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14話

あの日以来お嬢様が積極的にあの三人の指導を行うようになった。


幼い頃からしっかりとした教育を受けているだけあって指導は的確で丁寧だ。


特に剣術については物が違う。


正当な知識と経験からくる理論的な指導は俺にはとうていできない。


そのためこれまで解らないことを聞きに来ていた三人がほとんど来なくなった。


同性であって指導の上手いお嬢様のほうに行くようになった。


まあそれはいい。


その分自分自身の鍛錬のために時間を割けるようになったし、三人の実力も上がってきた。


それでも魔法についてはお嬢様もそこまで詳しいわけではないらしく、俺がいろいろと教えることになった。


そして放課後、俺たちは寮の談話室に集まっていた。



「約束通りこの前のあれ、どうやるのか教えてよ」

「ふむ、三人も無事に魔力を制御できるようになったわけだからな」



この前のあれとは魔法剣のテストの時に俺が使った方法のことである。


あれは基本的な技術の組み合わせだがそれなりに難しい。


魔法陣を発動させないように持つことすらできない奴に教えても仕方がない。


そう言ったのだが聞く耳持たず、できるようになったら教えてやると約束するはめになった。


すると三人ともあっさり制御できるようになった。


これまでの苦労は何だったのかと言いたくなるくらいあっさりとできるようになった。


そのためこうして時間を作って教えることになった。


それはいいのだが



「何でおまえ達までいるの?」


いつの間にか談話室に集まっているB班五人。


優雅にお茶を飲んでいるハウスウッドのお嬢さんに向かいに座ってこちらにひらひらと手を振っているレント。


カナタたち三人は少し奥の席でかしこまって座っている。



「いやぁ、アキラからおもしろい話を聞いてさ、スイに教えたら自分も知りたいって言い出して」


「興味があることは否定しませんわ」



紅茶を置き、向けられたら視線に気圧される。



「私、これでも入学前に魔法について一通り勉強しましたの。

もちろん知識を得るだけでなく、我が家に勤める魔導士たちの指導も受けましたわ」



さすがは大商人の娘、実家に魔導士がいるのか。


魔導士は普通の人には扱えないような魔法陣を扱う者のことだ。


たとえば大きな国営の施設にある空調用の魔法陣や、土地の整備など、小さな魔法陣でまかなうのが困難な時、大型の魔法陣を発動させる時に呼ばれる。


彼らは総じて魔力が高く、魔力の制御に長けている。


もし大型の魔法陣を発動させるのにかかる時間が短縮できれば十分に戦力として軍に組み込まれていただろう。


しかし大規模の魔法陣は発動させるのに集中力がいる。

大部隊がにらみ合っている中、または乱戦状態のままではとてもではないが発動できない。



「その上でなおあなたが先日の実験でなした結果がまともな方法で起こせるとは思えません。

わざわざその種明かしをしていただけるというのであればこうして足を運ぶことなどたいしたことではありませんわ」



別にそこまで特別な方法なわけではないんだけどな。


たぶんその魔導士の人も知っているけどそこまで詳しいことを教えていなかっただけだろうし。



「基本的には『燃焼』と『停滞』の応用技術だ」



このふたつは魔導士が魔導士として働くために必要な基本技術だ。



「まず『燃焼』は普段よりも多くの魔力を一気に生成する方法だ」



魔力というものは普通に生活しているだけでもある程度の量が生成されている。


その原料となるのは生命力で、俺たちみたいに魔力量が多い連中は基本的にこの生命力が普通よりも強く、魔力への変換効率が高い。


『燃焼』はその生命力を普段以上に消費して魔力を生成する技術だ。


それによって作られる量は普段の数倍におよぶ。


熟練の魔導士ともなれば十倍以上の魔力を生成することも可能だ。



「次に『停滞』、これは燃焼で生成した魔力を拡散しないようにとどめておく技術だ」



技術的には『燃焼』よりもこちらのほうが難しい。


基本的に拡散していく性質のある魔力をとどめておくのは高い制御力と集中力が必要だ。


とはいえここまではあくまで基本的な技術。


今回のことが無くても次にあの三人とお嬢様に教えるつもりだったものだ。



「まずこの二つの技術を身につけることが前提だ」



難しいのはここから先だ。



「さらにこの二つの作業を連続して行う。

そうやって大量の魔力を生成しとどめておき、その全てを同時に一つの魔法陣に送り込む。

この技術を『収束』という」



この技術についてはその錬度に果てはない。


俺が今同時にとどめておける魔力の数は八つまで。


それ以上の量の魔力をとどめようとすればすぐに魔力が拡散を始めてしまう。



「そ、そんな話は聞いておりませんわよ!?」


「さすがに必要ないと思ったんだろ。こんな高等技術、魔導士でもなければ使う機会なんか無いだろうし」



俺が使えるのも『あの人』の影響だし。



「最終的には全員この『収束』まで使えるようになってもらうことになるだろうけどとりあえずはまずは『燃焼』と『停滞』からだな。

まず『燃焼』のやり方は…………」



その日はとりあえず『燃焼』と『停滞』のやり方を教えて解散した。


教えている間、ハウスウッドのお嬢さんの俺を見る目がとても怖かった。

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