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俺はお嬢様が恋をしたことに気付いていない  作者: 海原羅絃
第2部 第1章 進級と記憶とお嬢様
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第十話 瀬原さん

 鈴川が目を覚ましてから一週間がたった。

 あれから三日後に鈴川は学校へと復帰した。

 以前とは違う風貌に二年生三年生は驚いていた。しかし、一年生にとっては知っている人もいれば知らない人もいる。

 クラスも俺たちと同じクラスではあるが名前を元から知っている人と知らない人と別れてしまっていた。

 ここからでも推測できるのだがやはり鈴川の記憶は俺との思い出だけが消されているらしい。

 だが今最も幸いなのは鈴川が俺との記憶がないことを知っている生徒はこの前病室にいた生徒以外誰もいないと。

 でもいつまでもくよくよしているわけには行かない。

 今日の授業が終わったら鈴川に声をかけるだけの事はしておこうとは思っていた。

 クラスは相変わらずでまるで転校してきた帰国子女の生徒みたいに質問攻めが来る。

 入学当初みたいな下品な質問はなかったけれどみんなと早く打ち解けられるようみたいだから安心だ。

 「よかったな。復帰して早々新しいくらうsになじめて」

 「スキンシップだけ覚えているだけもいいほうだと俺は思うぞ」

 なんか鈴川の周りは輝かしくなり入学当初ン彼女よりも人が集まっていてなんか新鮮だなと思いにふけていた。

 「なあ、お前らきょう二人で帰れよ」

 「は?」

 俊哉に突然言われたんだけれど意味が分からない。

 「だから二人帰れよってこと。オンリートゥー」

 わざわざ英語にするな。なまる。

 まあ鈴川の親父さんからもいろいろ手助けは頼まれているわけだから一緒に帰るぐらいの事はしてやろうかな。

 「それぐらい彼氏がしてやらなければ」

 なんかこいつ最近調子に乗っていないか?

 俺はものすごい顔で俊哉を睨みつける。

 「怖い怖い。さーて、次の授業の準備をしなきゃなー」

 相変わらずマイペースな奴だな・・・・

 俺も次の授業の準備をするべく、教材などをロッカーへととりに行った。

 次の授業はアゲセンの数学だ。 

 二年に上がったとはいえ最初の部分は一年の終わりでやっているけれど少々忘れがちなところもある。

 相変わらず俊哉は理系の教科が苦手らしく夜な夜な賀川に教えてもらっているっていう噂だ。

 それでも国語で成績上位ってどういう頭してんだか・・・・・

 俺もどちらかと言えば中の上くらいだ。

 追試や補修など面倒なことはまだ一度もとったことがなく、自慢ではないが復習テストだかお祝いテストだか何だか知らない年度初めのテストでは数学がわが学校に一クラスしか設けられていない特進クラスの群を抜いて学年一位という結果を残している。

 ちなみに中間テストは五月末。

 それぞれの教科は順調に進んでいき、早いところではテスト二週間前で範囲がすべて終わってしまうかもしれない。

 そんなわけで数学の授業。

 俺の担任であり数学の教担であるアゲセンが上機嫌で教室に入ってきた。

 最近、というかいつもなんだがやけに俺に対しての言葉がムズかゆい。

 呼び名が瀬原から瀬原ちゃんとと変わった時はこの世の終わりが近づいていく予兆のように思えてきたしまった。

 やっぱり原因は数学の一位獲得か。

 「じゃあ瀬原ちゃん。挨拶よろしく」

 奥さんがいて近いうちに第一児が生まれるだので快気でいるアゲセンだが、もしかするとホモという疑いがあるかもしれない。

 よし、あとでいい精神外科があるからそこを紹介するとしよう。

 「えっと、鈴川は瀬原ちゃんの隣な。瀬原ちゃん。鈴川にいろいろ教えろよ」

 分かったからちゃん付けはまじで勘弁してほしい。

 周りの視線がかなり痛いんですけど。

 「まあ先生もそろそろ第一児を持つわけだからな。瀬原ちゃん。出産祝いは頼んだよ」

 「なんで俺?そこはクラスを代表してとか言わないんですか?」

 「あ、瀬原ちゃんは高校生だから5000円でいいや。ベビーベッドもほしいな。お返しは学校近くの和菓子屋の芋羊羹でいい?」

 「人の話聞けよっ!!」

 ったく、相変わらずマイペースな教師だ。

 にしてもなんで俺が祝いあげる前提で話されているの?ってかお返しの品くそだな!!

 「ほらほら、そんな喧騒な顔しないで授業に集中集中。それ、始めるぞ」

 今気づいたんだけど・・・・・・アゲセンもしかしてこっち系?

 それでも鈴川の微笑する顔が見れてないかとうれしいのは事実だった。













 放課後、HRが終わった教室で俺は鈴川に声をかけた。

 ついさっきアゲセンに鈴川のお世話役みたいな役を押しつけられたので止むおえずその役目を課せなければなかった。

 記憶を失くした鈴川でも周りに寄りつく男子は以前と変わらない。

 以前というか俺の以前は鈴川とともに行動してからの話。

 周りの寄り付いたていた男子は次々と俺にバトンを渡すリレー選手のように言葉をかけてきた。

 ちなみに多くの人は「幸せにしなかったら許さないからな」なんていかにも悪役ぽ勝った人が言うセリフを吐いて帰って行った。

 中にもまだ諦めていない人物もいるようでその辺は俺もどうしようもできないのだが、賀川が何とか制裁してくれているのでそれはそれで助かる。

 そういうわけで俺は荷物を次からつめこみ、鈴川に声をかける。

 「なあ、鈴川。一緒に帰らねえか?」

 俺の質問に鈴川は一度振り向くが何の反応も見せない。

 ・・・・・これって見ず知らずに人とは帰らないパターンのフラグですか。

 「わかりました。お父様にも級友である瀬原様とともに帰宅なさるように言われていたので」

 なんか・・・・・窮屈だな。

 あの毒舌だった鈴川が丁寧な敬語使うなんて・・・・・・

 ありえないと思うけれど確かに今俺の目の前にいるのは鈴川だ。現実だ。

 「そ、そうか。じゃあ、行くか」

 片言言葉で喋ってしまいこっちも気が狂いそう。

 俺と鈴川は肩を並べて廊下の階段を下りる。

 周りの生徒からの眼はもうすでに慣れっこであるからそこまで気にはしない。

 それでも周りは鈴川を気にしているだろう。

 鈴川が記憶を失っているというのは素手前項では知れ渡っているがその大まかなところまではみな知らない。さっきも言った通りの事だ。

 だからファンに人にとっちゃ自分の名前を知っていますかなどの確認を取る人もいれば、一年生なのか自己紹介をしてくる人物も耐え兼ねない。

 あまりの多さにうんざりしていたけれどまあそろそろといったところである人物と顔を合わせた。

 生徒会長、安里壮也。

 黒の長髪に赤色のネクタイを帯びらせ、ブレザーといかにも高校生らしい服装をしている。

 「お久しぶり。とはいっても関融解以来だけれどね。・・・・で、鈴川さん。僕の事は覚えているかな?」

 生徒会長は俺の横にいる鈴川に問いかける。

 鈴川は生徒会長の顔をまじまじと見てから答えた。

 「すいません。あまり記憶にありません」

 意外だ。鈴川の記憶に俺以外の生徒の記憶が薄れていたなんて。

 それもそうか。俺だけっていうのはまずありえないことかもしれない」 

 「そっかぁ」

 生徒会長は残念そうに頭を抱えた。

 「それで、会長はどうしたんですか?」

 「ん?ああ、お花見会の事。準備はだいじょ?」

 あ、忘れてた。

 鈴川の事とかあったからそっちのほうに手を付けられる状況じゃなかった。

 それでも仕事を放棄したのは変わらない。

 「その顔じゃどうやら忘れていたみたいだね。まあ今週中まで書いてきてくれれば大丈夫だから」

 「すいません。気を付けます」

 「まあ、それなりの内容は期待しているから」

 生徒会長はそういって俺のもとから離れていった。

 「お花見会。やるんですか?」

 「え?」

 生徒会長の背中を見つめていたら虚を突かれたように鈴川が声をかけてきた。

 「近くに言い桜並木があるらしいんだ。そこで全校でお花見会やるんだって。今年も今年でいろいろ派手なことやるんだよ」

 「私がいない間にもにぎやかになったというわけですね」

 ・・・・・・・・

 その点については何も答えられない。

 ここで鈴川がいない間に何が起こったのかなんて俺は教えられるのか。

 無理だ。今の俺じゃそれは無理に決まっている。

 「じゃあ帰るとするか」

 「はい」

 俺は鈴川と下駄箱へ向かい校舎を出て行った。













 帰宅途中。成り行きでいろいろな場所を回りことになった。

 とりあえず俺はいつも通っている喫茶店に駅前の書店。

 この近隣にある有名なものを取り合えウ教えておいた。

 けれど鈴川はどれも記憶に残っているらしい。

 そうか、記憶がないのか・・・・・・・・ということは。

 「ちょっと家と逆方向になるけれどいいか?」

 俺は鈴川に念のための確認を取る。

 今から向かう場所は前の鈴川でも知らない場所。

 鈴川は黙って首を縦に振る。 

 俺が向かった先はバイト先のコンビニ。

 「ここ、俺がバイトしているところなんだ。前ここでプレゼント買うために働いててさ、あまりの働きで倒れたときあったんだ」

 俺は思い出し笑いをしながらそのことを思い出した。

 そういえばすずかわにあのネックレスやるために頑張ってやったんだっけ。

 「その・・・瀬原さんが言うプレゼントというのはどういうものなんでしたか?」

 「まあネックレスなんだけれどさ。どこか遠くに行っちまった奴が今持っているんだけれど・・・・・・」

 「よほどつらかったんですね。ですが人生は苦もあれば楽もあるんですよ!瀬原さんなら大丈夫ですって」

 「まあそうなんだけれどさ・・・・その・・・・その瀬原さんっていうのやめてくれない?なんか調子狂いそうなんだけれど」

 「この呼び名は嫌いなんですか?」

 「嫌いっていうか、俺に似合わないんだよ。だから俺の事は気軽に瀬原君でいいよ」

 今までのように、それが一番だ。

 「わかりました。ではこれからそう呼ばわせてもらいますよ。瀬原君」

 鈴川は今までよりも微笑ましい顔を俺に向けた。

 やっぱり鈴川は鈴川だなと思いを募るのであった。


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