第七話 遭遇
ジャンルにバトル物はないとありますが基準としてはなんかワザ?とか
炎出したり必殺技出したりとかそういう系がないっていう訳です。
何が言いたいかっていうと・・・・・・・・・・・・
まあ見ていればわかりますww
洗い物、洗濯といった家事をちゃちゃっと済ませた俺は自分の水着の用意をする。すでに三十分前に用意を完了していた鈴川はずっとソファーに座ってテレビを見ていた。
これ以上、と言っても三十分だけであるが鈴川を待たせるとあいつの性格上捏ねてしまう事がなりかねない。
タオルに海パン、財布に必要なものをバッグに敷き詰め駆け足で階段を下りた。
「そろそろ行くぞ」
リビングに顔をちょこっとだけ出して俺は鈴川に声をかける。ずっと待ち呆けていた彼女にとってこの時間が待ち遠しかったのだろう。
「忘れ物ないか?」
「大丈夫だよ。瀬原君こそだいじょ?」
「俺はあと携帯を持ってけばいいよ」
テーブル脇に置いてある携帯を目にやりながら言う。
時刻は十時近く。この時間帯ならプールは開いているしちょうどいい位人が入ってくるころだ。
この時間を見計らって俺と鈴川は家を出た。
余談になるのだが、今日の俺の服装は柄の入った半袖の上に薄いパーカーを羽織り、膝丈下まであるズボンをはいている。
鈴川というとそこまで露出度の高くない白いワンピースを着てその上にブラウスらしきものを着ている。下はショートパンツらしきものをはいている。
ここまで目立っていない・・・・・・・・・・と感じるのは家を出るまで俺はそう思っていた。しかし、家を出れば鈴川自身かなり目立っている。
そりゃあそうだ。あのご令嬢だ。みんな顔くらいは知っている。
「お前って案外顔広いんだな」
「それはそうだよ。ほとんどお父さんがみんなの営みを支援しているんだが」
言い方を変えれば悪徳政治家のようにしか聞こえないんだけど・・・・・・
とまあ、外に出れば鈴川という人物は真夏の日差しよりも眩しく見えてしまう。
最寄りのプールには自宅から歩いておよそ10分ほど。
都心地から少し離れたところにしてはかなりの大きさのプールだ。ウォータースライダーもそれなりに人気でそこにあるアイス屋もおいしいらしい。
「暑いわね」
「まあ、歩いたからな。汗かくのは当然だ」
歩いて十分のところでも汗の量は歩いた分応える。
どのみちプールに入るのだからいいんだが。
俺と鈴川は学生証を見せお金を払い中に入っていく。
入ってすぐ右を曲がれば女子更衣室と男子更衣室に分かれているところがある。
「じゃあ、あとで」
「覗きに来ないの?」
ここまで来てそんなこと言うんじゃねえよ。
俺はあほなことを言う鈴川を無理やり更衣室に押し入れ、溜息を一つ付く。
猫背になりながら更衣室に入ろうとしてところで俺は誰かに声をかけられた。
「あれ。蓮司じゃん」
振り向くとそこには俊哉と・・・・・・同じ中学だった佐藤、田中、大野がいた。
・・・・・・・・まさかこいつがいたなんて。
「お前らどうしたんだ?」
作り笑いを浮かべながら俺は四人に聞く。
「どうしたって、プール以外ここに来る理由があるのかよ」
ないです。プール以外ここに来る理由なんて一つしかないです。
にしても困った・・・・・・・・・
多少の知り合いは勘弁はしていたけれどよりによってこいつらかよ。
しかも俊哉を除く三人は鈴川に目を置いているうちの数に入る。それに俺が今鈴川を家に泊めていることが知られたら・・・・・・・・・・
同じ中学校だったという義理を捨ててここに血の海をあふれさせるだろう。
「でも蓮司も一人でプール?物好きだねえ」
物好きなら一人でプールに行きませんよ。
とりあえず早く着替えないと。
「じゃあ、俺着替えて来るわ」
ひらひらと手を振りながら俺は四人から後ずさっていく。
「・・・・・・ぜってえ何かあるよな」
「あるな」
田中、佐藤、大野が口をそろえていった。
俺は安堵の息を漏らしながら着替えを始める。
海パンと言っても学校のあのピッチピチのやつではない。ちょっと黒味がかかって赤の線が入ったいわばカッコいい系の物だ。
まあ俺自身望んで買ったわけではないけれど。
貴重品をロッカーに仕舞い、必要なものだけを持って俺はプールサイドへと駆け足で言った。
プールは騒然としていた。
理由は鈴川だ。パーカー一枚でプールサイドに降り立った天使(俺から見たら小悪魔だが)が男共をくぎ付けにしたちまち群衆と化してしまった。
彼女に頬をつねられるやつや友達に止められる人などそこらじゅうにいる。
毎度毎度お騒がせ奴だな。
とりあえず群衆を通り抜け俺は鈴川の手を取って抜け出す。
ただでさえ暑苦しい中あの猛者の中にいれば鈴川も気分が悪くなるだろう。
「だいじょうぶか?」
「う・・・・うん。ありがとう」
何で顔を赤くするんだよ。
なんか水着を着た鈴川って可愛いよな。
ってか・・・・・・・その水着って。
「それ、俺と一緒に勝った水着か?」
「そう、今日初めて着たの」
にしても似合いすぎだろ・・・・・・・黒のビキニっていかにもいやらしいぞ。
ついつい目のやり場に困ってしまう。
こっちをやればあっち。あっちを見ればこっちと最終的には目を逸らす形になる。
鈴川って・・・・・・・
「おーい、蓮司ー」
げっ、この声・・・・・・・・・・・
恐る恐る後ろを向くと先ほど遭遇したくないのに遭遇してしまった俊哉と田中、佐藤、大野の四人組。
まさか・・・・・・・こんなところで
「蓮司・・・・・・って、鈴川さん!?」
俺と一緒にいる鈴川を見て驚く俊哉。
しかしもっと驚いているのは後ろの三人。
そりゃあ、そうだ。学校ではめったに見れない鈴川の水着姿だ。見るからに鼻血を出しそうなほど顔が赤いし。
「す・・・す・・すず・・・・・すずかわ・・・・・・さん」
うまく言えてねえぞ、大野。
「ちょっと来い蓮司!!」
「え?ちょっ、待てって」
訳も分からず俺は俊哉に腕を取られどこかへ連れて行かれてしまう。
俺はアイコンタクトで鈴川に少し待ってくれ合図をだし、そのまま拉致られていった。
ってか腕痛いし・・・・・・
連れて行かれた場所は鈴川から目が離れないところの茂み。
「で、なんで鈴川さんと一緒にいるんだ!?」
応えようにも答えられない質問をされても困るんだけど・・・・・・・
そっぽを向くが俊哉に無理やり顔を戻されてしまう。
なんか皆さん目が怖いですけれど・・・・・・
「俺早く戻りたいんだけど」
「とりあえず質問に答えろ」
「はい」
俊哉の一言で俺はしょげる。
ったく、なんならこいつらも誘えばよかったと後から後悔する。
「ホントのこと言えなきゃダメ?」
「嘘つくつもりでいたんか?」
田中の一言を聞いて俺はしまったと口を紡いだ。
滅相もないです。
しょうがない・・・・一部始終、一部略を入れたうえで説明しよう。
「なんで、鈴川と一緒にいるんだっけ?だよな。
まあ、端的に言えばあいつんちの事情で今俺ん家に泊まっていてそのついでに今日ここに来たんだ」
自信ありげに言ったのだが表情は一向に変わらない。
まあ無理もない。学校一美女の彼女が平凡な俺ん家に泊まっているのだから。
「蓮司・・・・・・いつからお前はそんな大胆なやつになったんだよ」
「鈴川と同じこと言ってんじゃねえよ!!なんで大胆なんだよ!!」
「でも、水くせえよな。俺たちも誘ってくれればよかったのに」
はいはい。誘わなくてすいませんでしたね。いろいろあったおかげで誘える状況でもなかったんですよ。と俺は内心でそう呟く。
とりあえずここで無駄話をしていても鈴川を待たせる一方だ。俺は四人に声をかけ鈴川の元へと駆け寄る。
「ごめん。ごたごたになっちまって・・・・・・で、その人たちは・・・・・うちの学校の生徒?」
顔は覚えているんだよな・・・・・・・名前は覚えていなさそうだけれど。
そんなことを考えているが俊哉を除く三人はそんなことを考えているような考えを見せずビキニ姿でいる鈴川を見て目を輝かせている。
更に鈴川は俊哉を見る。
ん?俊哉とは知り合いなのか?
「ああ、俺は林俊哉。賀川の・・・・・・・」
「そういえばあなた利華のね!分かった分かった」
思い出したように威勢のいい声を上げる。どうでもいいんだけれど賀川って?
そんな考えが顔に出たようなので鈴川が丁寧に説明する。
「ほら、同じクラスにいるじゃない。賀川利華っていう子」
ああ、この前俊哉が可愛いって言ってた子か。そういえばあれから俊哉はどうなったのか俺は知らない。そんなことを聞こうとしたけれど今の状況を把握したうえで無理だという事に気が付いた。
「詳しい話は蓮司から聞いたよ。いろいろ大変だと思うけれどこいつがもし頼りなかったら俺たちに相談してくれよ」
俊哉の横で同情したように三人が頷いた。
「立ち話もなんだから泳ごうぜ」
戦闘を切って俺がみんなを誘った。
多少のごたごたがあったけれどまあ人数が多い方が楽しい。
鈴川はパーかーを脱ぎ捨て俺に寄りついていく。
「お、お前!?」
「さっきみたいに寄ってくる人たちから私を守ってくれるんでしょ?」
「はぁ、調子のいい奴だな」
「さ、泳ぎましょ。瀬原君。私をおぶって流水プールを泳ぐのよ!!」
やけにハイテンションだな。俺は押されながら流水プールに入り言われた通り鈴川をおぶる。
もちろん周りからの視線は相当痛い。とくに田中、佐藤、大野。
お前ら・・・・・和解したんじゃなかったのかよ。
ぎらぎらと痛々しい目つきをする三人を俺は水をかけて追い払う。
「おい、蓮司!!お前だけずるいぞ!!」
水の中にいた田中は出てくると同時に今の言葉を発する。
ずるいと言われても何を基準にずるいのか正直困る。というかずるいも何もお前らも鈴川に頼めばいい話じゃねえかよ。
「ってことだ。いいか?」
「私瀬原君以外の男の子には胸を背中に預けないから」
なっ!!またこいつ変なこと言いやがって。
いつ俺が預ける係になったんだよ!!
しかも三人とも顔を赤くしてるし。
俊哉は腹抱えて笑ってるし何なんだよ。
「あら、瀬原君も案外照れ屋さんなんだね」
「誰のせいなんだよ」
くすくすと笑ってごまかす鈴川。
つかれる・・・・・・・それしか思い浮かんでこない。水の中だから重力も何もないのだけれどどれだけ文句を言い放っても背中にあたる胸はどうにもならない。
ってか案外大きいんだな・・・・・・・・
なんて考えているとあるものが目に飛び込んだ。
ここはプールのはずなのに一人、いや数人不自然な格好をしている男性が三人。更にその一人は後ろに二人のグラサンをかけた大柄の男性を後ろに控えていた。
その人物はずっとこっちを見ていた。
笑えば和みそうな顔なのになぜか恐怖におびえている感じ浸ってしまう。なんだ・・・・・・あいつら。
不自然な方向に目をやっている俺に気付いた鈴川は声をかけて来た。
「瀬原君?どうした?」
「あ、いや、何でもない。ちょっと知り合いがいたような気がしたから」
見せやすそうな嘘をついて俺は再び考える。
あいつらは何者なんだ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
いいやな感じしかしなくて頭が痛くはきそうなほどだった。




