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俺はお嬢様が恋をしたことに気付いていない  作者: 海原羅絃
第2章 夏休みとお嬢様
10/80

第一話 終業式でまさかの・・・・・・・・

夏。といえばいろいろ浮かび上がってくるだろう。花火にしたってお祭りにしたって人それぞれの夏があるわけだ。

けれど上のような楽しい事ばかりの夏があるわけでもない。学校での補習もある。彼女と約束していた夏祭りがドタキャンされる。アスファルトを照りつける太陽で脳天がやられるといったことがあり得る。

今年の日本の夏も例年通り暑い。もちろん猛暑である。

俺の今年の夏はどうにか安全に過ごすことと夏休みの宿題をどうにかして期限までに終わらせる。補習にはさすがに成績を見れば引っかからないと思う自信があるからその事は考えていない。

それでも通うところが私立だからといって特別な規制もあるわけでもないし俺には俺でやりたいことはそうそうない。

海に行くなり祭りに行くなりどこかしらで何か予定が入ってくるかもしれない。

おそらく鈴川辺りが暇つぶしに俺の携帯を鳴らしてくるだろう。

プライベートビーチとか見るに見れない水着姿・・・・・・・・・と、そこまで俺はやましい考えは持っていない。

だがそんな俺の願望も奴の行動によって俺の夏休みが一瞬にして崩れてしまったのだ。







7月24日。今日は俺の通う学校の一学期終業式である。

これが終われば今日でしばらく学校とはおさらばであり俺の楽しい夏休みが幕を開くのである。

校長の話なんぞ無視して俺はこの夏休み中何をするか考えていた。

夏祭りも花火もいいが他にもすることがある気がする。

そういえば今年はプールに行ってなかったな。今度俊哉あたりと行ってみるか。

納得したような表情を俺がすると後ろで笑っている鈴川が視界に入った。

どう見てもあれは何かしようとする顔だ。

理由はただ一つ、口元が若干引き攣っている。

そんな考えは頭の外に放り出し再び夏休みに何をするか考える。

でも・・・・・・・・

この期間中だと鈴川とは話せなくなる。

不思議と何故かそんな気持ちになってしまう。心に聞こうとも聞けない。

そう考えている間に終業式は終了し生徒たちはそれぞれ体育館から退いていく。

体育館を出ようとする生徒たちでごった返し夏の蒸し暑さをより強調させている。俺は少し遅めに体育館を出ようとした。

するとすぐ隣にクラスメイトの俊哉がいた。

「今日から夏休みだな」

何爺くさいこと言ってんだよ。まだ一年目だろ。

「でも長いようで短いんだよなー。実際何日間だっけ?」

体育館から教室までの帰り道での会話はなかなかはずんでいく。

「知らねえよ。それよりお前補習引っかかっているんだろ?」

生憎ながら俺は毎日コツコツ勉強しているから追試や補習には引っかからないんだよ。

当然俺のテストの点は平均越えだぜ。

と、誰に自慢しているのか自分でもわからない事に気づき、脳内で語っていた口を紡ぐ。

さて、そんな話はさておき。

「一発でパスできそうか?」

「さあ、それはその日の補習次第だね」

自慢げに言うな。

「それよりさー、今度一緒にプールに行かないか?鈴川と賀川も誘っておくからさ」

「なんで鈴川と賀川が出てくるんだよ」

賀川が来るのなら鈴川が来て、んで俺が来るみたいな系列だな。

「悪いけどパス」

「なんでだよー」

廊下を歩きながら俊哉は顔をのぞかせてくる。

暑いぞ。

「俺はあまり大人数ではいきたくない」

「大人数って・・・・たった四人じゃん!?」

そりゃあそうだけど・・・・・鈴川がいれば何かとねー。

水着とか・・・・どうせあいつのことだから派手なの着てきそうだし。

あまり見たくないんだよな。いい意味で。

「しゃあねえな。また今度誘うわ」

「おう」

俊哉はそう言って自分のクラスへと戻っていった。

俺も一つ上の階段をのぼり自分のクラスへと入る。

しばらくしてから担任の長い一学期最後のHRが始まる。

「えー、夏休みが始まるわけだが学生の本分は勉強だ。補習などサボらないように」

どれもこれも俺には関係のない話。最後にしては短かったHRが終わり俺はみんなとは一足早く教室を出る。

あっつい日差しを浴びながら長い道のりを自転車でこぐ。

今日から夏休みか。

家帰って何しようかな。

そんな風に考えていたら知らぬうちに家についていた。家に入りすぐさま汗ばんで背中に張り付いているワイシャツを脱ぎ普段着に着替える。

リビングの扇風機をつけ窓を全開にする。

鞄から夏休みの課題を引っ張り出し俺は手を付け始める。

リビングに扇風機が回る音とシャーペンが紙の上を走る音だけが聞こえる。

・・・だめだ。集中力がすぐ切れる。

それと同時に家のインターホンが大きくなった。

「誰だ?」

扇風機を回しっぱなしにして俺は玄関に行くと見慣れた服の色をした人が向こう側で見えた。

まさかだと思うが・・・・・・

ピンポンピンポーン。

「はい・・・」

ドアをちょこっとあけるとそのまさかだった。

バタン。

咄嗟に俺はドアを閉めた。

いや、今のは気のせいだ。うん、気のせいであってほしい。

しかしまたインターホンが俺の家じゅうを鳴り響かせる。

・・・・・なんていうか

「なんだ?」

もうめんどくさくなって来たので俺は仕方なく応答した。

やはりそこにはあの鈴川蘭がいた。

「夏休みは明日からだぞ」

「そんな事くらいわかっているわよ。けど・・・・・・・」

強気で言っているような彼女だがなんか悩みがあるような感じだな。しかもそわそわしてるし。

「ふー、何かあったのか?」

「えっと・・・・・その」

「もったいぶらずに早く言えよ」

「怒らない?」

「内容による」

「断ったら執事来て殺させるから」

どんな拷問だよ!!って処刑対象のレベルひくっ!!

とまあ、こんなに突っ込んでいるとやたらと汗かくので程々にしておかなければ。

「実は・・・・・・・・・」

どうせ大したことじゃねえだろうと思ったがあながちそうでもなかった。

「お願いなんだけど私を家に泊めてくれない?」

衝撃だ。とてつもなく衝撃な言葉だ。

こいつが人んちに泊めてくれなど頼むということは余程の理由じゃなきゃない。

こりゃあ今回は読めないぞ。

「で、理由は?」

「・・・・父さんと喧嘩して」

にしても学校から帰って来てすぐさま喧嘩ですか。あなたたちスキンシップ極めすぎですよ。

「まあ早く言えば家出だから。今日からよろしく」

おい、父親に対しての反省の意図が全く見れねえぞ。大丈夫か、ご令嬢さんよ。

とりあえず俺は他人の家庭にあれこれ言うつもりなんてさらっさらないから別にいいけど。

けれど・・・・・・・・・・・・・・・・・

「あまり勝手なことをするなよ」

「分かったわ☆」

ぜってぇ分かってねえ。

しかも完全にお泊まり気分だろ。荷物が完全にそうですよ。とても家出したようには見えない。

「まああがれ」

玄関で立ちっぱなしっていうのも悪いから俺は鈴川を家へと上がらせた。

どうでもいい話だが俺は女の子を家に上げたことなんて一度もない。だから今かなり緊張している。

「じゃあ、改めてよろしくね。瀬原君」

夏休み前から前途多難だなおい。

男のライバルを出しても話がごちゃ混ぜになりそうだし、女のライバルを出しても話がごちゃ混ぜになりそうだしもうわかんないですね

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