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俺はお嬢様が恋をしたことに気付いていない  作者: 海原羅絃
第1部 第1章 鈴川蘭というお嬢様
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第五話 パーティー

 また俺は授業を出ずにその日の学校を終了してしまった。こままじゃまじめに単位が危ないな・・・・・何とか主教科だけでも補習に引っかからないようにしないと。

 単位だの何だのに気にかけている必要はあるが他に気になるのは突如参加することになったパーティの服装である。何を着ていけばいいのかただいま迷っているのである。

 テスト勉強などそっちのけでパーティを行く高校生がどこに居ると思う?ここにいるだろ。

 「仕方ない。鈴川に聞くか」

 電話帳から鈴川の名前を引っ張りだし携帯へとかける。

 数回コール音が聞こえてきた後受話器をひくような音が聞こえ柔らかい声が聞こえた。

 『どうしたの?瀬原君』

 「一つ聞きたいんだけどさ。明日のパーティーって何着てけばいいの?」

 『そうね・・・・・・・・・何か適当なもの着てきて』

 適当なものって。

 その具体はなんだよ!!

 『制服とかでいいんじゃないの?ワイシャツとか着れば何処だか分からないし』

 「そうだけどよ。参加するっていうんだからちゃんとした格好の方がいいじゃん」

 有名人とかいるっていう話だしこういったところで身だしなみを整えなきゃ第一印象で崩れちゃうから  な。とくに大富豪とかは。

 『そうね。じゃあ私の家の執事に頼んでおくわ』

 「あ・・・あ、ありがとう」

 執事に頼んで用意させるって・・・・それもそれでなんか悪い気が。

 「取りあえずありがとな」

 『ふふ、明日はよろしくね』

 はぁ?

 明日はよろしくって・・・・・・どういう意味なんだよ。

 とりあえずまあ、俺は適当に家路へと辿って行った。






 人って何か考え事とかしていると時間が早くたつように感じるんだな。今日一日パーティーの事を考えていたら知らぬうちに五時間目の授業が終わりみんな帰りの支度をしていた。

 ちなみに俺の今日の授業の内容は何があったのか全く覚えていない。何の授業があったのかも。

 取りあえず通学路で人がいっぱいになる駅通りの道を歩き、集合時間に間に合うように家につき用意をする。

 鈴川曰く、あちらの執事さんたちが着替えなど調整アジャストしてくれるというのだがそれまでの服装はどれにしようか迷った結果、制服となった。

 これならワイシャツとか着ているから少しでも身だしなみは整っているだろう。

 着替えが終わり、時間を確認して俺は家を出た。

 「そういえば・・・・」

 何故か最近鈴川と一緒にいるのが多くなってきたな。なんてことを考えていた。

 ・・・・まあ気のせいだな。

 俺はそう確信して家を出た。

 集合場所である鈴川の家はかなり壮大だった。

 ちなみに今日のパーティー会場は鈴川の家ではなく都外にあるホテルで行われるらしい。

 「遅かったじゃない」

 「まだ、出発の時間にもなってないぞ」

 「細かいことは気にしなーい」

 あ、そうですか。

 俺が乗るリムジンは盛大な排気音を立てて目的地へと突っ走った。

 いつも俺がお気に入りの書店に行く時の道を通ったり、俺と鈴川が一緒に出掛けた時の公園の前を通った。案外こういう名家って秘密のルートを使うって思っていたけどそうでもなかったな。

 近くの高速に入りリムジンがすごい速さで走る。

 もしこれで今窓を開けたら俺の顔はブルドックになるだろう。

 そんなあほらしい考えをしていたらなぜか隣に座っている鈴川に笑われた。つくづく思うんだがこいつまさか超能力者じゃないのか?って疑うほど人の心を読んでやがる。レベル5かよ。

 これと言って話すこともなかったが鈴川が何気俺に話しかけて来たのでいい時間つぶしになった。

 そして高速に入ってから30分後。神奈川県に突入し近くのICに下りた。

 この時に見えた光景は俺たちが乗っている車と同じようなのがいくつも高速を降りるところだ。数からして相当だった。まさかあれがパーティーの参加者なのか?

 そのことについて聞くと鈴川はこう答えた。

 「一応おじい様が主催しているからかなりの人数よ。有名企業の御曹司だったりとか防衛大臣とか国務大臣。それを合わせて2000人かな?」

 2000人。うちの学校の全校生徒の倍以上じゃないのか。よくそんな人数を招待できるしその人数を収容できるホテルがあるもんだな。

 「ご到着しました。足元にお気をつけください」

 気が付けば会場についていて俺は運転してくれた執事さんの忠告を律儀に受け車を降りた。

 その後からは鈴川が下りる。

 車を降りた瞬間でもうすごいパーティーだという事は分かった。

 豪華絢爛なホテルに外から見えるシャンデリア。このパーティーの中で一般人なのはおそらく俺だけだろう。

 「さあ、行きましょう」

 「おう」

 あっけにとられていた俺の腕を鈴川が引っ張る。

 「こんばんわ。本日は参加ありがとうございます。お名前と系列グループを」

 受付係のお姉さんにやさしく説明され鈴川は俺の腕をつかんだままこういった。

 「主催者の孫娘よ。外内」

 「お、お嬢様。これは失礼しました」

 お嬢様。といいながら頭を下げるという事は鈴川の家の使用人なのか。

 その使用人、外内さんは頭を上げるとなぜか俺に方をみた。

 怖い・・・・・・・

 「お嬢様、その方はなんですの?」

 不思議そうな顔をするメイドの外内さん。

 「ん?連れよ。私の友達」

 「友達・・・・・・・そうですか。お嬢様に友達が」

 使用人はそう呟くと俺の方に体を向け一礼し始めた。

 「我儘なお嬢様ですが宜しくお願いします」

 へっ?俺なにをお願いされたの?

 ・・・・・・・・・

 「じゃあ、おじい様によろしく言っておいて」

 呆気にとられた俺を放り鈴川は使用人らしき人である外内さんに言葉をかける。

 「かしこまりました」

 そういって俺たちは受付所を通り過ぎる。

 「今の人、お前んちの使用人なのか?」

 「そうよ、外内咲良。私が小さい頃から仕えている大事な使用人よ」

 その返事をするんだからよっぽど仲がいいんだな。

 にしても・・・・・・・・・・・・

 辺り一面お偉いさんばっかり。

 テレビ何度も見かけたことがある衆議院委員や有名企業の社長さん。下手すれば天皇まで来るんじゃないか。

 更に俺たちと同年代、あるいはそれ以下の人もいる。どいつも顔立ちがよく頭も良さげに見えた。

 まあそう言ったところで育っているからな。

 「このパーティー次第で私の婚約も決まるらしい」

 「婚約?」

 「こういった財閥のパーティーとかは半分が何かの記念でやったりだとか多くの会社の手助けで売り上げが増幅したとかでやるもの。

 もう半分は主催者の婚約者を決めるパーティー。この場合私になるのだけれどパーティーを通じていろいろ話したりして関係を深めていったうえで婚約を決めるのよ」

 「じゃあ、お前もこの中からどこかの御曹司とかと婚約するのか?」

 その事については俺はあーだこーだ言えない。決めるのは鈴川本人なのだ。

 「私は決められた幸せは欲しくないのよ。自分で探す幸せがいいのよ。私の事思ってくれている人がいるのはうれしい。けれどそれは強情に持っていくのはさすがにいやだわ。私は私の決めた人と婚約するのよ」

 なんだかんだ言ってこいつもそういう素直なところあるじゃん。

 自分で探す幸せか。

 「変な話しちゃったわね。何か食べましょう」

 俺はテーブルにある豪奢な食事を見てびっくりした。

 これじゃあ、一生かかっても食えないばかりの物だった。

 今更だが来てよかったと思う。

 いつもならうまいものを見るとその場で貪りつくのだが、今この場がどういういとこなのかわきまえなきゃいけない。俺はゆっくりと食事にありついた。

 この照り焼き上手いな。

 セ〇ンイレブンのよりも味付けが濃い。

 そんな俺が食事にありついていると突然全体の照明が落とされた。

 「なんだ?」

 「ダンスの時間よ」

 鈴川はそう言うと俺の手を引いた。

 「一緒に踊りましょ」

 楽しそうな顔に俺は仕方なく付き合ってやった。

 でも、ダンスと言ってもあれだよな。盆踊りとかドジョウ掬いじゃないんだよな。

 ましてやフォークダンスともかなりの差があるよな。

 「それじゃあ、あなたがリードしてね」

 「リードって・・・・・・俺はダンスなんかしたことないぞ!?」

 「大丈夫よ。適当に踊っていれば」

 うわあ、なんて言う無責任なお嬢様。

 「ほら始まったわよ」

 そういわれて仕方なく俺は適当に踊る。

 にしても・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 鈴川って本当にやわらかいよな。手とか・・・・・・・なんか人形みたいだし

 前もこのぐらいはくっついたけどそれとは違う香りが鼻に来る。

 そんなことを考えていたら俺の体はがちがちになっていた。

「あら、もっとくっつきたいの?」

 そういって無茶に顔を近づけてくる。しかも吐息が首に・・・・・・・

 耐えられなくなって抜け出そうとした瞬間。

 耳元で何かが聞こえた。

 声からして鈴川だったが何を言っているのか全く分からない。その鈴川は顔を赤らめながら踊っている。でも確かにあれは鈴川の声だった。短かったが何か言おうとしていた。

 ・・・・・・・・

 俺はずっとそれが気になっていた。

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