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概念魔法。  作者: 閑話休題
第一幕
5/11

実技Ⅱ。

つーことで、バトル。


うあぁ描写の練習しなきゃ!

「千歳、覚悟っ」


「あおちゃんこそ」



本日午後最後の授業は、実技Ⅱ。内容はよーするに組み手。実技Ⅰだと獲物はなしなんだけど、実技Ⅱは殺傷の低いものだけ認められる。


あたしは、獲物はあってもなくてもいい人。千歳は短刀とナイフで長さを変えて二刀。


なんで、今日のあたしは素手、千歳は警棒っぽいのを片手ずつ構えてる。


「3組どーじ、か」


「飛び道具の心配もなさそうだね」


「あぁ、久米くめりんだけみたい。安心だね」


飛び道具、何が怖いってこれが一番。広い闘技場って言っても、複数組が同時に使うから、他の人が放ったショック弾とかが流れてくるんだもん。下手な人が横にいると、そっちにも意識を割かないといけない。


不意打ち、何度喰らったことか!


と、そろそろ始めかな。


「おらおまえら準備出来たなよし始めんぞォおら始めェ」


いつもどうり、てきとーな倉敷くらしき氏の掛け声で、開始!


「……けっこぉとばしてるじゃん、千歳」


くすくす。


千歳が、たぶん笑った、んだと思う。


「……もー見えなくなってきた」


くすくす。


千歳の輪郭が“にじむ”。そこら辺に居るのは判るし、なんとなくは見える。


けどもうはっきりはわからないや。声も聴こえて来ないしー。


「どーしよっかなー。“蛍燎原”は効かないしー」


新技はとっときたいし。


右手を突き出す。


取り敢えず、


“加速”


口の中で呟いて、イメージ。

からだ中を駆け巡る、漠然とした何かを、


赤く、

熱く、

速く、

赤熱させて。

加速させて。


……大気に滲んだ、千歳らしき輪郭が、曖昧模糊として、でも動いたように見えた。


させない、よっ。


「先制、こーげきっ」


ぶぉおおぁあぁ!


突き出した右手付近の、空気を加速させて、疑似空気砲。空気が赤く色付いちゃうのはご愛嬌。

B級映画の特撮みたいで、恥ずかしい。


千歳が大きく避ける。

あたしは、強化した脚力で一気に距離を詰める。


やっぱ打ち合い、だっ!


体を少し赤く発光させつつ、遠慮なく連打!


「とぅ、はっ、た! はっ! ……っち!」


ぶぉん。


振り抜かれた警棒もどきをかわして、少し間合いを取り。


「上げてく、よっ」


“加熱”


打撃に熱を付加してみたり!


「はあっ!」


ストレート、フェイク、フェイク、


もらった!


踏み込む。

そして、右手を撃ち抜く。


ぼふっ。


布団叩いたみたいな緩い音だけど、これは入った!


千歳の滲み具合が、収束していく。


崩せた。


……と、思ったけど、


「やば! そーきたかっ」


右手が抜けない。


「……不覚っ」


……って言ってみたかったんだ。なーんて。


「……ぐぁっ、だぅ、……痛ぅ」


警棒もどきが振られて。脇腹に二発もらった。



……で、も。


にやりと、笑う。

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