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神獣殺しの精霊使い  作者: 氷帝花心(門屋定規)
1章 無の精霊と少年
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第18話 洞窟と伯爵

「それでは皆さん、ひとまず私が作った洞窟に入ってください。 このままでは、龍に見つかる可能性がありますので」


 世界最大規模を誇る王国の保有戦力、王国騎士団に属する彼はそう大きな声で乗客に呼びかけた。

 さすがに乗客たちもこのままでは危ないと感じたのか、一人、またひとりと洞穴の中に飛び込んでいく。



「……それにしても見事な洞穴だな」

『そうですか? 彼以上に立派な洞穴を作れる人なんて世の中には山ほどいると思いますよ?』


うん?そうなのか?

 わずか、1分足らずで全長100m程にもなる洞窟を作ったのだから、相当な腕前だと思ったがルシアからしたら大したことは無いようだ。

 そうかなあ、十分凄いと思うのだが。


「君たちも急いで!」


 気が付くと、俺たちの目の前に王国兵が居た。 

どうやら洞穴の入り口付近でルシアと話している間に、他の乗客と従業員は全員、洞穴に逃げ込んだみたいだ。


「はい」


 俺は短く返し、ルシアと一緒に洞穴内部に入っていく。

 広さは縦、横2m程の正方形がずうっと広がっているみたいだ。

 ……しばらく歩くと先が急に広がり、大きな部屋が見えてきた。

 内部を見ると、乗客たちは全員、これまた王国兵が作り上げたのか、長い椅子に座っていた。



「皆さま。 先ほど申しましたが、私は王国騎士団A級です。ひとまずは安心してください。皆様を必ずやお助けいたします」


 王国兵の言葉にいくらかは安心し落ち着きを取り戻したのか、それとも逃げることから諦めたのか誰一人、泣く者は居なかった。



「それで私たちはこれからどうすればいいのかね?」


 壁際に寄り添うように立っていた初老の男性は俺の後ろの王国兵に、静かだが力強い声で尋ねた。

 男性の身なりは、上下とも高級そうなスーツを身に纏っており、胸元には丸いバッチを二つ付けていた。バッジには炎と風が混ざり合ったような絵が描かれている。



「ご心配には及びません、クルラーク伯爵。 時期に救助隊が駆けつけるかと思います」

「そうかね? 君はそうは言うがここは龍の巣だ。 そう簡単には救助にも来られないと私は思うのだが、違ったかね?」

「ええ……確かにここは危険です。 ですがこの洞窟内に居れば、飛龍の目から潜り抜けることは可能だと思います。 運がいいことにいくらかの食料は飛行艇から持ってこられたので三日程度は耐えきることも可能だと思います」

「3日ねえ、君はどのくらいの力があるのかね? 護衛という割には強くは見えないんだが? なんなら私が指揮を執った方がいいかね?」

「いえ、クルラーク伯爵の手を煩わすまでありません。 ひとまず、私は外に出て、救助が来ているか確認してきます。 大丈夫だとは思いますが、万が一の場合は、クルラーク伯爵様、指揮をお願い致します」

「ふむ、まかせなさい」



 偉そうな人だな。

 確か伯爵とか呼ばれていたけど、今まで伯爵なんて聞いたこともないし、どれくらい凄いのか全然わからない。

 だけど、乗客の全員が誰もが憧れるような目で見ていた気がするんだが気のせいだろうか?



「(なあ、ルシア?_この伯爵って、そんなに偉いのかな?)」

『(伯爵ですか? 伯爵といえば、とても偉い人ですよ、それに、魔力量を確認したところ、あの伯爵、かなりの実力者ですよ。 仮に王国騎士団だったらSクラスに入る位の実力だと思いますよ?)』

「(Sクラス!? それってすごすぎじゃないか。 ああ、だから皆憧れるような目で見ていたのか)」



「さて、初めまして、私はクルラークと申します。 かつては王国騎士団団長を務めていた経験もありますので、どうか皆さん、ぜひ協力していただきたい」


 ああ、なるほど。

 どうやら初老の男性はかつて王国兵だったみたいだ。それも兵のトップの団長にまで上り詰めた実績があったから、こんなにもみんなが憧れの目で見ていたのか。



「まあ、皆さん安心してください。 さて私も少し外の様子を見に行きたいと思います。 彼一人では危険だと思いますのでね。 皆さんは静かにお待ちいただいてください」

「わかりました、伯爵殿」


 クルラーク伯爵の考えに乗客たちが次々と賛成し、次第に拍手が起きた。

 それにしてもすごい人望だ。

 まあ、この人に任せれば、なんとかなりそうだな。


「(クルラーク伯爵の指示に従ったほうが良いかな?)」

『(うん、私もその方がいいと思うな)』

「(まあ、なんとかなりそうだね)」


 そして俺たち、乗客は伯爵の言葉を信じ、それぞれが静かに過ごして、寝ることにした。皆疲れていたのか、一人が寝てしまうと、席を切ったかのように次々と眠りに落ちていく。


 俺も疲れたし、今日は寝て明日以降に備えるとするか。


「ルシア、なんかあったら起してくれ」

『了解ですよー』







 ……そして次の日、外から戻ってきたのは、伯爵でもなく、王国兵でもなかった。

 それは、今まで見たことも無い姿だったが、俺には一目見てわかった。

 こいつは人間ではない。

 こいつは、おとぎ話によく登場するミノタウロスだと。


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