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卯月のメイド神

「痛かったなもう!」


ずっと腕ひねられてました。


「そりゃ神様に力で勝とうだなんて無理ですよ」


如月も言うように、力では勝てない。


「もう嫌だ…。4月の神様呼ぼう…」


「えっ!誠、まだ呼ぶの!?」


「そうですよマコちゃん!1人もまだ召喚解除してないのに止めてくださいよ!」


「止めとけマッコウ!」


くそう…。人を鯨みたいに呼びやがって!


「性格の良い4月の神様!どうか来てください~」


「うわっ!性格の良いとか言い出した!」


「そろそろこの現人神も限界なのでしょう」


「誠!お腹空いた!」


1人関係ないこと言う睦月。


「4月ってことは…琴ちゃん!」弥生が言った。


召喚されたのは相変わらずの少女。


見た目としては女子高生か中学生。


「お、お呼びでございますか?ご主人様!」


「へ?」


その言葉に一瞬たじろぐ。


「何でメイド服…?」


「あ~。琴ちゃんは天界ではメイドやってるの!誠もコキ使ってあげて」


天界にもメイドという仕事があるらしい。

神様が誰かの下について働くとは…。

考えづらい。


「いや、コキ使ってと言われても…」


「はい!私、卯月うづき 琴葉ことははご主人様のためにご奉仕致します!」


「えっと…。まあ…その…」


「遠慮無く、何なりとお申し付けください!」


「…取りあえず、着替えて…。メイド服だと何かこう…扱いに困る…」


「そんな…。そういうことは夜になってからにして下さい!」


「うわっ!違っ!決して脱げという意味では…!」


「それにこれは言わば制服です。白いエプロンはメイドの印なのです。このままではダメですか?」


「…いや、いいよ…?別に…」


「マコちゃん、琴ちゃんには優しいですね。それに妙に積極的…」


「誠!もしかして琴ちゃんのこと気に入った?私じゃだめ?」


「無知め!」


「ちょっ!気に入ったって別に…。普通だよ!マコちゃんって止めて!無知関係ない!」


「気に入っただなんてそんな…困ります…」


顔が赤い卯月。


「え?いや、だから!もう!」


「分かりやすい無知だな」


「だ~か~ら~!私じゃダメ!?」


必死な睦月。


意味が分からない。


「睦月さん…。あの…。わ、私のご主人様を盗らないでください!」


「ちょっ!琴ちゃん!?私は誠のことは人形としか思ってないよ!」


「ちゃんと人として見てください…」


「無知な人形め…!わ、私のことはどう思ってんの!?言いなさいよ!」


弥生まで出てきた。


「…。暴力的な神様だなと…」


「うるさいわね!叩くわよ!?」


「あの~…。私のことはどう…思います?」


今度は如月。


「どう…とは…?」


「あの~…。す、好き…ですか…?」


「いきなり何!?」


「そうですよね…」


落ち込む如月。


「今のは酷いぞ誠!神のわざ…神業を食らえ!」


「最低!」


「ご主人様…!」


ヤバい!何もしてないのに敵が増えた!


「如月御柱キャノン!」


「弥生ワンダフルカウンター!」


「卯月多重メイド白エプロン!」


三人の神業が炸裂する。というか…技名何!?


「あわああああ!現人神バリア!」


とっさに叫んでみた。

俺も一応神だし、何か出ないかと…。


しかし何も起こらない。


睦月の如月御柱キャノンにより発射された如月が俺の腹に直撃。

その後弥生が放った弥生ワンダフルカウンターというカウンターですらない謎の光弾がまたしても腹に直撃。


追い討ちをかけるかのように卯月メイドの卯月多重メイド白エプロン(高速の光弾・エプロンの由来不明)がさらに腹に直撃。


もう泣いてもいいですか…?


「泣くな誠!でも今のは誠が悪いぞ?」


「俺が何をした…?」


「きっちゃんを傷つけた!」


「あんた武器にしてたじゃん!乙女心はわからん…」


「すいませんご主人様!お許しを…」


「謝るなら最初から攻撃しないで…さっきの何…?」


「メイド秘技です!」


「メイドじゃなくても神ならみんな光弾くらい出せるけどな」


弥生が言った。


「何で俺のバリア出なかったの?」


「あなたは神である以前に人ですから!」


いつの間にか復活した如月。


「大丈夫です!ご主人様のご看病は私がやらせて頂きますから!」


「もう変な技使わないでね…」


「はい…。あの…私に罰をお申し付けください…」


「え?いや、もういいよ」


「いいえ。よくありません。ご主人様に攻撃した私に罰を…!裸にでもなんでもなります!」


「いやいやいやいや!えっとじゃあ…一切の攻撃を禁じます!」


「…はい!ご主人様!」


「やっぱ琴ちゃんには優しいな」


「誠!もっと私を見ろ!」


「お二人ともお似合いですわ」


「…もういいよ!」


三人に攻められ弱気になる俺だった。

「取りあえず帰っちゃダメ?」


「私たちを帰す気あります?」


「え~…だって…ねぇ…」


「一週間はいなさい!」


「ちっ!」


「ここにだって水道やトイレはあるんですから!召喚したらちゃんと責任を持ってください!」


「ふあ~…。あ!」


「…なんですか?ご主人様!」


如月に変わって卯月が答える。


「いや、新しく現人神になったんだから、神様には一通り挨拶をしたいなと思って…」


「はい…。良いと思います」


その瞬間睦月が反応した。


「え?全員呼ぶの?嘘でしょ?」


「え?いいじゃん…。人数多い方が楽しいじゃん!」


「じゃあいいか…」


「取りあえず今日は飯食って寝よう…。明日学校だし…」


「ご主人様!それは私にやらせてください!ついでに寝床の用意も私が!」


「え?うん。じゃあお願い…」


「はい!」


「琴ちゃん楽しそうだねぇ」


「琴ちゃんの得意技だからね。お世話は」


「琴ちゃんは偉大ですね」


「天界でもあんな感じなの?」


俺らは雑談中~。


その間も黙々と晩飯の準備をする琴葉神様。


ある意味一番神様っぽくない。


4月は色々人間が忙しいので少しでもお手伝いをと思ってメイドになったらしい。


確かに人間社会では入学やら何やらで環境が変わる月である。


「あっ!あんた次はさっちゃん呼びたいんでしょ?」


弥生が切り出した。


「さっちゃんって誰?」


「皐月の神様。山城さっちゃん」


「まあ、順番的には次は5月…皐月だね」


「あんたには無理だよ?」


「え?何で?」


「今、5月でしょ?」


「うん」


「だから」


「どういうこと?」


「無知ねぇ…。うちらみたいな時期限定の神様は担当の時期だけは位が一つ上がるんだ」


「へぇ。じゃあ俺の現人神の位だと一つ低いから召喚できないと…?」


「そういうこと」


「じゃあ召喚してる最中に月が変わったらどうなるの?」


「その場合は強制的に召喚解除かな。神様ってのは実体が無い方が力を発揮しやすいのよ」


「ふ~ん。じゃあ明日は6月の神様を呼ぼう!」


「さっちゃんは?」


「5月になってから…ね」


「確かにそれがいいわね」


「でもその仕組みって喧嘩にならないの?」


「何で?」


「例えば、1月は31日まであるのに2月は28日までしかないでしょ?如月は1月担当が良かった!とか思わないの?」


「ん~…。思いませんねぇ…。昔からそういうものでしたから」


「でもさぁ、偉くなれる日にちがちょっと短いんだよ?」


「そうですけど…。偉くなったからと言って何か変わるわけでもないですし…」


「そうか~」



雑談してるうちに料理ができたらしい。 キッチンあって良かった~!

家で何かあった時のために住めるような装備にした神社の本殿。


そういえば…あれ?食材は?


「ご主人様~!皆様~!料理ができました~!」


「は~い」


テーブルの上には豪華な料理が並んでる。


「この食材…どこから持ってきたの?」


「神業を使って召喚しました」


「ほえ~…すげー!ん…?」


「どうしました…?」


「睦月!以前俺に食い物持って来いって言ったよな!」


「へ?うん」


「召喚できたんじゃ?」


「できたけど…人前で能力使いたくないから…」


「能力だったのか!」


「まあ…食べちゃいましょ!いただきます」


如月が取り仕切った。


「…ご主人様、お口に合いますでしょうか…?」


「すげー美味いよ!」


「あ、ありがとうございます!」


「そういえばさ、一週間生活したらみんな絶対に召喚解除されるもんなの?」


「へ?もしかしてあんた、私たちを帰す方法知らないで召喚してたの?」


驚く弥生。


「あれ?弥生には説明してなかったっけ?」


「してないよ!」


「実はそうなんだよ~」


「全く…。基本的には一週間常に一緒に生活すれば召喚解除できるんだよ。ただ、絶対ってわけじゃなくて、呼ばれた神様の選択制。帰らなくてもいいの。だから、帰れって命令できるように自分より格上の神様は呼べないようになってるのさ。実体持った神様が好き勝手やったら困るでしょ」


「なる程…」


「一週間生活以外の方法もあるらしいけど私は知らん」


「それって、一週間過ぎたタイミングで帰るか帰らないか決めなきゃいけないの?」


「いや、一週間以上経てばいつでも帰れる。タイミングを逃したら帰れませんとかは無いよ」


「そう…良かった…」


「な~に~?帰って欲しくないの~?」


「そうじゃないけどさ…」


「素直じゃないねぇ」


「う、うるさい」



食事終了。


「片付けが終わりましたらお風呂の準備を致します!」


さすがメイド神。

気が利く。


「何でこの神社にはお風呂まであるんですか?」


如月が聞いた。


「え~…装備は普通の家と一緒だよ。見た目神社だけど奥は家なの」


「何でまた…」


「建てた人が神様がここで生活するんだ!って考え方をしてたので」


「そんなことは無いのにな!」


笑う睦月。




「お風呂の準備ができましたよ!」


卯月が言った。


「…誰が行きます?」


「…睦月から月順でよくないすか?」


「いや、それはいいんだけど…誠は?」


「俺は最後でいいよ?」


「いけません!メイドがご主人様の前にお風呂などと…」


「いや、順番にかんしてはそんな重要じゃないから…」


「そうですか…では一番最後に…」




睦月入浴中~。


「暇だな~…。何かないかな…?」


俺はそう言って立ち上がった。


「あ、何ですか?私がやりますよ!?」


「いやいや、何か遊べるもの無いか探すだけだから」


「そうですか?ついて行きますよ!」


「そ?じゃあ二階に…」



「何か仲良いですよね、あの二人」


「でもうっち(卯月)は誰にでもあんな感じじゃん」


二階。


「あるとしたらこの押入の中なんだけど…」


「どこです?」


「奥の方…うん。もっと奥」


「これは違いますか?」


碁盤。


「これは…ルールがわかんない…」


碁盤を元に戻す卯月。


「じゃあこれはどうでしょう?」


オセロ。


「うん!これでいいや!」


一階に戻る。


すでに睦月は風呂から出ていた。


如月が只今絶賛入浴中。


「ん?何持ってきたの?」


弥生が反応。


「お?それは何だ!?」


続けて睦月が反応。


「ねぇ…神様って普段何して遊ぶの?」


卯月に聞いてみた。


「えっと…。御柱投げとか…ですよ」


「おー!私は御柱投げは得意だ!」


「それはさっき聞いた!」


「それより、これは何?」


弥生はオセロが気になる模様。


「それはオセロというものだ!」


「オセロ?どうやるんだ!?」


「色を挟むの。数が多い方が勝ち」


「…わかった」


「睦月わかったのか!?凄い理解力だな」


「まあ、やればわかるだろ…」


取りあえずボードを広げる。


「じゃあ卯月、来て。こっち座って」


「はい。ご主人様!」


説明しながら一回やって見せる。


説明が終わったタイミングで、如月が風呂から出てきた。


ルール説明がぁ…。


なんでもっと早く出てこなかったんだー!




結局オセロはやらずに弥生の次に俺も入浴。


「私の~ペットボトルの蓋~どうか~あなたに~首から下げていて欲しい~ああ~真珠にも負けない~蓋~…」


意味も無く歌ってみる。


そのとき…。


「ご主人様、失礼します」


ガラガラガラッ!


ちょっ!扉開いた…?


「ご主人様、お背中を流して差し上げます」


「えっ?ちょっ!いいよ!大丈夫!」


「でも…」


「だ、大丈夫だから!ホント!」


「はい…」


がっかりしながら出て行った卯月。


「ビックリした~…。何!?なんで風呂に?」



本当の試練は風呂を出た後だった。


「誠!きっちゃんの次は琴ちゃん泣かせたな!」


睦月が叫んだ。


「え?いや、違っ…!」


「じゃあなんであんなに落ち込んでんだ!」


「はい?知ら…ちょっと待って!」


臨戦態勢の三人(卯月以外の神様たち)。


「睦月アカウンタブルフォース!」


「如月天空透破抜き!」


桜下封印おうかふういん!」


再び三人の技が放たれた。


「出やがれ!現人神ミラー!」


しかし何も起こらない。


「ぐあああ…うう…」


俺は倒れた。


まず初弾の睦月が放った「睦月アカウンタブルフォース」。

でっかい鏡餅が出現し俺の臑に直撃。


次弾の如月が放った「如月天空透破抜き」。光る剣を持った如月本人が突っ込んできて一閃。その剣が臑に直撃。何故か切れずに重たいダメージ。


最後の弥生が放った「桜下封印」。人の形をした光のようなものが飛んできた。精神的に大ダメージ。



「…。神業は…ズルいよ…。そしてあのネーミングセンス…」


「なかなかかっこよかっただろ?」


「あの技は何!?」


「私の睦月アカウンタブルフォースはだな、1月をイメージしてんだ!」


「鏡餅ですね…」


「私の如月天空透破抜きは雪だるまを横に切るイメージなんです。私の力ではあの切れ味が限界ですが…」


「切れ味悪すぎ!切れてないし…」


「私の桜の木の下の封印死体はね~」


「あれ何!?凄い怖かったよ!」


「春と言えば桜!桜と言えば木の下に死体が埋まってるでしょ!」


「いや、3月じゃ桜咲いてないし…。死体が埋まってるって…都市伝説だし…」


全員の攻撃をまともに食らったところで卯月が喋った。


「皆様…ご主人様を…攻撃しないで…ください…」


遅い!もっと早く言って欲しかった…。


もう臑痛い!歩けない!


「…ご主人様、寝る準備をして…参ります…。あの…」


「何…?」


「すいませんでした…。私はただ、ご主人様のお手伝いを…」


「…ほら、もういいから。布団頼むな!」


「はい!」


「やっぱ琴ちゃんにだけ優しい…」


「間違いないですわね」


「誠!私にも優しくしろ!」


「もう!うるさいよ!?」




「お布団の準備が整いましたよ!」


呼ばれたので行ってみる。


そこにあったのは一部屋に5枚の布団が敷かれている光景。


「え?俺もここ?」


「はい…。ご主人様にはこの真ん中で寝て頂こうかと…」


「(嫌とか言ったらまた落ち込むかな…)わかった。いいよ」


「わかりました。嫌なら隣の部屋に敷こうと思ったんですが…。ご主人様がいいのであれば!」


やってしまった!せっかく一人になれるチャンスだったのに!


睦月たちもやって来た。


「え?誠も一緒に寝るの?」


「はい。ご主人様がそのほうが良いと言うので」


「誠!何考えてるの?」


「ちょっ!何も考えてないよ!」


「どうせ夜中に一人で起きて悪戯するきなんでしょ?」


「しないよ…」


「じゃあ私がしてやる!」


「え?」


「おでこに肉って書いてやる!」


「学校なので止めてください」


「え?明日学校行くの?」


弥生が驚く。


「行くよ!当たり前でしょ!」


「じゃあ一週間常に…って無理じゃん」


「あっ…」


「御守りを持ち歩けばいいんじゃないですか?」


如月が言った。


「御守り?そんなんでいいの?」


「あれは言わば私たちの分身です。常に持ってれば大丈夫かと」


「じゃあそれ持ってるから家に帰っちゃだめ?」


「ダメです!」


「ダメですか~…」



こうしてみんな眠りに着いた。


暦通信~えくすとら・すて~じ~


卯月 琴葉

ウヅキ コトハ


メイド。

気が利く。

誰にでも優しいが、人を起こす時がやたら乱暴。

メイド服がポイント。白いエプロンは脱げません!

ご主人様は何よりも大事!

家事は何でもこなす万能メイド。


卯月の言われ~


卯の花月の略。

卯の花(空木の花)が咲くのが旧暦で卯月でした。



う:ソラキって何ですか?


ま:ソラキ…?ああ、空木って書いてウツギって読むの。ユキノシタ科の植物だよ。


う:そうですか…。私の名字、略されてたんですね…。


ま:俺も知らなかった!


う:暦の神社を司るご主人様は知っていてください。


ま:はい…。

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