理由②
~佐藤由希 視点~
「でも、フィーは何処から来たの?」
フィーがエルフだということはわかった...まだ信じられないけど、だからこその疑問がある。
「それがわからないんです。追っ手から逃げるために必死で森を走っていたら急に地面がなくなって...それでも前へ進んでいたらいつの間にかあの場所に」
あの場所とは隆司とハルが発見した場所だろう......とんでもないこといってなかった?
「地面がぁなくなったのぉ?」
そうそれ!地面がなくなったって何?
「わたしもよくわからないんです。森の開けた場所に出たと思ったら急に地面がなくなったような感じで、でもあの子たちは守らないといけないから...」
フィーがこれ以上はわからないとばかりに首を振る。不可思議な現象が起きたみたいだけど聞いても理解できないし話を変えてみる。
「フィー、まるであの子たちの母親みたいね」
「ええ、ルイもエリーもわたしの子ですから」
...え?......ええ!?
「フィーナって二児の母親!?18才くらいにみえたけど」
気持ちはわかる。けど隆司?女性に年齢を聞くのはタブーよ?後でみっちりとOHANASIしようか?隆司を睨み付けると慌てて離れようとする......逃がすか!
「ええ、エルフ族は寿命が長いので外見も人族に比べてゆっくりと成長していきます。大体600年ぐらいが平均寿命でしょうか?実年齢は108才です」
108才!?テンプレ通りだとはおもうけどあたしたちより大分年上じゃん!
「え!?フィーナちゃんって実はおば...うぐっ」
卓弥が余計なことを言おうとしていたので肘鉄で黙らせる...全く男どもは!
「でもぉ、さっき私たちがぁ年上だってぇ言ってたよねぇ?」
「はい、エルフは実年齢とは別に人族に合わせた年齢として6年で1才とした年齢を持っています」
つまり6分の1ってこと?年齢詐欺にも程があるわね...108才だから18才?その計算では確かにあたしたちより年下だけど...複雑ね...
「今の話からすると人族?とはかなり交流があった?ならハーフエルフってこれまでに結構な数いたんじゃないのか?」
これまでに多くのハーフエルフがいたらそんな追っ手に追われるようなことにはなりにくいと思う。
「いえ、確かに人族の方と子を生むエルフはかなりいました。しかし生まれる子は人族かエルフに別れるそうです。ハーフエルフは生まれることはほとんどないのだとか。そのために、ハーフエルフは災いを呼ぶものとして忌み嫌われるんです」
......この子たちにはなんの罪もないのに......と呟くとフィーにかける言葉があたしたちからは出てこなかった。