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17話

尻から頭へと抜ける衝撃に目を覚ました。


目覚めた直後、自分のいる場所がどこなのかわからなかった。


大量に積まれた荷物、同じように荷物に寄りかかって眠るレントとカナタ、そして前方に見える景色。


ああ、そうだ。


今は例のゴブリンがでた森に一番近い砦に馬車で向かっているところだった。


昨日はろくに眠れなかったとはいえ移動中に寝てしまうとは。


出発してからどのくらいの時間がたったのだろう。


予定では二時間ほどでつく予定だった。


見渡す限りにそれらしきものは見えないのでまだまだ当分先だろう。



「目が覚めたのかい?」


「はい」



御者のおじさんが水袋を渡してくれたのでありがたく頂く。


思ったよりものどが渇いていたようでよく冷えた水がとても美味い。



「これ、冷気の魔法陣使ってますか?」


「そうさ、これからの時期は暑くなるからね。

これぐらいの準備は必要さ」


「そうですね」



水袋を返し、そのついでにおじさんの隣に腰掛ける。


早い時間に出発したこともあり太陽はまだあまり高くなく、暖かな日差しと程よく吹いている風が気持ちいい。



「後どれくらいですか?」


「四分の三ってところだな。もう少ししたら見えてくるはずだ」



思ったよりも進んでいたらしい。



「それにしてもお前さんたちよく眠れるな。これからゴブリン討伐だって聞いたぞ。

少しは緊張しないのか?」


「おかげで昨日寝つけなかったんですよ」


「ああ、そういうことか。だったら着いたら起こしてやるからもう少し寝ていたらどうだ?

肝心なときに眠かったじゃどうしようもないだろう」


「いえ、大丈夫です」



いまさら寝る気分でもない。


それにせっかくこうしているのだから風に当たっていたほうがずっといい。




砦についてからは忙しかった。


同行する兵士たちとの顔合わせに支給される装備の確認。


それが終われば地図を見ての教官からの今回の試験についての説明だ。


これからいく森は王国内でも大きな森で、奥には強力な妖魔や魔獣がいることが確認されている。


幸いそれらは森から出てくることはなく、稀に今回みたいにゴブリンのような低級の妖魔が森の浅いところを徘徊するようになるらしい。


森の浅い場所は近隣の村からも狩や採取のために人が入ることが多いため早い段階での排除が必要となる。


この砦はそもそもその森に住む妖魔たちの監視と排除のためにあり、今朝も数部隊が森へ赴き、ある程度の数を処理している。


その残りの数を俺たちが倒すのが今回の試験だ。


残っているゴブリンの出現場所は二箇所。そのため二手に分かれて試験に挑むことになる。


同行する兵士たちはいざというとき意外は手を出さないが、その上でゴブリンたちが逃げないように退路をふさいでいてくれている。


まあよほどのことが無い限りはお世話になることは少ないだろう。



そして肝心の装備であるが支給された剣は前回使ったのと同じ熱の魔法剣が人数分。


その他に俺以外も申請していた魔法武器はそれぞれ異なるものが配給された。


まずはアンナには芯の部分が空洞になっている棒だ。


内側には魔法陣がびっしりと刻まれており、何が書かれいるのかはよくわからない。


ただ説明を受けるとどうやら空気の塊を撃ちだしてぶつける武器らしいが、はたしてどれだけ役に立つのか疑問だ。



次にリサは先に弓を使うと伝えてあったためか、四本の矢を渡された。


これは鏃に魔法陣が刻まれた代物で、珍しいことに雷の魔法陣が刻まれている。


日常ではまず使われない魔法陣のため見ることは少ないし、需要が無いため作られることも少ない。


サイズも小さいし効果としてもいまひとつの代物で、これもあまり役に立つとも思えない。


アキラとリリエルは特に申請しなかったようで二人の魔法武器を興味深く見ている。



しかし問題なのは俺の魔法武器だ。


一言で言えば剣だ。それも熱の魔法陣の刻まれた剣だ。つまり先ほど全員に配られたのと同じような剣だ。


正確には同じではない。


教官が言うには前回の俺のテストの結果を受けて作られた特別な剣で、刀身の素材や製法を変え、折れにくく、、炎や熱に強くなるようにしてあるらしい。


その結果として魔方陣も強化してあり、前回と同じ魔力をこめても数回は持つはずなのだという。


正直本当なのかどうか疑わしいが、いざというとき一回で剣が使い物にならなくなってしまうのは困るので予備として考えておく。


レントたちもそれぞれ魔法武器を受け取ったらしく、なにやら騒いでいる。


効果がいまひとつわからない魔法武器を見て、昨日の夜から感じていた嫌な感じが余計に強くなったような気がした。

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