行く宛
~高峰春香 視点~
「つまりぃ、子供を守るためにぃ逃げていたらぁいつの間にかぁあそこにいたってことぉ?」
「「「うっ」」」
私の言葉に対して隆司、卓弥、由希の3人が言葉をつまらせていた...??...
「それだけのことを聞き出すのに1時間って...」
由希が呟くと3人がうつむいてしまった。......?
「これからぁ、どうするのぉ?」
落ち着きを取り戻した3人が真剣な表情になる。
「その追っ手とやらはこれねぇんじゃねぇの?だったら危険はほとんどないわけだ」
卓弥がまるで判決をまつかのようなフィーナに微笑みかける。
「じゃぁフィーナはどうしたい?」
隆司がフィーナに問いかけるが......違うんじゃないかな?
「う~ん?隆司ぃそれは違うぅ?むしろ逆ぅ?」
「え?」
「あの、わたしどこに行く宛もなくて...」
そう、日本のことをしらないフィーナがどうしたいかなんて考えようがないはず。
「ハルが言ってた大変なことってこれか~......隆司、あたしたちがどうしたいかを考えないといけないみたいよ?」
「なるほどな、フィーナちゃんを見捨てるのも助けるのも俺たち次第ってことか」
卓弥の言葉にフィーナが身を震わせる......でも、答えはもう決まってるよね。
「見捨てるなんて選択肢はない!」
「当然だな」
「当然よね」
「当然ねぇ」
私たちにとっては当たり前のこと。厄介ごとだとしても、綺麗事だと言われても、自分たちの手の届く範囲でやることはやりきる。そう全員が考えられるから。
だから考えるのはもっと先のこと。
「だとすると始めは住む場所か?」
「まずは衣食住か、本来ならアパートなんだろうけど...」
「アパートか...借りたことないからわからないんだけど、ハルならわかる?」
やっぱり皆同じ考えだった。私たちの話す内容を聞いているフィーナの戸惑いが少し面白い......とアパートについて?
「当然だけどぉ、お金がいるぅ。後はぁ保護者の印鑑とぉ住民票ぅ」
2年たってしっかりとは思い出せないけど重要なのはこれくらいだった気がする。
「金も厳しいけど保護者の印鑑と住民票か......なんとかなりそう?」
残念ながら大学生である私たちはお役所事情について詳しくない。そこで由希がスマートフォンとにらめっこしながら情報を集める。
「うーん、無理かも。住民票とか戸籍とか全部本人確認書が必要なんだって。......さすがにもってないでしょ」
本人確認書って運転免許証とか保険証とか?
「だとすると誰かに借りてもらうか...やっぱりこの家か?」
「だな」
「よね」
「ええぇ」
全員が頷きフィーナたちの住む場所を決定する。
「ちょ、ちょっと待って下さい」
フィーナが声をあげて話に割り込む。
「そこまで皆さんのお世話になるわけには」
フィーナ自身がこの状況をわかってないみたい。
「フィーナが言ったんだ。行く宛がないって」
「行く宛がないなら、居る宛を作るだけだ」
「あきらめなさい」
「私たちはぁもう決めたわぁ。...それにぃ」
ちらっと隆司をみる、隆司は頷き...
「フィーナが倒れていたこと。僕たちにここまで運ばれたこと。もうこの決定になるのは半ば決まってたようなものだし、そもそもフィーナには拒否権はないよ」
正しくは拒否しても無理矢理この家に居させるつもり...誘拐の一歩手前な気もするけど
フィーナは唖然としていたがややあって瞳を滲ませた。
「ごめんなさい......ありがとう」