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28話

カーラが鳴らした指笛からしばらくして、リサが合流した。


リサが報告と増援のために戻ったことは聞いていたので、他にも連れてきているのかと思ったが一人だった。


そのおかげでオーガに気が付かれることなく無事に合流することができたわけだが。


リサが言うにはもともとそんな大物を倒す予定はなかったため、準備がまるで足りないらしい。


一応森から出た場合に備えて兵を配置しているが、下手に突入させれば無駄に被害がでるだけだと判断されたらしい。


いや、それなら何でレントたちは俺たちと合流するように言われたんだろうか?


話を聞いた最初こそそう思ったが、その後の話を聞いて納得した。


問題はリサが学科長と名乗った人物から預かった魔法武器だ。


形状からしてこの筒の先から魔法を用いて何かを打ち出すのは間違いないだろう。


しかし魔力を用いて調べてみるとおかしなことに魔法陣が不完全だ。


このままではいくら魔力を送り込んでも魔法は発動しない。


失敗作なのかと思ったが、丁寧に調べてみると違うのだとわかった。


魔法陣の中でわざと空けてある場所があった。


しかもそれは魔法武器本体に何かをはめ込めるように空いている場所だった。


俺はお守りを取り出してみる。


マーク・フォーゲン。


かつてデュデュカの街で若くして駐留部隊のトップに立っていた男。


そして俺に魔法技術を教えた男。


あの男の遺産と言われて思いつくのはこのお守りだけだ。


あの男はこのお守りを天使の涙と呼んでいた。


天使なんて生き物は御伽噺にしか出てこない生き物だ。


そんな架空の存在の名をつけられたらこの御守りは代々あの男の家で受け継がれてきた家宝の一つらしい。


おそらく遺失武器と呼ばれるものの一つだと思われるこのお守りの謎を解き明かすのが夢だと語っていた。


しかし本人に魔法の才能はなかった。


魔力に乏しく、技術的にも拙かった。


今の俺の方が遥かに優れている。


そのため当時も実演することなく理論だけを教わった技術も少なくない。


集束もそんな技術の一つだ。


収束の上位技術に当たるのが収束だ。


収束が停滞させた自分の魔力をまとめることならば、集束は自分以外の魔力を一つに束ねることだ。


理論は理解しているし、技術的には可能だ。


しかし実際に使ったことはない。


初めて使う魔法陣に初めて使う技術。


こんなものに自分たちの命運をゆだねることに不安がないわけではない。


お守りをはめる。


これまでどれだけ魔力を流しても先の見えなかった魔法陣がはっきりと知覚できた。


魔法武器の魔法陣とお守りの魔法陣が繋がり一つの魔法陣をつくる。


顔を上げて周りをみる。


不安がないわけではない。


だがここにいる誰一人として俺の成功を疑っていない。


何とかなるかもしれないという期待ではなく、大丈夫だという信頼。


ならばやって見せよう。


ここで奴を倒し、俺達の実力を示す。



「みんな、俺に力を貸してくれ」



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