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俺はお嬢様が恋をしたことに気付いていない  作者: 海原羅絃
第4章 クリスマスとお嬢様
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第二話 相談

 その日の夜、捨てておいて求人情報の広告をいきなりひっぱりだし、俺が出来そうな仕事内容や時間、更には時給がとてもいいところを一通りマーカーをひいていった。

 もちろんいいものもあった。コンビニのバイトもいいけれどそれじゃあ足りないかもしれないから休日は掛け持ちという手もある。あのネックレス買うには俺はどんな手段も択ばない。さすがに法に触れることはないけれど。

 しかしいくらバイトの方がしたくてもうちの学校は何かとそういう規制に厳しい。

 バイトをしたいのならば、その動機にその結果自分はどうなるのかと紙に書かせられる。小学生の作文かよ。

 でも俺の場合、生活費の確保と行っておければ許せるだろう。まあ、事実は事実なんだけれど。

 けれど掛け持ちする場合はどうしようか。そこも問題の内だ。

 シフト時間を長くできるっていう手もあるし・・・・・・けれど新米の要望をそう答えることができるのか。

 そんなことを考えていたら、もう朝になっていた。いつもの時間に起き、ご飯を食べて着替えて歯磨きをしての繰り返し。

 さて、今日は髪でももらってくるかな。

 まだ覚めていない体を十分に伸ばし俺は家を出ていった。

 学校はこの時間帯なのか人がやけに多い。

 まあセンター試験も近いわけだしそうなるのは当たり前のことか。

 そんな時期になるとピリピリするのも悪くはないか。

 クリスマスだし。

 クリスマスだから。

 大事な事なので二回言ってみました。

 昇降口を潜り抜け、下駄箱から上履きを取り出して履き教室へ向かうのだけれど今日は先に行くところがある。

 職員室の前まで来て俺はスッと立ち尽くす。

 目の前にあるのはバイト申請用紙。

 俺は周りに人がいないことを確認してその紙をパッととる。

 いやいや、別にそんなつもりじゃないんだけれど。

 用は済んだことだから教室に行ってのんびりしているか。

 神をひらひらとさせながら俺は廊下をのんびりと歩いていく。

 









 教室に入るといつものように騒がしかった。

 主に騒いでいるのは女子たち。おそらくクリスマスの計画でも練っているんだろう。

 そしてそこから少し離れたところには女子たちがクリスマスの計画を練っていることに気付いた男子生徒共。

 ちらみがめっちゃ目立つ。

 ああ、うちのクラスの男子どもはいつからこんなあほになったんだよと、俺は頭を抱えたくなるほど困っている事である。

 だいたいそんなところでコソコソしているからあんなふうにみられるんだよ。こういう場合は俊哉みたいに・・・・・・

 と、俺が廊下を通りかかる俊哉を目撃したのと同時に奴の彼女である賀川利華が俊也にはぐをしてきた。その光景は廊下にいた人にはばっちりと記憶されているに違いない。

 よくもまあ、こんなところでと思うほどあいつらはバカップル。

 付き合って一か月半。これまで一体何があったのか俺にはさっぱり分からないというか聞きたくもないし、ましてやリア充爆発しろ。

 他人にあれこれ言ってもらえる場合ではないが、少しは友人のアドバイスも聞きたい頃。なのに彼女と廊下でいちゃつくなんて・・・・・羨ましがる以前の問題だ。まず林俊哉抹殺委員会を設立しろと言いたくなる。

 「しょうがねえ。おーい、大野。相談事がある」

 とりあえず先ほど教室に入ってきたばかりの大野に俺は頼みごとを申しだす。その質問に首を縦にする。

 「なんだよ。いきなり俺に相談事なんて気持ち悪い」

 席につきながら大野は俺に聞いてくる。

 気持ち悪いってなんだよ。気持ち悪いって。なんか相談する気にならなくなってきそうなんだけれど。

 けれど悪友の俊哉の今の状況があーじゃどうしようもできない。まず、聞くのがいい。

 「なぁ、俺バイトしようと思っているんだけれど」

 「へぇ、バイトか。いいじゃん。どこやんの?」

 変哲な質問をしてくる。

 「一応こことここで掛け持ちしたいんだけれどもし無理だったら片方のバイト時間のシフトを増やしてもらう」

 「いいんじゃないか。コンビニバイトだろうとレストランのバイトだろうとあんまり時給は変わらないし。けれどレストランの方だと何かと大変そうじゃん。料理取り扱っているし万が一のためにもね」

 万が一の為にもか。

 意外とこいつに相談してもよかったな。

 「ありがとう。お前の意見を参考にしてまた考えさせてもらうよ」

 「家にほかの求人情報の広告あったから明日あたり持ってくるよ」

 「いつのやつだ?」

 「・・・・・・・・去年のやつ?」

 「去年かよ!!しかもなんで疑問形?」

 はははは。なかなか面白いボケするじゃねえかよ。

 突っ込むのに瞬時反応しちまったじゃねえかよ。

 「じゃあ、授業あるから」

 と言って大野は教科書など取りに廊下へと出ていってしまった。

 おい、俺の突っ込みにはノーリアクションかよ。

 「あら、瀬原君。何やっているの?」

 俺がため息を吐いていると後ろから聞き覚えのある声が。

 振り向くとそこにはお馴染みの鈴川さんの姿が。

 やべっ、求人情報の広告が出しっぱなしだ。さすがにこいつにはばれたくない。理由は分からないけれどこいつにはバレたくない。

 俺は咄嗟の反応で求人情報の広告を無理やり机の中に入れた。しかも大野の机だし。

 「な、何でもない。それより今日はいい天気だな」

 「曇っているじゃない」

 「なぁ!?」 

 やべえ、思いっ切り滑った。

 ってかめっちゃ変な目で見ているし。めっちゃ変な目で見られていますよ。

 「なんか今日の瀬原君キモい」

 「キモい!?お前人の事思いっ切りキモいって言ったよな?今言ったよな?」

 「あら、何のことかしら。私はそんな女子が絶対的に口にしないようなことが口にするはずがないじゃない。あなた、まさか耳までキモくなったの?」

 「ほらまたキモいっていった!!おい、前言撤回しろよ」

 「それはともかく、早く授業の準備してね。早く準備した大野君が可愛そうよ」

 話を逸らすな。あの悪魔。

 それを最後の鈴川は自分の席へと戻る。

 あれ以降。というかどこからかは自分でもわからないが、鈴川に寄りつく男子が少なった。いや、依然として数の方は多いんだけれど、周りに取り付いてくるやつ。

 あれがどうにも少なくなったb。まあ、原因としては俺だと俊哉は言うんだけれど俺にはそう言った自覚が感じられない。

 しかも文化祭の日、それも最終日だ。

 俺は鈴川にキスをされた。

 強制でも俺の意志でもない。

 あいつに不意を突かれた。

 別に受け入れたわけではない。受け入れるのも自分でもいささかおかしいと思うが。 

 あんなこと突然されたらどう抵抗するっていうんだよ。

 だって、あの顔だぞ?あの顔。

 知らない人の方がいいかもしれないけれど俺の正面に来たときのあの鈴川の顔は何処からどう見ても誰がどう見てもかわいいと思うはずだ。

 もしあれが作り笑いでなければ(・・・・・・・・・)いいんだけれど(・・・・・・・)

 でもどう見てもあいつは人に簡単にキスするような軽い女じゃない。

 そんなことは俺だってわかっている。

 わかっているけれど・・・・・・・・・・・

 なんかなぁ。

 「蓮司」

 「はい?」

 「授業開始二分前。早く俺の机にぶち込まれた求人情報の紙を取り除いて十秒以内に退散しなきゃ陸上用のスパイクで頭殴るよ」

 ・・・・・・・どうやら俺は大野の席でずっと思い込んでしまっていたらしい。

 悪かったと思うけれどさすがに罰則が鬼畜すぎるんだけれどそれは俺の気のせいか?

 「悪かった」

 しかし抵抗しても無駄。事実は事実なんだから。

 俺は求人情報の広告を持って自分の席へと帰還した。

 












 「あ?バイト!?」

 「お前、声でけえって。鈴川に聞こえたらどうすんだよ」

 昼休み。俺は俊哉と共に昼食を共にしていた。

 二人で向かい合うように座り俺は自作の弁当をほおばっている。

 俊哉は相変わらず購買の弁当。

 以前、賀川に弁当は作ってもらわねえのかと聞いたら盛大に殴られた。もちろんグーパンで。

 どうやら賀川はあんまり料理が得意じゃなくむしろ苦手と言ってもいい方らしい。だから今は俊哉のためにお料理の修業をしているところらしい。

 「なんだよ。鈴川さんにばれるのがそんなにやだのかよ」

 「やだに決まっているだろう。もしバイト先に来られて邪魔されたらどうするんだよ」

 「それもそうだな」

 笑い事じゃねえよ。と言いたいがなんか言い返す気分になれない。

 「で、俺に相談っていう訳か」

 ああ、朝からイチャラブしていた奴の代わりに大野ががんばってくれたよ。 

 「それで、今決まっているのはこの候補だ」

 授業中にも少しだけ考えたものはマーカーなど引いてある。

 「へえ、なかなかいいところ選らんでんじゃん」

 「何?そんなに俺のチョイスが良かったのかよ」

 「まあ、ここのコンビニお前んちから近いだろ?それに店長さんも気前のいい人だしそれに乗って店員もいい人ばかりらしい」

 どっからその情報を手に入れたのか知らないが俺はこいつに感謝しなくてはならない。さすが情報屋データベースだな。

 確かにここのコンビニ、俺んちから近いしあまり鈴川も立ち寄らなさそうなところだ。これなら安心してバイトできそうだな。

 「時給もなかなかいいところじゃん。一時間870円なんて相当ないぞ」

 「確かに破格だな。でもこれじゃあ競争率高くない?」

 「いや、競争率と言ってもまずこの辺の学校と行ったらうちぐらいだ。あと近いって言っても二駅向こうのところだ。そんなところまで来る他校の連中なんていないだろう。いたとしても規制を無視してやっている奴ら位だ」

 「じゃあなんだよ。俺は余裕で行くっていう事なのか?」

 「確率は高いな」

 食べ終えたお惣菜のパンの袋を片づける俊哉。

 確率は高いのか。

 でも、ここなら何とかやっていけそうだしクリスマスまで間に合うな。

 「そういや、なんで急にバイトなの?」

 え。

 そういえば大野にも鈴川にプレゼントを買うために金をためている。だなんて口が裂けても言いたくない。というか言うのが恥ずかしい。

 まずこいつにいったらいつ広まるかなんて時間の問題だ。

 他にも鈴川にプレゼントを渡す奴がいるかもしれねえし。

 「なんだよ。理由もなくバイトするのかよ」

 「なわけねえだろ。家計がチョイ厳しくてな。その埋め合わせな」

 「へー、家計の埋め合わせねえ。じゃあ、あのクローバーのネックレスはもう買ったんだ」

 「なっ!?なんでお前それ知っているんだよ!!」

 こいつ、俺に隠れてコソコソと!!

 「いいじゃねえかよ。俺もプレゼント買いに行っていたんだし恥ずかしい事じゃねえよ。

 「お前に恥ずかしいっていう言葉は存在しねえだろ!?」

 「初心な気持ちを晴らせ」

 「何それ、誰の言葉?」

 「ブルータスシュタイン」

 「またそのネタかよしかもドイツ人!?」

 変な突込みで俺の昼休みは終了した。

 ああ、もうなんか疲れた。

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