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神獣殺しの精霊使い  作者: 氷帝花心(門屋定規)
1章 無の精霊と少年
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第9話 精霊の祠 

 次の日俺は鳥が鳴く音に起こされた。

 部屋の窓を開け外を見ると数匹の鳥たちが木にとまり鳴いていた。どの鳥も鮮やかな色をしている。大きさはカラスほどの大きさだ。

 ヒートによるとあの鮮やかな鳥たちはカーラ鳥と呼ばれており、早朝に一斉に鳴く習慣があるようだ。

 この世界では家に一匹以上、カーラ鳥が飼われており家主を起こす目覚まし時計の役割を果たしているということだ。

 まるで鶏だな。だが鶏よりも知性が高く、調教師が指導すれば家主の好きな時間に鳴くように変更することが出来るそうだ。

 まあ、深夜とかの迷惑がかかる時間帯は無理だが、迷惑がかからなければ大丈夫らしい。

 だからこの世界では昼間に鳴き声が聞こえても変ではなく普通なことらしい。


 俺はボロボロになってしまった現実世界の服を脱ぎ、昨日ヒートから渡された服を着て部屋を出る。

 ヒートが貸してくれた服を触れてみると白のアイコンが出現する。

情報を見ると。


 《 衣服 効果なし 》


 と表示された。

 うん、普通の服だ。


 俺は今まで来ていた服を触れてみるがこちらはアイコンが出ない。

 どうやら現実世界の物にはアイコンは出現しなく情報を見ることは出来ないそうだ。

 

 俺は階段を降り下のリビングに行く。

 するとそこではリアは本を読み、ヒートは椅子に座り一枚の紙を見ていた。

 大きさはA4程だろうか。


「おはようございます」

「おはよう!」

「ああ、おはよう。昨日はよく眠れたか?」

「はい、おかげさまで」

「そうかそれはよかった。じゃあちょっと待ちなさい、いますぐご飯を用意させよう……フリィ今すぐ持ってきてくれ」


 フリィ?誰だろう?

 この家にはリアとヒートしか居ないんじゃなかったのかな?



「紹介しよう、こちらがフリィ、わが家の家政婦だ」

「よろしくお願いします。フリィと申します」


 ヒートが紹介する先には一人の女性が居た。いや女性と言うよりも女の子だ。見た目は10代後半だろうか。髪の毛は後ろで束ねており色は綺麗な金髪だ。

 もしやヒートはおかしいのだろうか?

 だってなあ、40過ぎの男性と10代後半の女の子。

 ……なんかおかしくね?

 犯罪の匂いがするんだが。


「なに驚いた顔してるんだ?この世界じゃあ家政婦は普通だぞ?」

「いや、家政婦に驚いたんじゃなくて年齢が若そうだなあと思って」

「ああ、フリィは今年で16歳だからな。 そりゃあ若いだろ」

「あの……この町では16歳から働いているんですか?」

「うん?……違うぞ、こいつは知り合いから預かっているだけだ。生活の面倒を見てくれと頼まれてな」

「はい、そうでございます。ヒート様には生活する場所や食事などでお世話になっておりますので、代わりに洗濯や掃除、料理をお礼にしているんです」

「へえ、そうだったんだ」

「ああ、だから家政婦と言うより親戚だな」


 なんだ、犯罪かと思ったが知り合いから預かってるだけなのか。

 まあ、そうだよな。あんな俺に親切にしてくれたヒートがそんな奴だったら残念だ。

 

「初めまして、バルです」

「バル君ですね……バル君はなぜこちらに?」

「ええと、道に迷っていたところを助けてもらったんですよ」

「そうですか、ではこちらにご料理を用意いたしましたのでどうぞお召し上がりくださいませ」

「はい、ありがとうございます」

「いえ、では失礼します」


 そう言うとフリィは部屋から出て行ってしまった。

 もう少し喋りたかったな。

 ……ふとヒートの方を見ているとにやにやしながら見ていた。


「もしかして……惚れたか?」

「はは、まさか」


 ヒートはニヤニヤしながら訪ねてくる。意地悪な人だな。


「……まあ、フリィには友達が居ないからできたら仲良くしてやってくれ」

「いいですけど、たぶん精霊と契約したら旅に出ますよ?」

「旅にでるのか?」

「ええ、いつまでもヒートさんに迷惑をかけるわけにはいきませんからね」

「そうか……そうだ、腹減っただろう?飯を食おう」

「はい」


――― ―― -


 それから俺は2人と精霊についての話をしながら朝食を食べた。

 ……ヒートの話によると精霊との契約は9歳を過ぎていれば誰でもすることができるらしい。

 方法も簡単で、町の近くにある森の中に精霊の祠と呼ばれる下級精霊と契約ができる場所があるらしい。

 ……因みに精霊使いには精霊核人と補助精霊人の2種類があるそうだ。


・精霊核人は世界各地に居るとされている野生の精霊と直接契約を結んだ人 の事

  

 『主に戦士や冒険者に多い。

  直接精霊と契約を結ぶため強力な精霊を身に宿すことが出来る。

  一般的にはそういった者たちの精霊は上級精霊、あるいは神級精霊と呼  ばれるそうだ。

  因みに世界に6人しかいない精霊神の精霊は皆、神級精霊だということ   だ。』


・補助精霊人は精霊核を宿す遣い人から力を貸してもらう人の事。


 『既に精霊と契約を結んだ精霊核人から一時的に力を貸してもらう方法。

  当然一時的に貸してもらっているだけなので精霊核人に比べれば力は弱  い。

  だが、だれでも精霊の力を使うことが出来るので効果はデカい。

  主に生活する際に使われているそうだ。

  補助精霊という名前通り、力が弱いため初級精霊と呼ばれるそうだ。』



 そして今から行く精霊の祠では補助精霊と契約をすることが出来るそうだ。

 長い年月、使うのには補助精霊は向いてはいないが、だが初心者が初めて 練習として使うのには良いらしい。




「それじゃあ行くか」

「はい」


 ――― - ――― -

 

 食事を終えた俺たち二人は町の近くの森に足を運んでいた。

 リアは今日は用事があるらしく、俺とヒートの二人だ

 途中門番とケンカをしそうになったが来るとき同様ある一定の場所から動きが止まりその場で睨み付けるだけになった。


「ああ、そういえばなんで門番たちは怒っても俺たちを追いかけないんですかね?」

「あれ言ってなかったか?門番たちには呪いがかかっているって」

「呪い…ですか?」

「ああ、もう10年前のことだ。あいつらはこの町に来るそうそう何をしたと思う?」

「うーん、脅迫とか煽ったりとかですか?」

「いや、そんな生ぬるいものじゃあないさ。あいつらはだなこの町に住む住民を一人殺したんだ」

「こ、殺した……?」

「ああ、詳しくは言えんがあいつらはこの町の住民を一人殺し、呪いを受けたんだ。それ以来奴らは町の中に入ることも外に出ることもできないんだ」

「だれが呪いをかけたんですか?」

「町の守護木のユグドラシルだ。とは言ってもどうやって呪いをかけたのかは未だに謎なんだがな」

「ユグドラシルって確かこの町の外壁に防壁を張っている神ノ木のことですよね。あの木にはそんな力まであったんだ」

「ああ、俺たちもそれまでは知らなかった。だがまあさすがユグドラシルってところだな」

「そうですね」


 

 しばらく話していると目の前に建物の姿が見えてきた。



「……おっ、着いたぞ。あれが精霊の祠だ」


 ヒートが指さす先には神社に似たものが立っていた。

 大きさは3m×3m位だろうか、思ったより大きい。

 入り口は木の板で出来ており、色は黒色だった。


「よし、入るぞ」

「は、はい」


 ヒートは入り口の戸を左右にスライドし開いた。

 中を見てみると奥の方に丸いボールみたいなものが宙に浮いていた。

 ボールの中には様々な色が漂っている。


「あの中に精霊がいるんだ……じゃあちょっと待っててくれ。今この精霊の使い人を呼んでくるから」

「は、はい。わかりました」

「ああ、そうだくれぐれも精霊には触れるな。何も準備をしないと意識を持っていかれて最悪死ぬからな」

「はい」


 ヒートは祠の右側に立つ家の方に向かっていった。おそらくあの家に精霊人が住んでいるのだろう。

 それにしても、綺麗なボールだな……いや精霊か。

 

 ……ヒート遅いな。もう5分は立ったと思うのだが。

 一回家に行くか?でも待つように言われたしな。

 まあとにかく座るか。


 俺は祠の入り口の段差に座りヒートを待つ。

 すると遠くから一人の男性がゆっくりと歩いてきた。

 一瞬ヒートかと思ったが服装が違う。じゃああれがこの祠の精霊の使い人かもしれないな。

 俺は挨拶しようと立ち上がり、そして違和感に気が付いた。

 ……男の全身には真っ赤な赤いものがついていた。そして男の顔を見ると目つきは鋭く、口からは血が溢れていた。

 男を見ていると向こうも気が付いたのか俺の全身を舐めるように見てきた。

 普通だったら男にそんなことをされたらただただ不快なだけだが、今この瞬間は違った。

 男の目を見た瞬間、俺は崩れて倒れていた。

 そのだけの恐怖を俺は感じていた。

 例えるならライオンの檻の中に裸で閉じ込められたみたいなものだ。


 「くったったたたたあああ」


 男は徐々に近づいてくる。そして変な言葉を発しながら涎を垂らしていた。

 そしてとうとう男との距離が1mとなった。

 こ、殺される。


 「くたたたっああ」


 だが男は俺を無視するように横を通り過ぎて行った。

 そして先ほど触れるなと言った精霊のボールに男は顔を近づけていた。

 そして男は喰っていた、精霊を。


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