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俺はお嬢様が恋をしたことに気付いていない  作者: 海原羅絃
第2章 夏休みとお嬢様
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第十話 捜索

俺はプール中を探し回った。携帯に何度もかけたが全て不在通知で済まされる。

更衣室もスタッフの人に頼んでもらって調べてもらったのだがいないと言われもう探す当てがなくなってしまった。

途中で俊哉たちと合流し再び、隈なく探したが鈴川はおろか、手がかりになるものすら見つからない。

こんなことがあり得るはずがない。

ほんの一瞬、手を離しただけなのに。

「ウォータースライダーの人にも聞いたけれど見てないって」

スタッフに目撃情報を確かめに行ってくれてた田中と大野が帰ってくる。

これでスタッフ全員に聞いたことになる。しかしそれでも鈴川がいない。

「そろそろプールが閉まる時間帯だしそうなれば鈴川だって見つかるはずだって」

「いや、そんなことしたって無駄だ」

俺の冷たい言葉に四人は顔を強ばらせる。

ここで探していたって意味がない。

どんなことをしようと鈴川はこのプールにはもういない。

俺と鈴川が離れてからすでにプールから出ていたんだ。

そうとしか考えられない。

「ちょっと君たち」

突然声をかけられた。その声の主は鈴川の家のボディーガードらしき人たち。

この時間帯までいたとなれば鈴川を探していたんだろう。

「鈴川は・・・・・見つかったんですか?」

「見つかったのならばとっくにこの場から消え失せています。

君たちの方こそ、見た感じお嬢様を見つけたようではございませんね」

何人かのボディガードのうち、一人が俺に言葉をかけてくる。

という事はあちらも見つけていないっていう事か。

「手がかりらしきものは見つかったのですか?」

「いえ、所持品ごと攫われたのでそれらしきものは一つもありません」

「じゃあ、携帯のGPSで現在の位置は特定できたのか?」

俺が攻めたてていく質問に俊哉も、大野も佐藤も田中も目を丸くする。

しかし目の前にいるボディーガードたちはそのような素振りを一切見せつけていない。

「ずいぶんと手慣れたようなことを聞いてくるんですね。両親は警視庁かどちらかに所属しているんですか?」

なわけねえだろ。しかし一大事なのにも拘らずよくそんなこと聞けるよな。

平然としすぎだろ。どっからどう見ても。

「いえ、そんな風に見えますか?」

内心での言葉をそのまま口に出すわけにはいかない。もちろん年上には敬語で喋る。

「ですが、あなた達にはこれ以上この事には関わらないよう御当主から言われております。

どうか手をお引き取り願いたいのですが」

「お引き取り願いたいね・・・・・・・そんな事ならとっくにお引き取っているんだけれど、攫われた相手が相手だからな。どうにも放っては置けないんだよな」

放っておけないんだよ・・・・なんでか分かんねえけど。

でも俺があそこで手を離していなければ、鈴川がこんなことにならずに済んだんだ。

全ては俺に責任だ。

「御当主さんに言っておいてくれないか?自分の追った責任は自分で償う。

あんたらの力なんて何一つ借りない。俺は俺の力で鈴川の居場所を突き止める」

絶対何かあるはずだ。鈴川の居場所を突き止めることができる手がかりが

「分かりました。しかし、いくらあなた方が危険な目に合いましても私たちは一切の手助けはしないのでそのおつもりで」

キザなセリフを最後に投げ捨てボディーガードたちは俺に背を向ける。

「あんたたちもあぶねえ目にあっても俺たちに助け求めるなよ。おまえらボディーガードマンなんだからよ」

仕返しのつもりで俺は言葉を投げかける。

それに反応して先頭に立っていたボディーガードはくるりと俺に再度振り向く。

「威勢のいい言葉を言いますね。あなたお名前は?」

「瀬原蓮司。笹野原学園一年の瀬原蓮司だ」

「覚えておきましょう」

それを最後にしてボディーガードたちは立ち去っていく。

「なあ、蓮司。鈴川が攫われたって・・・・・・」

俊哉が俺に声をかけてくる。その声は何処か震えていた。

「ああ、鈴川は何者かに攫われた。確かにあいつらはさっきそう言っていたな」

ふいに頭に浮かんできた言葉が口に出た。

あの時は手が震え、足もすくむほどだった。

俺の眼の前を通り過ぎる人がみんな止まって見える。何枚もの絵を連続再生したような感覚。

突然の光景に目が霞む。

視点がさっきのボディーガードたちに向けていたからなのか立ちくらみが激しく襲うが耐える。

「攫われたって・・・・・・・・・強盗とか誰かにか?」

「おそらく鈴川本人か鈴川の家の金が目当てのどちらかに当てはまる」

幾らどんな割り当てられた条件を出してこようとも、鈴川に手を出すこと自体許されない。

歯を食いしばり、脳髄をかみ砕くくらいの我慢を出す。

「ここで落ち込んでいてもしょうがない。今日は手をひこう」

俊哉に言われ俺らはプールを出て行った。

手がかりになるものは一つにない。というと奪われたものと言えば財布と携帯位だろう。だとすればさっき何度もコールしてきた俺の番号は運悪ければ相手に知られている。運良ければ連絡を取ることができるけれど。

攫った相手が何人なのかその辺まで検討をつけなくてはならない。

鈴川を誘拐したうえでの身代金要求とくれば厄介だな。

「そうだな。明日あたり一人で探しに行ってみる」

「何言ってんだよ。俺たちも協力するぜ」

「そうだよ。俺たちにも責任はあるようなもんだし」

「友達だろ」

お前ら・・・・・・・。

俺はいい友達を持ったんだな。

こんなに気分がいいのは嬉しいに越したことがない。

「っていう事で見つかったらハーゲンダッツね」

「やっぱりお前だけ殺す」

俊哉だけその事を口にしたので俺は拳に力をため追い掛け回した。

待ってろよ鈴川。俺が・・・・・・・・・お前を連れ戻す。








「という訳でございます」

「あの小僧ども、まだ付きまとうのか。無駄だ。警察でもろくにみつからない手がかりがあいつらに見つけられるなんて死んでも無理だ」

大きな家の中にある一部屋にて男性は呟く。

その部屋は一般的には書斎であるが、書斎にしてはあまりにも豪勢すぎる。和室というより和洋折衷を組み合わせたものの方が分かりやすい。

「捜索隊には綿密に行動をとらせます。

警察の方はどういたしますか?」

執事らしき人物は男性に問いかける。

男性は走らせていたペンを止め、執事の言葉だけ耳を傾けていた。

「結局警視庁だってうごくとなるのは蘭が見つかって二日後だろう。それならば我々で探した方が速い」

「では、捜索隊をA、B、C、Dの四班に分け行動の指示を出します」

「向こうから連絡が入ったら無線でつなげておく」

「よろしくお願いします」

ここで話が途切れ、執事は書斎から出ていく。

男性は男性は葉巻を取出し、ライターからともされている火を葉巻に灯す。煙と共に葉巻は少し燃え上がり、男性はそれを口に咥える。

先ほどの話からしておそらく攫われたのは男性の娘だろう。

しかし今こんな大変な状況でもなぜ男性は呑気に葉巻なんてすえているのだろうか。

娘と話していた留学の件で喧嘩となり家出に。更にプールで落ち合ったのち、何者かに拉致されるという事件。

留学についての娘の喧嘩でさえ厄介な事件だというのにこのようなものまでおこるなんて男性の胃も持つはずがない。

窓を閉め切った部屋に葉巻の煙がもくもくと舞い上がる。

彼のイライラはそれだけではない。

それは娘を匿った少年の事。

何処かで見たことのある顔であったが幾ら知り合いであったとしても娘との話に水を差すなど虫が良さすぎる。それに責任を負うため自分で手がかりを探し居場所を突き止めるなんぞ無理にもほどがある。

探し当てたところで何の意味もなく、虚しく散ってい行くだけである。

だけれど彼には一つ疑問があった。

「あの小僧が瀬原蓮司・・・・・・ただの偶然か」

ただの偶然。なのかはそれは確かめてみなければわからない。

男性-鈴川大治郎は開いていた資料を閉じ、葉巻を灰皿に擦り付けた。









家に帰り調べるだけのことを俺は調べた。

もちろん俊哉たちも一緒だ。前払いとして帰りにハーゲンダッツをおごったことで奴らもそれなりのやる気はは見せた。

でもアイス買って貰ってやる気見せるって男として高校生としてどうかと思うが。

とりあえず今調べると言ってもインターネットで鈴川グループのことだけを調べる。

理由としては鈴川を攫った奴らの理由。一般論で考えれば、ただ単に鈴川を鈴川グループの令嬢と知り、それをつけ狙って攫った。あるいは鈴川グループに何かの恨みがある奴が・・・・・ってさすがにそこまでの事はないか。

案の定調べるとそのような記述は一切なかった。

となるとやっぱり鈴川をご令嬢と知って攫ったとしか考えられないな。

「そっちも何かないか?」

違うサイトで探している四人に俺は聞く。もちろん俺が使っているのがパソコンだが四人は俊哉の持っているスマートフォンで探している。

「これといったものはないんだけれど・・・・・・・ここ最近有名な会社の子供を誘拐しているっていう事件が多発しているらしい」

有名な会社の子供を誘拐か・・・・・・・

俺は俊哉にそのサイトを教えてもらい閲覧する。

そこにはこう書かれていた。

『誘拐された子供は無事釈放されました。これに対して警察は相模原グループに身代金の要求を応じるよう要求した後、相模原グループは承諾し、身代金、約8000万円を犯人に支払いました。

なお、犯人は未だ逃走中の模様・・・・・・・・・』

嘘だろ・・・・・・警察が身代金要求に応じろ言ったうえで犯人を捕まえられないなんて・・・・・・・

警察も無駄なことはしたくないっていう主義かよ。

鈴川を探していた時にあった執事の言うとおりだな。

やっぱり俺たちでどうにかしなきゃな。

鈴川んちの父さんなら警察にそんなことされても乗らないだろうし。

警察に任せられないなら配属の部隊を出しそうだからな。あの家。

「で、どうするか決まったのか?」

「警察は当てにしない。とりあえず手がかりになるものを探す。仮に鈴川を見つけたとしても手は出すな。俺たちは武器も何も持っていない身だ。

知らせるのなら鈴川の家だ」

「分かった」「了解」「把握した」「オッケーだ」

俊哉、田中、佐藤、大野の順でそれぞれ違う返事をする。

悪いが夏休みどころじゃなくなるからな。返上してまであのお嬢さんをさがさなっきゃならないから宿題は早めにやっておくか。

「ところでお前ら補習は大丈夫なのか?」

それを聞いて硬直する人約一名。

「悪い!!数学だけだから。午前中だけ!!

二日で終わります」

時間があまりないけれどこいつのこれからの学校生活を考えればそっちを優先だな。これぐらいの人数でも十分行動できるだろうし。

「じゃあ、これから明日回ってもらうルートを確認する」

俺は東京二十三区がきめ細かに書かれた地図を取出し役割分担を決めた。

まー、基本バトルものじゃないですからね。

学園ですよ。学園(笑)

ここまで来ると流石に・・・・・・・・・・

まああと三話くらい続きます。

あー、三章の構成もしなきゃww

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