第十三話 係員のお姉さん
んー、質問というか要望?なんですが小説名変更したいのですがなかなかいい名前が思い浮かばなくて・・・・・・・・
案があればどうぞ言ってほしいです。
俊哉を送り出すのに体力を消耗し、挙句の果て焼売が・・・・・・とまあ大したことではないが、夏休みの朝としては、それにノープランでのこいつらのお泊りではさすがに俺の体力も結構来ている。
大野はあれから起きたのは八時過ぎ。
さすがの俺たちも朝飯は食べ終わっていた。
そんな中で大野は一人だけで朝飯を食べている間、俊哉と大野を除く俺たち三人は調べ物をしていた。
俺はノートパソコンを開きインターネットである情報を。
田中と佐藤はスマホでここら周辺の地図検索をしている。
ここから犯人はどういったルートをたどったのか推測するため。
「でも逃走ルートを探すって言ったって・・・・・・・」
スマホをスライドさせながら佐藤がぼやく。
確かに逃走ルートだけ探すと言っても何の意味のない。せめてGPS機能さえあればいいのだけれど。
俺が調べている方は正直意味のないものだった。
確かに鈴川が攫われた事件は結構大きく掲載されている。わざと大事にしたのか、それともそれだけ鈴川グループの存在が大きいのかという事になる。
しかし文面を見ればただの失態に見える。
『鈴川グループ配属の警備隊出動』
これを見れば鈴川家が警察に頼っていないと分かる。しかし情報化社会が発達した今日ではいつどこで誰が見ているのかわからない。
仮にこの文面を一万人の日本人が見ていたのなら、おそらくそのうちの二人や三人は鈴川蘭という少女を狙っているもの、あるいはすでに攫った人に見られている可能性もある。
だったら尚更だ。鈴川家は警備を厳重にするはずだ。
そんな計算を入れずにネット上に乗せる許可をおろすなど普通じゃありえない。
「俺の方もさすがにネットの情報だけじゃ固まらない」
ネットでこの事件と類似しているものを見ても何の手がかりがない。
ただただ憶測へと入っていくだけ。
これじゃあだめなんだ・・・・・・・・
「こうなったら聞き込み調査とか本格的にやらなきゃダメみたいだね」
そうだ。こんな風にちまちまやっていたって鈴川が安全でいる保証は今でも少ない。
「とりあえずプールの方へは俺が行く。二人は昨日のとおり回り込みをしてほしい」
「そうだね。何かあったら連絡するよ」
「蓮司、コーヒーは?」
朝は遅く起きて更にはコーヒーの注文か?
会話に全く参加しない大野が注文を付けてくる。もう、こいつには殺意しか芽生えさせなくてもいいのかどうか分からなくなってしまった。
俺はパソコンを閉じ、出かける用意を始める。
さすがに誘拐犯であっても人は殺しはしないはずだ。
なんせ金目当てなものが多いからだと俺は推測する。
俊哉には一応約束した通りの場所へと行ってもらうように信じ俺は家を出る。
二人には大野を任せ、家のスペアキーをわたしプールへと向かう。
まだプールの開園時間ではないが、開園するよりも前に聞き込んだ方が都合がいいはずだ。
急な坂道と落ち合い、俺はペダルをこがずそこを下る。
これが昨日と同じ夏の朝なのか・・・・・・・・・
乾いた唇を噛みしめ、俺は軽快に自転車を運転していった。
昨日鈴川と言ってプールは何事もなく平穏な空気を漂わせていた。
人の気配はそれほど濃くなく、朝の東京の通勤時間にしてはまだ静かな方だった。
自転車を指定の駐輪場へ置き安全のため鍵をかけプールの入口へと向かう。
時刻はまだ九時前だったけど開園時間までまだ少しあるこの時間帯で来たからにはそれなりにスタッフも暇でだろう。だがどうやら俺は一人のようだ。プールの周りは閑散としていて俺のほかにいるのは通勤中の人に外を掃除しているスタッフの人1人だけ。。
階段を少し上ったところで俺は足を止める。
自転車を十分だけこいで来ただけだというのにもかかわらず、汗がぐっしょりとおろしたてのシャツを盛大に濡らしていた。
とりあえず情報を手っ取り早く集めなきゃな。
俺は息を大きく吸い込み、入口付近で掃除をしている女性の係員に声をかけた。
「あのー、すいません」
あれ、声が上ずる。人見知りではない方なのに・・・・・・・・しかも汗が増してる。
「あ、ごめんなさい。まだ開園時間まで少々あるのでそれまでお待ちしていただけませんか?」
俺の声に反応した女性はおろせば膝あたりまで来そうな髪の毛をポニーテールにして結わえていた。
スタイルもよく、もうすこし都会なところで出歩いていれば数分と立たないうちに芸能界のスカウトが来るくらいプロポーションがよかった。
・・・・・・なんて称賛している場合じゃない。
どうやらこのお姉さん、早とちり的なことをしている。
「いえ、ちょっとお聞きしたい事が在ってきたんですが」
その言葉に頭に?をいくつか並ばせたような表情をする。
まあ、そんな急に言われても困るだろうし事情をちゃんと説明しなきゃな。
俺は改めて事情を説明しようとした瞬間、何かを思い出したように手のひらで相槌を打つ係員のお姉さん。おお、何か分かったのか?それとも意思疎通が成功?
「君って確か昨日の子かい?」
「はい?」
逆に俺が質問をされてしまった。
昨日の子・・・・・・と言われたって俺はこの人と会うのは初めてだ。昨日あれから外を出歩いた記憶もないし。
「ほら、君確か女の子を悪者から連れてこのプールに逃げていったじゃん」
「うっ」
思わず変な声が出そうになった。まさか第三者から見られているなんて微塵にも思っていなかった。
まあ、あんな広場であんなやり取りをしていれば誰でも興味はわくはずだ。TPOをわきまえていなかったのが最大の欠点というべきか。
「まあ、立ち話はなんだから中に入って話でも聞こうか」
仕事はいいのかよ・・・・・・
くいくいと服の袖を強引に引っ張られ俺は’関係者以外立ち入り禁止’の札がかかっている扉の向こうへ行く。
中はどこかの事務所のような構造をしていて、机どうしを向い合せ後方には小さな棚がいくつも並んでいる配置だった。
そして俺たちが入ってきた方とは逆の、おそらく本扉だろうかそれらしき場所付近には浮き輪やシャチと忘れ物置き場があった。
「まーまー、座って」
今でも井戸端会議が開かれそうな勢いで俺は椅子に座らされる。
係員のお姉さんは、冷たい麦茶をコップに入れて俺の前に差出た。
「ぬるいけどごめんね」
さっき俺が揶揄した言葉は無視しよう。
確かに飲んでみるとぬるかった。前言撤回。
「で、聞きたいことって?」
両手を添えて、いたずら笑っぽい表情で係員のお姉さんは俺に聞いてきた。
「お姉さん・・・・・・・・は昨日俺たちのやり取りを見ていたんですよね?」
「そうね、あの後は自分の持ち場へ即座に戻ったわ。もう少し見たかったけど戻らなきゃ上司がうるさいからさ」
「昨日の持ち場って・・・・・昨日何の仕事してましたか?」
ここで白が出ようと黒が出ようとこの答えで多分流れが徐々に変わっていくはずだ。
「昨日は監視室でここ一体に設置されている防犯カメラの映像を見ていたわ」
監視カメラか・・・・・・確かにこのぐらいの都会だったら至る所に設置されているはずだ。
これなら犯人の目星も・・・・・・・
「あの、できればその防犯カメラの映像見せてもらいたいんですけど」
無理だと分かっていたとしても一応聞いてみる。これが唯一の手がかりかもしれないんだから。
顔・・・・いや、そいつらのプール内の行動と車さえわかればいい。それだけわかれば大抵の居場所は俺達でも突きつけられる。
「別にいいけど・・・・・・どうしたの?確かに君たち険しそうな顔していたし」
「まあ、いろいろとありまして」
ごまかし程度になってしまうが、これ以上関係にない人たちまで巻き込むことは向こうもできないはずだ。俺は係員のお姉さんについていって監視室へと入る。
「ホントにいいんですか?俺みたいな学生がこんな所入って」
「まあ、ほんとはダメなんだけどね。事情さえ聞かせてくれればそれでいいんだけど」
機械音だけが響くその部屋をお姉さんは歩き回る。
モニターには全部で十二個ほどの監視カメラで映し出された映像がリアルタイムでここにきている。
こんなに監視カメラが設置されているのなら犯人の行動さえわかるはずだ。
もっとも、犯人がかなりの監視カメラ回避技術を伝授しているとは分からないが。
「これだこれ」
お姉さんは、リモコンを使って昨日の監視カメラに映された映像を流す。
時刻は俺たちがプールを出る三十分前。
「まさかこれ全部見るの?」
「三十分だけですので十分です」
行動を起こすとすれば、俺たちがプールを出た後のはず。
だが、一向に怪しい動きをするものはあらわれない。
唯一いるとすれば、鈴川家の使用人だがこれはなんとか省きたくてしょうがなかった。
「どう?」
「やっぱりわからないです。ここは飛ばしておきます」
俺は映像を俺たちがプールを出たところから再生する。
「ここで俺たちがプールを出る。それで鈴川の親父と揉めあいになって俺が鈴川をプールへまた連れて行く」
「ねえ、水を差すようで悪いけどあなたたち何があったの?」
いくつものモニターに集中している俺の横に係員のお姉さんの声が通る。
近いようだけれど気に・・・・・・するよな。さすがにこれは近すぎる。
「最近誘拐事件が頻繁に起こっているって知ってるか?」
「確かあれでしょ、有名な大富豪の子が立て続けに誘拐されている・・・・・・」
ここまで言えばわかるだろう。
彼女は悟り開いたような顔をして口ごもる。
「じゃあ、昨日その彼女を攫ったのは・・・・・・・」
「間違いなく誘拐犯ですね」
十秒ごとコマ送りしていけばそのうち犯人が分かるだろう。
「これ・・・・・・」
かすかに映っているのは入口脇に設置されているカメラがとらえた映像。
ここの監視カメラは確か入口より左わきにあったよな。
普通だったらその防犯カメラには一部死界ができるはずだ。
それに移っているのが一台の黒塗りの車。
かなり繊細にしてみなければわからないが、拡大していけば鈴川だ。間違いなくこの服装は鈴川のに違いない。
「この車・・・・・・・・」
「これベンツじゃない?」
映像を見て係員のお姉さんは車の名前を述べる。
確かに、俺もそこまで車に詳しくはないが日本製の車は交通法に適してなのか運転席が右側、だけれど鈴川は助手席に乗っている。
俺もベンツ位は視たことあるからこれなら探せるだろう。
「一応情報は揃えられました。ありがとうございます」
深々と礼をするがなぜかお姉さんはそれを拒む。
「ごめんごめん、私こういう固っ苦しいの嫌いだからさ、もっとこう・・・・・・気楽に接してよ。
「え、でも年上の人には」
うん、さすがに年上の人にはそういう接し方は無理だ。それなりの弁えがあるからな。
けれどお姉さんは不思議そうに俺を見ている
何か俺の顔についていますか?
「もしかして私・・・・・年上扱いされてた?」
え?今この人なんて言った?
年上扱いって・・・・・じゃあ、このひと年下?
「まさか気づかなかった?私一応高1なんだけど」
一応、というところに何か引っかかりがあるけれどそこは触れないようにしておく、言ってはいいことといけない事を区別がここでは必要だ。
しかし同年代とは流石に驚いた。
「じゃあ、普通に接しますね」
「これからもよろしくね。じゃあ、自己紹介位しておくか私の名前知ってる?瀬原君」
「いえ、さすがに知らないです・・・・・・ってええ!?」
今この人最後になんて言った?
瀬原君ってい言ったよね?確かにそう言ったよね。
この人何者なんだよ。
なんか薄々信頼性を失いかけてきている。
俺なんか情報漏洩するようなことしたっけ?
思い出せない。
「え、だって同じ学校じゃん」
俺こいつの顔一回も見たことないしまず顔を合わせたの始初めてだし。
何がなんだかさっぱりわからなくなってきた。
「私の名前は賀川利華。蘭の友達ね」
・・・・・・・・・・俺は完全に賀川利華という少女に盛られていた




