プロローグ
初投稿作品です。宜しくお願いします。
「出ていけ!!」
老人の声が森の里に響き渡る。
「そんな!?今里を出てしまったら子供たちはどうするんですか!」
若い女が反論する。しかし、周りを囲う人の目は冷えきっていて彼女を見下している。侮辱、侮蔑、軽蔑、様々な視線が彼女に刺さる。
「人族との混血は災いをもたらす!即刻この里から出ていけ!!」
彼女の反論を意に介さず追放を言い渡す老人。その時、とてて...と小さな足音が彼女の元にやってくる。
......周囲の目が彼女への侮辱から小さな子供たちへの嫌悪に変わった。
......どうしてそんな目を子供たちに向けられるの?......
自身への侮辱なら耐えることはできた。しかし子供たちにまで悪意の視線が向かうことは耐えられなかった。
「お母さんどうしたの?」
こんな視線に晒されながらも母親を心配する子供たちは自分が嫌われているとは思ってもいないだろう。
......子供たちには自由に生きて素直に育って欲しい......
「...いいえ何でもないわ。今日は少し遠くに出掛けようと思うの、家に帰って準備してきなさい」
子供たちに微笑みながら家に帰らせ、周囲の大人たちへと視線を戻す。
「...里は出て行きます。ですから子供たちにはなにもしないでください。お願いします!」
彼女は里を出た後に何が起きるか、おおよその見当はついているようだ。災厄と恐れるものを追放だけで済ます訳がないのだから。
「...」
周囲の大人たちの返答はない。彼女は確約が欲しかったであろうが、即座に行動に移す。
......あの子たちは必ずや守ってみせる!そのためにも急がないと......
そして彼女は子供たちを連れて里を出る。魔物が出没しようとも道なき道をひたすらと歩き続ける。...少しでもあの里から離れるために。
「お母さんどこまで行くの?」
「疲れたよぅ」
いくら気にかけたところで道なき道を歩き続けるのは小さな子供にとっては厳しいものがある。
「ごめんね...もうすぐ、もうすぐだから...頑張ろ?」
もうすぐだと子供たちを励ますがそんなことはない。そもそも目的地がないのだ。いや、あるにはある。追っ手がこない場所というあやふやなものではあるが。
しかし、子供たちにそれを伝えることはない。子供たちを守るためには今は歩くしかないのだと言い聞かせる。
「もう歩けないよ」
「お母ぁさぁん」
ついに子供たちの足が止まってしまう。無理もない、だがここで止まるわけにはいかなかった。
「そう、じゃぁ二人ともちょっと動かないでね。お母さんが運んであげる。ふふ、精霊術を使うのも久しぶりね」
精霊術という言葉に子供たちが目を輝かせる。
「風の精霊よ...お願い!」
彼女の詠唱?終わると彼女は子供たちを背負い抱えあげる。
子供たちを抱え森の少し開けた場所に足を踏み入れる。その時、急に彼女が踏みしめた地面が無くなった。
......っえ?お、落ちる!...あれ?......
踏みしめた地面が無くなったのだ転落することは道理、のはずがなぜか彼女は転落することなくその場にいた。
しかし宙に浮いているわけでもなく、大地の上にいるかのように立っている。
「お母さんここどこ?」
「わ、わからないわ。少し歩いてみましょう」
一歩一歩確かめながら歩いてしばらくすると光が見えてきた。その光は段々と大きくなり最後には彼女と子供たちを包み込む。
「キャッ」
まばゆい光が彼女たちを包み込んだ後、彼女は目を開ける。
......子供たちは!?......
子供たちは彼女の腕のなかと背中でぐっすり寝ていた。どうやら無事なようだが、なれない道をずっと歩いていたのだ疲れが溜まってしばらくはぐっすりと寝ているだろう。
それは彼女にも言えることだった。子供たちを守る責任と重圧、さらには不可思議な現象と続き疲労困憊の状態、それでも前へと歩き続けるのは母親の強さなのだろう。
だが限界とは無情にもやってくる。まだ安心できない場所で彼女は倒れてしまった。そして彼女はの意識が途切れる寸前で彼女の視界に2人分の足を捉えた。
......そんな!わたしは子供を守ることも出来ないの!?......
悔しさに涙を流すがそれでも身体は動かない。話し声はするが顔を向けることもできず、彼女は意識を失った。