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18話

目的のゴブリンたちは森に入ってすぐに見つかった。


ゴブリンたちは自分たちでしとめたらしい獲物を裂いて食事をしていた。


数は五匹、好都合なことにこちらにはまだ気がついていないようなのでアンナとリサに武器を用意させ、残った俺たち三人は奇襲を仕掛けるために身体を隠しながら近づいていく。


十分な距離まで近づいたところで合図をする。


まずはアンナの風の魔法がゴブリンの額に当たってのけぞらせ、リサの雷を発生させた矢がその隣の一匹に突き刺さった。


どちらも即死にはいたらないようだが、風の魔法が当たったほうは地面に頭を打って動かないし、矢が刺さったほうはビクン、と不思議な動きをするだけだ。


そして他のゴブリンが気がつく前に俺たちは飛び出し、無事な三匹に切りかかる。


アキラはゴブリンの首筋を切り、リリエルと俺は首を切り飛ばした。


首を落とされた二匹はもちろん、アキラが切ったゴブリンも大量の血を噴出しながら息絶えた。


もちろん最初の二匹にもしっかりと止めを刺しておく。



「ふう」



今回は相手に気がつかれる前に攻撃できたためなんとも無かった。


それにしてやはり風の魔法武器は力不足だ。もっと近づいて使えば威力は上がるだろうし、こめる魔力を増やせばいいのかもしれないが、燃焼だけで収束を身につけていないアンナではあれ以上は望めない。


だからといって不用意に近づかせるのも不安だ。



次の集団に遭遇したのは10分ほど歩いた時だった。


すでに向こうもこちらに気がついているようで、武器を構えて戦う準備を整えている。



「私が正面から気を引く。

アキラは右、ヤエトは左に回り込んでくれ。

アンナとリサは二人が飛び出すタイミングで援護してくれ」


「了解」



お嬢様の指示通りアキラと二手に分かれて回り込む。


正面からは見えなかった場所にもゴブリンがいる。


全部で九匹。少し数が多い。


何か手はないかと考えているうちにお嬢様が飛び出した。


仕方がなく、ゴブリン達がお嬢様に気を取られているうちに予定よりも後ろ、正面から見て物陰に隠れている奴に奇襲を仕掛ける。


背後から一閃、首を切り落とし、燃焼二回分の魔力を魔法陣に収束させる。


こちらに気がついたのが三匹、そのうち一匹はアキラが切りかかり、もう一匹はリサの矢が刺さる。


残りの一匹を振りかぶった棍棒ごと赤熱した魔法剣で切り裂く。


刀身が肉を焼き、吹き上がる鮮血が熱を奪っていく。


再度魔力を送り込み、近くにいるゴブリンに切りかかる。


しかし今度は熱量が足りず、岩を割って作られた石剣で受け止められる。


周囲に視線を走らせるとアキラの前に一匹、お嬢様の前に二匹倒れている。


先ほど矢で倒れた奴を入れてこれで六匹。


残り三匹ぐらいならばこのまま行けば問題ない。


だがその時一匹のゴブリンがお嬢様の横を通り過ぎた。


その先にいるのはアンナだ。


まずい、お嬢様は残りの一匹に捕まっているし、俺の位置からは遠すぎる。


アキラが急ぐも間に合いそうにない。


仕方がない、切れ味の悪い石剣なら一度ぐらいなら耐えきれるさずだ。


すぐ近くにいるゴブリンを無視して右手に持った剣を大きく振りかぶる。


慎重に狙いを定め、投げる。


直後に背中に衝撃が走る。


肺の空気を一気に吐き出しながら体を前方に投げ出した。


予想通りゴブリン達が使っている武器では訓練服は切れない。


もっとも背中かに受けた衝撃だけでも十分に強力だった。


さて、俺の投げた剣だが回転しながら真っ直ぐにアンナに襲いかかろうとしたゴブリンへと飛んでいった。


しかし剣が刺さると思いきや、柄の部分が背中に当たっただけだった。


しかもそのせいで体勢を崩したゴブリンはアンナに向かって倒れ込んだだ。


次の瞬間、アンナの手が素早く動いた。



「いや」



まず風の魔法を眉間に撃ち込まれた頭が大きく後ろにのげぞり、



「こっちに」



続けて喉に二発目を撃ち込まれ、上体全てが後ろに跳ね上げられ、



「こないで!」



最後に水月に撃ち込まれた一撃で体をくの字に曲げながら吹っ飛んだ。


急所を三連続で無防備に受けたゴブリンはぴくりとも動かない。


…………さすがに死んだか。


至近距離から急所に三連撃。


あのアンナがそんな芸当ができるとは。


普通魔法を連続で使うには魔力を複数個停滞させた状態で複数回に分けて魔法陣に送り込む必要がある。


しかしアンナはまだ停滞もできていなかったはずなのに。


もしくは燃焼による魔力の生成量を調整し、発動と燃焼を連続して行う方法もある。


しかしあの魔法武器は魔法剣同様発動させるのに燃焼一回分近い魔力がいる。


もしその方法だった場合、アンナはあの魔法武器を発動させるだけの魔力では、一度の燃焼で生成できる魔力量としてまだまだ余裕があるということになる。


どれだけ燃焼効率がいいんだ?



「アンナ、大丈夫か?」



残ったゴブリンを片付けたあと、放り投げた剣を回収してアンナに駆け寄った。



「……ヤエトくん」



よほど怖かったのか、アンナはゴブリンを魔法で倒してから地面に座り込んでしまっていた。


今も近くにきた俺の服を掴み、涙ぐんだ目で俺を見上げていた。



「……すっごく怖かったよぉ」


「そうか、でもすごかったな。

アンナも自分の力だけで倒せたじゃないか」


「……うん」



俺の服をつかむ手に力が入る。



「良かった……よかったよぉぉぉ」



何故か本格的に泣き出したアンナにみんなの視線が集まる。


いや別に俺が泣かせたわけではないはずだ。



「私……私もきっとみんなといられるよね?」



ああ、そういうことか。


「大丈夫に決まっているだろ。

こんな短期間にここまで強くなれたんだからな」


「……うん」



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