誤解解消
~フィーナ 視点~
頭がぐるぐるして思考が追い付かない。ここはどこなんだろう?あの人たちは?追っ手は?
いろいろなことが起こりすぎて整理が追い付かない。とにかくこの子たちを休ませたら説明しにいかないと。
「お待たせしました」
頭を下げて許しをこう。きっとこの方たちは貴族の方だ。粗相があればわたしだけでなくあの子たちの命まで危ない。
「いえ、構いませんよ。それより先程の続きを」
何とか許しはいただけたようだ。でも気を抜く訳にはいかない、何故ならわたしはこの方々の知りたい情報を持っていない可能性が高い。
「申し訳ありません。覚えのあるかぎりで話致しますが、わたし自身よくわかっていないところがございます。なにとぞ容赦の程をお願い致します」
わたしがそういうと貴族の方々は皆怪訝な顔つきになられた。やはり情報を持っていなかったというのはまずかっただろうか?しかし嘘がばれたときにはより重い罪が待っているに違いない。しかし、この状況どうすれば?
「あ~なんだ?とりあえずその畏まったしゃべり方ヤメてくんねぇかな?」
篠崎卓弥様でしたか?ヤメてくれと言われてヤメてしまえば不敬罪になるのでは?
「申し訳ありません。不快に思われたのなら謝罪致します。ですが貴族の方々に対して言葉遣いを正すのは当たり前のことですので」
何故か貴族の方々が唖然とした顔をしている。エルフだから言葉遣いが悪いとでも思っていたのかしら?そんな豪涯不遜な態度だから一部の種族に嫌われるのだというのに。
「え~とフィーナさんでしたっけ?何か勘違いしているようですけどあたしたちは貴族でも何でもないですよ?」
??貴族ではない?いや、そんなわけがない。人族で名字のある人は全員貴族だと彼が言っていた。目の前にいる方々は確かに名と名字をおっしゃっていた。
「わたしは世の事情に疎いエルフ族ですが、貴族の方には必ず名字と名前があると聞いたことがあります。皆さま方は皆名字をお持ちです」
世間知らずだと罵りたかったのだろうか?もしそうなら意図してないこととはいえまずいことをしたかもしれない。
「?貴方の国がぁどんなだったのかはぁしらないけどぉ、日本では皆が名字を持ってるわよぉ?」
「貴族の皆様が名字をお持ちだということですよね?」
そうでなければおかしい。全員が貴族などあり得ないのだから。
「いえ、そうではなくてですね。先ず、貴族というものはありません。お金持ちの人もそうでない人も皆名字を持っていますよ」
え?あれ?何かがおかしい?貴族は名字を持っていて、お金持ちで...
「もう一回言っておくとだ、この国に貴族なんてものはない。だから俺たちも貴族じゃない」
貴族がない人族の国なんてあるの?でも嘘を言っているようにはみえない...それじゃぁ本当に貴族じゃない?