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俺はお嬢様が恋をしたことに気付いていない  作者: 海原羅絃
第2章 夏休みとお嬢様
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第十一話 本来の目的

正直この東京二十三区を把握するのは無理ですww

長野に住んでいる俺にとっては相当困難な事ですね。


「じゃあ、俺と俊哉は千代田区周辺を回る。午後に駅近くのコンビニで待ち合わせでいいか?」

地図で捜索する範囲を確かめながら役割分担を決める。俺たちの住んでいる渋谷区からは駅をいくつか経由していけば千代田区につける。

周りに東京タワーや明治神宮といった有名なものが俺ん家の周りにあり自転車で少ししたところに都心地へと入ることができる。

「大野と佐藤、田中は少し手間がかかるけど文京区と台東区を回ってくれないか?」

「文京区は俺んちから近いから一人で行くよ」

田中が自信ありげに言う。

確かにこいつの家は東大に近くとか言っていたな。中学の頃よくそこから通っていたと思っていたくらいだ。

更に話は進む。

「じゃあ、台東区は大野と佐藤に任せてもいいか?」

二人は頷き、俺は地図に線を引っ張っていく。丸で囲まれている個所は怪しそうな場所など。警察など動いているかどうかは分からないけれどここから周辺は都心地など大きなビルが連なっている。さすがの犯人でも動きが制限されるはず。

けれど籠城すると仮定したらどこなんだ?

この辺でいったら六本木?いや、そんなはずはない。もっと一目のつかないところのはず。

とりあえず・・・・・・・・・・

「お前ら何時くらいまで外にいれる?」

「俺んち親があまりそんなこと言わないからいつでもいいよ」

胡坐をかきながら、俺がおごったハーゲンダッツを口にしながら俊哉は答える。

そういえば後であのハーゲンダッツ代を返しもらうか。

「三人は?」

「俺は親が共働きだから大丈夫だけど十時くらいまで帰ってないと流石に不味いかな」

佐藤が頭を掻きむしりながら答える。

他の二人にとっても答えは同じだった。

「俺んちもさすがに遅くまでは無理だな」

「俺も」

そうなるか・・・・・・・・

昼間からいくら探したとしても意味がない。乗り込むとしたら夜がピークか・・・・・・・

けれど犯人を見つけたとしてもどう乗り込めばいいんだ?

俺たちは一介の高校生だ。武器などなにも持てない一般常識だけを身に着けている普通の人。

今考えれば手がかりだけを見つけてもどうすればいいんだ・・・・・・

鈴川の家に提供する。あるいは警察か?

俺なら前者だが、どっちにしろ鈴川の家に提供したとしても信じてもらえるかどうか分からない。かといって警察にもやったところでどうにもならない。

「とりあえず一日中動きっぱなしになると思うけれど大丈夫か?」

こんなハードスケジュールを組むとなればこいつらの休みの予定に支障が出る事は分かっている。

ちなみに捜索に関しての具体としては、俺と俊哉が千代田区周辺を回る。

聞き込みといったこともやるにはやりたいのだけれどもしかすればのことも有るので聞き込みは控え、なるべく自分の足で調べる過程である。

一日二日で手がかりが簡単に見つかるとは思わないが誘拐された以上、どこかに監禁されている。殺されている事なんてありえない。

大野と佐藤と田中には少し広いと思うがこの辺まで探してもらう。

あとは・・・・・・鈴川の家につながる人に合わない事を願うだけだな。

それを説明し承諾したうえで四人は頷く。

これで明日から鈴川探しに移るのか・・・・・・・

携帯を開きメールを見て一息つく。

「よしっ、みんなで飯食うとするか!!」

「さっきまでピリピリとした空気を払拭するとは気前のいいな。どういった風の吹き回しだ?」

うるさい奴だな。

というかこのテンションでいかなきゃいつまでたっても凹んだままだしな。

とりあえず飯でも作るか。

「お前ら何食べたい?」

「じゃあ、オムライス」

「俺ハンバーグで」

「俺も」

「俺外食がいいなー」

お前等、フライパンで殴る殺すぞ。

とりあえずあるだけ物を適当に・・・・・・・・

冷蔵庫を開け、材料の確認をしてた俺の視界にあるものが入ってきた。

見覚えのない皿だな。俺なんか作り置きしてあったっけ?

ラップに包まれているそれを俺はとりだしラップをはがす。

「なんだこれ?」

野菜炒め・・・・・・のようだけれど肉が入っている。こんなん作った覚えないんだけど・・・・・・・・・

鈴川の訳でもないし・・・・・まずあいつは料理経験ゼロだからな。皆無だ。

じゃあ誰が作ったんだ?

更に皿の裏を触ると真ん中あたりにざらざらとした感触が。

見てみると紙が貼り付けてあった。

はがしてみるとどっからどう見てもあの人が書いた字にしか見えなかった。

『事情は大体分かった。

お前なりに頑張っていけよ。俺もやるだけのことはやるから』

名前は記されていない置き紙。

まあ、どっからどうみても兄さんの字だけどな。

事情は大体分かったって・・・・・・・・速いな。どうせ鈴川んち経由だろうけど。

俺なりに頑張っていけよ・・・・・・・・ね。

適当なようで筋が通っているこの内容には常々頭を悩ませる。

「蓮司ー。飯まだかー?」

呑気な声で俺を呼ぶ俊哉。

そういや飯作んなきゃ。

この野菜炒めをとりあえず電子レンジで温めお皿に適当に盛っていく。

ご飯は・・・・・・・・・まああいつらに適当に盛らせるか。

俺は自分のご飯と人数分の箸に野菜炒めの皿を持って俊哉たちのもとへ行く。

「あれ?俺たちの飯は?」

「自分で盛れ」

端的な言葉をならべ吐き捨てる。

「え?セルフサービスなしですか?」

んなもんねえよ。ってかずうずうしすぎるぞお前等。

ご飯ぐらい自分で盛ろうぜ。

「生憎ながら俺はレストランの店員でないのでね」

黙々と俺は飯を口に運んでいく。

「ちぇー、じゃあご飯盛りに行こうぜ」

俊哉は他の三人に声をかけ台所へと向かう。

しかし、今こうしている間にも鈴川は・・・・・・・・・・・













瀬原が頭を悩ましている間にも時間は刻一刻と過ぎていく。

当の本人はそこまで困ってはいなさそうであるが。

「で、何が目的なのかしら?」

座席シートに頬杖をつきながら鈴川は車内にいる男に聞く。

「誘拐されているのにもかかわらずずいぶんと呑気じゃねえか」

助手席に座っている男が喋り出す。

車は都心を悠々と走っている。

この時間帯だと大抵混むはずなのだが、今日は何かとすいている。夏休みだという事もあるのかは分からないけれど。

「生憎ながらこういうのは慣れているのよ。危ないものさえ突きつけられなければ大したことないわ」

「ほう、気前のいいこと言うじゃねえか」

運転席に男がたばこを吸いながら言う。

車の窓は開けていなく煙草の煙が充満する。鈴川はその匂いに耐え切れなくて鼻をつまむ。

今この男たちが彼女をどこに連れて行こうとするのか彼女自身知らない。わかるのは彼女を誘拐し換金するためにうってつけの場所に少しずつビルの数が多くなり、住宅街が少なくなっていくことだけ。

今このタイミングならメールで誰かに助けを呼ぶことだってできるが唯一の連絡手段である携帯が二人の手にあることを考えればどうしようもないのである。

とりあえず大規模な強盗犯ではなかったことに少し落ち着く。

「今どこに向かっているんですか?」

なんとなく聞けば目的地がどこか割り出せるだろう。そうなれば何かを使えば見つけてもらえる手口にもなるはずだが・・・・・・

「悪いけれどお嬢ちゃんの考えている事は粗方わかっているんだよな。

俺たちもだてに大富豪の跡取りとか攫っているわけではないんだから」

さすがに目的地までの情報は得ることができなかったが、こいつらが連続誘拐犯という事は分かった。

強盗というよりは誘拐犯ね。

彼らが金目当てだという事は鈴川もお見通しである。

普通ならば潔く払う家が多いがおそらく彼女の家はそこまで甘い家系ではないことは彼女も分かっている。

分かっているから自力で脱出する方法を探す。

この車から飛び降りるという選択肢もあったが、さすがにいくら車が空いているという事が在っても万が一着地に失敗したりしたら本末転倒だ。

それを考えてみれば監禁場所からの脱出。

「ほら、着いたぞ」

車を止め到着したことを知らせる助手席の男が言う。

鈴川はウィンドウを開き現在地がどこなのかこの目で確かめる。

「ここって・・・・・・・・・・・・・」

「閉鎖しているから大丈夫だ。痛い目に合う事はしないから安心しろ」

さすがの鈴川でもこの場所はあまりにも意外すぎた。

なんでこんな場所で監禁なんて・・・・・・・・・

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