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非現実戦線

作者: A-9

 妻が家を出てもう半年になる。

 何が発端だったかはもう覚えていないが、この国は戦争を始めていた。

 私の妻は、赤紙を受け取ったのだ。

 今の時代は女が強く、人間本来の生きる力を持っているとかで、率先して戦場に赴き、第一線で活躍すべきは女であるという。

 そうして、結婚してたった一年と少し、ようやく落ち着き始めた二人の生活は終わった。

 初めの何ヶ月かは毎日、寂しい、会いたいとメールを送ってくれた。

 しかし、今は数日に一度、近況を知らせる内容が届くだけ。戦場という事情もあるだろうが、彼女は私に頼らない、己の道を見つけたようだ。

 私は空き缶やビニール袋に侵略された、薄暗い部屋の中でテレビを付ける。

 ニュースによると、我が国の女性軍はよく統制も取れ、見事な戦果を挙げているという。

 かつては待つ事が女の戦いなどと言われていたが、今や、待つ女はいない。残された男も、かつての女のような気高い意味で待つ事はできていないのだ。

 そう思うと、確かに女は強く、生きる力を持っていたのかもしれない。

 マナーモードの携帯電話が机を揺らし、メールの着信を告げる。

 それは妻の帰国を知らせる内容だった。

 ついこの前までは国外にいた彼女だが、来る防衛戦に備え、今は北海道に向かっているという。

 日本家屋が懐かしいと絵文字が踊る。

 我が国が戦場になるとでも言うのだろうか。しかし、戦いが始まれば、勝利の時まで特産品はお預けになるに違いない。

 大変なことだ。蟹でも鮭でも、今の内に食べておかねばなるまい。

 夕食を決めた私は、久々のご馳走への期待に胸を躍らせながら買い物に出かける。

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― 新着の感想 ―
[一言] 内容はとてもすばらしいと思います。 でも、もうちょっと膨らみを持たせて書くととてもいいと思います。 終わり方は読者の想像に任せる感じでいいと思います
[一言] コメディに分類されていましたが、正直どこにその要素があるのかわかりませんでした。 文章自体は特に問題ないと思いますが、全てが一文で改行されているのは、少し読みづらかったです。
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