不可能だ。それこそ精霊神なんて夢のまた夢だ。

 

『あっ! これなんてどうです?』

「……これ?」


 ルシアが指さすほうを見てみるとそこには一枚の紙きれが貼ってあった。えーと、……。


「なんて書いているの?」

『……挑戦者、募集中。優勝者には賞金として樽酒5樽……って書いています』

「酒なんて手に入れてもなあ……飲めないし、そもそも持ち歩けない」


 と、そんな俺たちとは対照的に、偶然そばを通りがけに見ていた青年たちは立ち止まると、俺たちを押しのけるようにして紙を凝視していた。


【おいおい、みてみろよ。 また王様ふざけた遊びを開催してるぜ!】

【酒5樽とかマジかよ! これ売れば一生遊んで暮らせるんじゃね!】

【参加しようぜ!】

【おお!】


 そう言うと青年たちは颯爽と遠くの受付会場らしき建物内に入っていった。


「これって相当豪華な賞品なんだ。よし!参加してみよう!?」

『ええ。もちろんです。これで当分の生活資金にできますね』

「じゃあ、俺たちも行こう!」


 青年たちの後に続いて、受付会場に入ると、そこには、長いテーブルと、腰かけている人たちが数人いた。


「あなた方も参加希望ですか?」

「はい、そうです」

「でしたら、こちらに契約精霊と、お名前をお書きください」

「はい……書きました」

「はい。ではそちらの待合室にてお待ちくださいませ」


 受付員が示す先には、豪華な椅子がたくさん置かれている空間があり、そこには先ほどの青年たちから、お年寄り、またまた、屈強な体つきの戦士みたいな人たちとさまざまな人が居た。

 とりあえず、俺たちは向かい掛けの椅子に座る。


 とりあえず参加したが、何をするのかは分かっていないんだよな。もしも戦闘だとしても、ルシアと協力すれば大抵の相手は片付けれるかな?

 そう思考にふけっていると。隣に座っていた、青年たちの一人が声を掛けてきた。髪の色は金髪であり、サングラスを掛けており、見るからにチャラそうな人だ。


「ねえ、君たちも参加するの?」

「はい、そうですが?」


 ずいぶんフレンドリーな人だなと思っていると、青年はあろうことかルシアの手を握りしめてきた。


「君さ、ずいぶん可愛いね。俺たちと話しない?」

『えーと、すみませんがバルが居るので』


 えーと、こういうのをなんていうんだったかな。

 確か、ナンパだったかな。それにしても俺がすぐそばに居るのにも関わらずこいつら、よくまあルシアに話しかけてきたな。

 まあ、ルシアのモチーフは姫だから可愛いのも頷けるけどさ。

 まったく、ルシアが困っているじゃないか。

 仕方ない、ここは止めよう。


 俺はナンパ青年を止めようと、アイテム一覧から、魔法銃を取り出した。そしてナンパ野郎に向かって、銃を向けようとしたところで…… 


「でもさあ……ってうわああああ」


 突如青年は空に舞い上がり、そして落ちてきた。急いでルシアの右手を見てみると、ほのかに白く輝いていた。

 どうやら、能力を使ったみたいだ。まあ、失礼なやつだしいいと思うけど。


『それで……まだ何かご用ですか?』


 ルシアは、普段見たことも無い、怒り顔で青年を睨み付けていた。その恐ろしさに青年は腰が抜けたのか逃げようとするもその場で蹲っていた。


「ルシア!その辺で……止めよう……ね!」

『わかりました。でもバル!そんなに冷たいとは思いませんでした……ふつうは助けませんか?』

「ゴメン! 助けようと思ったんだけどさ……」

『言い訳は良くないです!』

「ゴメン、本当にゴメン」

 

 はあ、さっさと脅して助ければよかったな。それにしてもだ、ルシアがここまで怒り狂うとは思っていなかった。

 普段があれだけに、てっきり天然なのだと思っていたけど、そこはやはり見た目相応の年齢だということか。

 さて、どうやって機嫌を直してもらおうかな。

 さすがにこのまま不機嫌でいられるのも困るしなあ。

 確か、恋愛ゲームとかだと、こんなときどうしていたかな……。 


 ハグするとか、手を握るとかか。

 うん。俺にはそんなことは出来そうにはない。


「では、そろそろ参加者の皆様も集まりましたので、こちらを見てください」


 と、先ほど受付にいた係員は、壁側にかかるスクリーンらしきものを指さした。

 大きさは、横3m縦2mとかなり大きい。そしてスクリーンを見ると、そこには文字が書かれていた。


「皆様には、これからゲームをしてもらいます」

【ゲームってどんなかんじ?】


 参加者である青年たちの一人が、疑問そうに首を傾げながら、受付員に訪ねた。


「基本的には、簡単なゲームです。まず初めに皆様は風の力の持ち主ですよね」


 それに対し、参加者たちは同時に頷いた。

 そう、確かに紙には風使い限定とは書いてあった、だから俺たちも参加したんだけど。

 正直な話、俺は全ての力を使えるから、別にどんなルールでも出れるけどな。


「皆様には、その力を使い、この風船を出来るだけ空に飛ばし続けてもらいます。その風船の数によって優勝者を決めたいと思います」

「数ですか? それは多くの風船を飛ばせば点が入るということですか?」

「ええ、そうです。因みに今回は参加者同士で、飛ばすものと撃ち落とすものの二つに分かれてもらい、戦ってもらいます。もちろん相手に傷をつけるのは禁止です」


 なるほど。

 つまりは参加者は、風船を飛ばす者と、妨害する者の2つに分かれて、相手の妨害に耐えながら、風船をより飛ばせた方が勝ちという訳か。

 でもそれだったら、いつ終わるんだろう。

 そう思っていると。


「後、制限時間は5分間です。その間、風船を10m以上、上に多く浮かせ続けるのが、ゲームルールです。因みに相手の風船を割る行為は禁止ですからね」


 なるほどなあ、これなら相手を傷つける心配はないし、安全ということか。


「ルシア、頑張ろうぜ!」

『そうですねー』


 俺が活きこんでみるものの、まだ気にしているのか、そっけない態度だな。

 それなら、どうしようかなあ。


「もしも、優勝したらルシアの言うことを、なんでも一つ聞いてあげるから……それで許してくれませんかね……」

『(なんでも)……わかりました』



 なんだか、とんでもない約束をしてしまったような気がする。もしも死ねとかの命令だったどうしよう。

 ルシアに限ってそんなことは無いと思うが、先ほどの出来事を見ているとなあ。

 でもまあ、ルシアもなんだか元気になったし、細かいことはどうでもいいか。



 それじゃあ、ゲーム開始だ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ