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俺はお嬢様が恋をしたことに気付いていない  作者: 海原羅絃
第2章 夏休みとお嬢様
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第五話 怖いの・・・・・・・

夏の季節は日の堕ちる時間も遅い。まだ六時前だというのに辺りはだいぶ明るく照らされ足元も普通に見えるくらいだった。

しかし、それを取り囲むように昨日の夜も空を覆っている雨雲が今日も見える。

昨日に続いての雨か。どしゃ降りにならないうちに帰ってくるか。

緑地公園から近くのアイスクリーム屋に寄ったり、ゲームセンターでゲームをしたりとなかなか充実した一日にできた。

鈴川自身も何とか楽しんでもらえていたし俺がUFOキャッチャーでとったぬいぐるみを大切そうに抱きしめている。

ご満悦で何よりだ。これで素直に家に帰ってくれれば嬉しいんだが・・・・・・・・

そんなことは簡単にいかない事くらいわかっている。

「なあ鈴川。今日の夕飯何がいい?」

ふいに今日の夕飯の事を聞いた。さすがに冷やし中華は飽きているだろう。たまにはいいものも食べたいし。

「そうね、瀬原君は何か作れるものはあるの?」

「材料があればある程度はいけるけど」

味や見た目は二の次としてだが。

家庭の事情という事もあった俺にとって自炊など飽きるほどやってきている。

料理も材料があれば生姜焼きやハンバーグ、親子丼も作ることができる。

材料があればのお話だけど。

でもうちの冷蔵庫にあるものって言ったら・・・・・・・・・

ハンバーグくらいはいけるだろう。

「じゃあ、冷蔵庫にある材料で作れるものお願いできる?」

頼まれてしまったから仕方がない。もしなかったら急いで買いに行けばいいんだから。

「でもお前は何か食べたいものとかないんか?」

「そうね、人間の肉とか?」

「わりぃ、聞かなかったことにしておく」

そうだった、こいつは鈴川蘭。何言いだすのか予測不可能なやつ。

にしても人間の肉なんて・・・・・・・・スケールの塊もないだろ。

もっと現実に向いてほしいような気がするけれど。

お前は化け物か。

「じゃあ、瀬原君が食べたい」

とりあえず俺は冗談事を連ねている鈴川を無視して帰路をたどっていった。

俺が食べたいって・・・・・・・・なぁ。








家に帰り、鈴川にシャワーを浴びてきてもらっている間に俺は夕食の準備をすることにした。冷蔵庫には幸い、ひき肉や玉ねぎ、にんじんとハンバーグくらいは作れる材料はあった。

玉ねぎをみじん切りにし、ひき肉やその他の材料をボールに入れこねていく。

こね合わせた生地をハンバーグの形にし真ん中にくぼみを入れる。二人分でも大きさが定められていないからとりあえず小サイズの物をいくつか作る。

余った分は余った分で俺が食べるか明日に持ち越せばいい。

あらかじめフライパンに油を敷いていたので既に焼ける準備は整っている。

形にしたハンバーグを丁寧にある一定の数を置いてく。

油が多少飛び散るが、気にせず俺はその作業を続ける。

時間を自分ではかり焼き加減がどんなものか定期的に見る。焼きすぎず、焼きなさすぎずと感覚は人それぞれだがとりあえず中に火が通っていれば安全な方だと俺は思っている。

焼きあがっていったハンバーグをお皿に盛り付けていく。

うん、我ながらにして今日は調子がいい。

この調子で残りも焼いていくか。

鼻歌をリズムよく歌いながら俺はハンバーグを順調に焼いていく。そこにシャワーを浴び終えた鈴川がリビングに姿を現した。今日はバスタオルで髪の気をちゃんと拭いている。余程昨日俺がしたことがやだかったんだな。

「あ、いい匂いするね」

「ハンバーグだから」

バスタオルを椅子に掛け台所に鈴川は来る。そしてハンバーグを焼いている俺のくっつくように鈴川は寄り添う。

正直動きにくい。寄り添っているのが左腕でいのだがこれじゃあ横にあるお皿が取れない。

「悪いけどそこのお皿取ってくれないか」

「えー、お客さんにそんな仕事させるってどういうこと?」

お客になったのは誰のせいだよ。

皿取るくらいだから別にいいだろ。

これぐらい鈴川はふざけ半分だという事は分かっている。俺があきれ返ったように溜息をついたところで鈴川はお皿を取り、俺の元へと差し出す。

「はい」

やるなら最初からやれよ。

こげそうなハンバーグを急いで更にとり鈴川に手渡す。

「これ持って行っていいの?」

「ああ、そこのテーブルに置いてくれるか」

うんと頷いて鈴川はすぐ前にあるテーブルに置く。

フライパンを洗い物に放り込み、炊飯器を開ける。

茶碗を二つ用意しそこにご飯を盛りつける。

箸も添えて俺はテーブルに持っていく。

「瀬原君てやっぱり器用なのね」

嬉しいことを云われているのだが口調からしてなんか悲しいぞ。

「お前にとって料理がうまい=器用って意味なのか?」

「あら、もしかして怒っているの?可愛いわね」

話の趣旨ができていないが突っ込みどころがたくさんある。

いただきます。と鈴川は行儀よく合掌し俺の作ったハンバーグに手を付ける。

ぱくぱくと食べる鈴川の表情を俺は窺う。

「まだ?怒ってるの?ほんと瀬原君て・・・」

「可愛くなんかねえよ」

何故だか無愛想に答えてしまう。怒っているつもりなんてないのだけど。

「もう、せっかく美味しいご飯が瀬原君のせいで冷めちゃうじゃない」

悪かったな。俺の対応のせいで冷めちまって。

頬杖をつきながら俺は頬を膨らませる。

「うふふ、今度は拗ねているそういう瀬原君も・・・・・・・・・」

面白そうに言う鈴川の言葉は途中で聞こえなくなる。

その瞬間。

ドゴーンッ!!!!!

雷が堕ちた。

突然おちたものだから俺はびっくりして頬杖をついたままビクッとなってしまった。

「今相当近かったよな・・・・・・・停電しなければいいんだけど」

鈴川にそう言いながら顔を向ける。しかし本人はさっきのセリフの表情のまま顔をこわばらせていた。

箸も止まっていて顔も青白くなっているのが分かる。

そしてもう一度、雷が鳴る。

更に鈴川の顔がこわばる。

世の中には嫌いなものは一人一つは存在するという事はあるがまさにその通りだ。

あの鈴川に嫌いなものがあるなんて。

「鈴川。お前ってまさか雷が苦手なんか?」

「な、何言っているの。瀬原君。わ、私がかみ・・・・雷に覚えているなんて・・・きゃっ!!」

三度目の落雷が家を揺るがした。いや、隠さなくてももうわかっているからいいのに。

しかし困ったな。これだけ近いと停電もマジであるかもな。

懐中電灯とか早めに用意しとかないとな。

「鈴川痩せ我慢なんてしなくていいから怖いなら怖いっていえよ」

「何言ってるのよ。雷なんて子供じみたものに怖がるわけないでしょ」

強がる鈴川を俺はじと眼で見つめる。

鈴川ってこんなに強がりだったけ。よくわからないけれど完全にパニクっているな。

「とりあえず風呂入ってくるから」

既に夕食を食べ終え、空になった食器を片づける。

まだ雷が続くかもしれないけどそれまで鈴川には耐えてもらうしかない。

「じゃあ、なんかあっても我慢せず俺のところに来いよ」

「うん」

弱そうな頷きをし俺は部屋を出る。

あ、そうだ。

「風呂場には入ってくるなよ」

そう忠告すると珍しく鈴川が頬を膨らませた。

痩せ我慢したりと怒ったりといろいろ忙しい奴だな。

バスタオルを手に取り俺は浴場へ足を運んだ。

今日は街の至る所を回ったので汗はそれなりにかいている。湯船に入る前に汗を流してから俺は体を浸る。

「ふぅー」

一息ついて俺は浴槽の縁を頭に乗せる。

雷はまだなっていないがなりそうな雰囲気なのはわかる。雨も結構降っていて出かけていたのが早いうちでよかったな。

今頃鈴川は雷が鳴っても怖がらないように部屋の隅で膝を抱いて待っているだろうな。

そう想像するだけで思わず笑い出しそうになってしまう。

ドSでマイペースで何やるも手段を択ばない鈴川に苦手なものか。

想像したことはあってもまさか実際にあるとは思ってもしなかったな。

雷はさすがにこの近辺まで落ちるとビビるのは当然だ。

幾ら男であろうが人間なんだからビビることも有る。

過去にちびった俊哉が泣き泣き俺に縋り付いていたことを俺は思いだす。

「そろそろ上がるか」

逆上せそうなのでシャワーを浴び、俺は風呂から上がった。

このタイミングで鈴川が来るのはさすがにないがなるべく早く着替えないとな。

着替え終わりリビングに入ると鈴川は窓とカーテンを完全閉鎖し扇風機の前に座っていた。

見るからに放心状態・・・・・・ぽかった。

「大丈夫か?」

「あ、瀬原君。うん、大丈夫よ」

おいおい、大丈夫じゃねえだろ。

はぁ、とため息を吐き俺は冷蔵庫から麦茶をだしコップに注いだのを鈴川に手渡す。

「大丈夫か?」

「ごめんね・・・・・心配かけて」

まあどのみちあの状態じゃ心配かけようもないんだけどな。

とりあえずテレビで今の状況を・・・・

テレビの電源に手を伸ばそうとした瞬間。

壮大な音を立てて雷が堕ちた。

音と共に部屋の明かりは消え、つけようとしたテレビはつかない。

・・・・・・・・これはいわゆる停電か。

うん、停電だ。間違いなく停電だ。

テレビの電源を何度もつけたり消したりすれば緊急用の電力が供給してテレビがつくと思ったが現実そう甘くはない。着くはずがない。

鈴川を見ると頭を抱えて震えていた。

「ちょっと、現況確かめるためにオーディオ取ってくるから」

真っ暗な部屋を出ようとすると服の裾を掴まれる感触がした。

振り向くと鈴川がしもしない表情をしてこっちを見ていた。

「置いていかないで」

え・・・・まて、そんな表情で見られても困るんだけど。

表情と言っても暗くてよくわからないけれど言動を判断してなのでおそらく甘えたいのだろう。

ったくしょうがないなぁ。

しみじみと俺は裾を掴む鈴川を連れてオーディオを取りに行った。

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