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異世界からの訪問者  作者: マイティ
一年目 春
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理由①

~篠崎卓弥 視点~


「申し訳ありませんでした。わたしの勘違いでした」


名字がある=貴族ってのはすっ飛んだ考え方をするもんだ。まぁ今はそれよりも気になっていることを突っ込んでおこう。


「俺たちが貴族じゃないってことはわかったろ?だからその言葉遣いをヤメてくれ」


後輩からの敬語程度なら問題ないんだが、ここまで畏まった言葉遣いで話されると気が落ち着かない。


「で、でも...」


「そんなにぃ、難しくぅ考えなくてもいいんじゃない?」


ナイス!春香ちゃん!


「普段身内と話すような言葉遣いのほうが気が楽かな」


「うん、あたしもその方がいいな」


よし!さっすが親友!考えることは同じな訳だ...話が纏まりつつあるから本題にでも戻すか。


「で?どうして倒れてたんだ?」


話を戻したことで3人が真剣に聞く体制をとる。彼らにつられて彼女も姿勢を正す。


「えーと、先程も申し...言いましたが、よくわからないんです。追っ手から逃げるためにがむしゃらに逃げてたらあそこに出まして...そこで身体に力が入らなくなって」


なにやら聞き捨てならない不穏な単語が聞こえたような?隆司と由希は顔を曇らせている。春香ちゃんについては、変わらない?動じないな。


「追っ手って何ですか?どうして狙われてるんですか?」


「正確にはわたしを狙っているわけではありません」


そういって視線を客間に移すフィーナ。もしかして狙われてるのはあの子たち?どうしてだ。


「あの子たちが狙われる理由は?少なくとも僕には見当がつかない」


「それは......あの子たちがハーフエルフだからです」


意を決したように告げた内容に俺たちは理解が追い付かなかった。......ハーフエルフってあれだよな?エルフと別の種族の混血みたいな感じの?おいおい追っ手のやつらそんな話信じてんのかよ。


「えっとぉ、フイーナさん?一度ぉ寝た方がいいわぁ」


おお春香ちゃんが動揺してる。中々ないケースだな。それにしても突っ込みが的確だ、先ず頭の調子が悪いとみたか?


「え?いえ、先程まで寝ていましたので大丈夫です」


「フィーナさん?僕は貴方のいうこと信じてますよ...」


隆司、一時的な理解者になったか。でもそれ、俺がお前にやったのと同じだよな?全然信じてないよな?


「ありがとうございます」


「フィーナさん?ちゃんと現実を見ようね?空想に取り込まれていいのは14才までよ?」


由希、お前フイーナのこと完全に中二病患者だと確定してるだろ...まぁおれもなんだが。


「あ、あの...その前にわたし、さん付けで呼ばれるの慣れてないんです。ですから呼び捨てかフィーと呼んでください。皆様の方が年上のようですので是非そちらで」


まぁ確かに見た目は18才くらいってとこだしな。そっちで呼んでくれってんなら遠慮なく呼ばしてもらうさ。


「それでなフィーナちゃん?俺らの国に貴族はいないって話したけど、国っつうか世界にエルフなんていないぜ?」


「え?」


「だから世界単位の話でエルフはいないっての。フィクションにしか出てこない。まぁつまりだ、さっきフィーナちゃんがいっていた話が全部嘘に聞こえる」


少し言い過ぎかもしれないが今後話し合いを円滑に進めるためにどうしても釘を指しておくべきこともある。中二病患者に付き合う気もないしな。


「そんな!?わたし嘘なんて!」


「悪いけどエルフがいるって証拠をがないと信じられない」


もしかしたら泣かせることになってしまうかもしれないが...だが信頼関係を築くなら嘘や空想から抜け出してもらわないと困る。


「しょ、証拠って...そうだ人族は耳が尖ってないんですよね?これでどうですか?」


確かに耳が尖っている。物語に出てくるエルフの特徴だ。しかし、現代医療では個人差はあれど耳を尖らせるくらいすぐに出来てしまう。証拠は証拠だが確定的ではないだろう。


「他には何かある?」


「ほ、他ですか...」


「エルフなら魔法とか使えるんじゃねぇの?」


少し意地悪な問いかけだったか?


「魔法ですか...私たちは魔法は使えません。その代わりに精霊術を使えます」


「その精霊術?を使ってみてくれ」


「は、はい...風の精霊よ...お願い!」


フィーナちゃんがそう呟くと窓は閉めてあるのに風が吹き椅子を数十秒間浮き上がらせた。...まじで?


「え?」


「うそ?」


「あらぁ?」


三者三様思わず声が出る。これはもう、信じるしかないよな...


「フィーナちゃん疑ってごめんな?本当にエルフなんだ...」


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