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師走のひだまり

水無月が帰った翌日。


「活神・朱雀斬!」


振り下ろされる剣。


狙いは寝ている誠。



そして…。


「うぐぅっ!?」


命中。


「起きて下さいね!」


笑顔の卯月が立っていた。


手には剣。



「…それは…?」


「水無子さんの剣です。私も使ってみました」


依然笑顔の卯月。


斬れないが、やっぱり痛い。


「この剣、何か違和感があります。こう…体が熱くなるというか…」


「へぇ~…。戻しといてね」


「はい。ご主人様、今日は学校は…?」


「今日まで休み」



居間に降りると玄関から睦月が入ってきた。


何やら全身ビショビショ。


「誠~。水やってきた~」


外を見てみる。


結構雨が降っている。


「雨の中行ったの…?」


「おう!誠が水やれというからな!」


言い忘れてた…。

というか…。


雨の中水撒くか普通!?


「雨の日はいいんだよ撒かなくて…。ローズマリーは乾燥気味な方がいいんだし…」


「早く言って欲しかったな…」


「いや…。うん。ごめん」


俺が悪いのか?

そうなのか?


誤りながら疑問に思った。


「というか、乾燥してるのがいいなら水いらないんじゃ?」


睦月が言った。


「いや、一歩間違えるとサボテンすら育たない環境に成りかねないから…」


「外でそれはないだろ~」


「でも水は必要だから!毎朝少しあげてくれ」


おう!と返事をして居間のソファーに座る睦月。


「服脱いでよ!濡れてるでしょ!?」


濡れたままソファーに座られると困る。


「脱げって誠~…。そーゆーことは夜にだな~。朝っぱらは恥ずかしいだろ!」


「そうじゃないよ!ビショビショだとこっちが困るんだよ!」


「大丈夫だ。私の服は濡れても透けないから!色的に!」


「そうじゃなくて!ソファーが濡れちゃうから!」


「なんだ…。早く言えよ誠~」


洗面所に行った睦月。


とんでもない勘違いである。



第一こんなみんないる前で脱げって言わない。


いや、みんないなければ言うというわけではない。

勘違いしないでほしい(星野誠からのお願い)




「そういえば、水無子帰ったんだっけ。何か言ってた?」


弥生が聞いた。


脳裏によぎるのは「大好きです…(以下略)」のあの場面ばかり。


「ご主人様!」


卯月に叩かれた。


頭の上に?が浮かぶ弥生。


「琴ちゃん、どうしたの?」


弥生がきいた。


「何でも…何でもありません!朝食持ってきます!」


早足でキッチンに行く卯月。


「マッコウまた琴ちゃん怒らせたでしょ!」


弥生が言ったが、俺の所為ではない。


はず…。


「一体何したんですか?」


如月がきいた。


「何も…して…ないよ…」


如月の目を見て答えられない。


してない!

されただけ!


「何もしてないで琴ちゃんあんなに怒るかね~?あれはかなり怒ってるよ~」


神無月が言った。


「いや、あの…。それは~…」


「琴ちゃんの前で誰かとキスでもした?」


霜月が言った。


こいつ…まさか昨日起きてた?

異常に勘がいいのか?


「ぐぎっ!?い、いい、いや…そ、そんなこと…」


思いっきり動揺してしまう。


「だよね~。霜~、こいつがそんなことできるわけないじゃん!」


文月の発言で難を逃れた。

腹立つけど…。


その時ついにあいつが喋った。


「……した…」


葉月め…。今まで黙ってたくせに!


「したって何を!?まさか…。お兄ちゃん!?」


長月が反応。


「違っ!あれは…水無月の方から…」


「ついに喋ったね!マッコウ!」


弥生が言った。


やべ…。


「お兄ちゃん…。覚悟はいい…?」


指をポキポキ鳴らす長月。


この娘怖い!


とりあえず逃げるべし!


俺はとっさに走って御神体の前に行き水無月の盾を持った。


「逃がすか!五人囃子の笛!」


弥生の神業。

五本の笛が飛んでくる。

因みに縦笛。


女子のなら貰おう!とかは考えていない。



「十五夜の満月!」


長月の神業。

ドデカい光の弾のようなものを飛ばす。

当たるまで追いかける。



この二つを避けるには…?


というか長月のはよけらんないし…。


使ってみよう!


「水無月の盾!」


盾を構えた。


片手で持てる大きさ、重さ。


いや、それだと小さすぎるんだけど!?


一か八かだ!


いけ!水無月の盾!


俺は目を瞑っていた。


しかし、何も起きなかった。


「え?何?」


「お兄ちゃん何したの?」


困惑する弥生と長月。


「今、盾が…私の技を…」


「私のも吸い込んだよ!」



二人曰わく、水無月の盾が神業を吸収したらしい。


盾が重くなった気がする。


もう一度盾を構えてみた。


すると…。


「きゃー!マッコウ!ちょっと!何すんのよ!?」


「あー!お兄ちゃんごめんなさい~!止めてー!」



神様二人を懲らしめることができる程の光線が出た。


「この盾…あぶねぇな…」


俺が呟いた。


「……剣は…?」


葉月が言った。

剣の方も何か仕掛けがあるに違いないと思ったのだろう。


剣も見てみた。


「睦月~!ちょっと神業放ってみて!」


「お?誠…。ついに自らダメージを求めるようになったのか…」


「今までの話聞いてた?神業を斬れるか試すの!」


「おー!何でもいいのか?」


「何でもいいよ。斬りやすいなら」


わかったと言って構える睦月。


「じゃあ…如月御柱キ」


「それだめ!」


如月をぶん投げる睦月の技。


如月斬るわけにはいかないので却下。


「じゃあ…!スノーマン・ギャラクシア!」


誠目掛けて飛んでくるいくつもの雪だるま。


「てぇい!」


斬ってみた。


雪だるまは見事に真っ二つ。


「誠…剣使えるんだな!」


睦月が言った。


剣など持ったことないのに綺麗に斬れた。


「この剣なんか違和感があるんだよね。体が熱く感じるし。もしかしたらオートで振る角度とか修正してくれるのかもね」


「その剣、さっきより光ってない?」


弥生が言った。


確かに光り方が違う。


剣の刃を触ってみた。


「痛っ!これ…斬れたんだけど…」


指の先が切れた。

すかさず弥生に治してもらう。


斬れないんじゃなかったの…?



卯月が朝食を持って戻ってきた。


「卯月~。今朝この剣斬れなかったよね?」


今朝はこれで起こされた。


「はい。今は斬れるんですか?」


「うん…」


「どうやら、神業斬ると切れ味がよくなるみたいですね」


如月が結論を言った。


流石神様の剣。


神様同士の戦いに強くできている。




卯月が持ってきた朝食をみんなで食べる。


「はぁ~。今日は雨だからバドミントンできないな~…」


残念そうな睦月。


あんたさっき雨の中花に水あげたくせに!


「雨だと退屈ですよね~。いっそのこと境内に屋根つけちゃいます?」


恐ろしい提案をする如月。


そんなことされたらお賽銭が…。


「じゃあさ、神生じんせいゲームでも出せば?みんなで出来るし時間潰せるし」


文月の提案。


「珍しく賢いこと言うね~文子!」


神無月が言った。


「珍しくってどういう意味よ!?」


確かに珍しい…。


妙に納得した俺がいた。




食後。


卯月の食器洗いが終わるのを待って神生ゲームスタート。



因みにこれは霜月が出した。


いくらするの…?



神生ゲームはスゴロクのようなもの。


サイコロを振って出た数進む。


最後に「神力」を多く持っていたプレイヤーの勝利となる。


神力は止まったマスによって増減する。


ゲーム開始時は10神力。


サイコロを振る順番は睦月から司る暦順。


俺は最後。



「私からいくぞ!それっ!」


睦月が振ったサイコロが出したのは3。


「蚊に刺されやる気をなくす。2神力減少」


マスに書かれている文を読み上げた睦月。


とても残念そう。


「次は私です!よっ!」


出たのは5。


「アメリカシロヒトリが大量発生したとテレビでみる。現地のことを思い優越感に浸る。2神力増加」


何やら最低な神力の増加をした如月。


「アメリカシロヒトリってなんですか…?」


やはり気になるのはそこ。


「……ガ…」


葉月が答えた。


ガ以上の詳細は不明なまま次へ。


「私だ!そら!」


弥生のターン。


出た目は2。


「えっと…。現人神に叱られる。一回休み…」


嫌そうな顔の弥生。


「…何でこんなスタートの目の前に一回休みがあるのよ…」


弥生、致命的な一回休み。


「私です!えい!」


卯月がサイコロを振った。


「6です!現人神と喧嘩して見事勝利。現人神に神業をお見舞いしたあと5神力増加ですって!」


不愉快なマス。

は?カミワザ…?


「いきますよご主人様!ムーンライトシャトレ!」


頭上から小さな城の模型を落とす技。


特に痛くはない。


「これで私は15神力です!」


最もリードした卯月。


巻き返してやるぜ!



続いて文月。


「よっ!…1…」


「わー1なんて出してやんの~!だせー!振り出しに戻してやる!ざまぁ!ついでに10神力没収!ばーかばーか」


なんというマスだ…。

1は出さないようにしよう…。


落ち込む文月。


何だろう。初めて可哀想に見える。



次は葉月。


「……4…」


文を読み上げる。


「現人神に惚れる。『肉球プニプニ現人神様~!にゃーん!』と現人神の耳元で三回可愛く呟く。その後1神力増加」


…。


「……やんなきゃだめ…?」


全力で拒否したがる葉月。


「だめ~!指示は絶対なの!」


ニヤニヤしながら弥生が言った。


葉月が俺の横に来た。


「に、肉球プニプニ現人神様~!にゃーん!肉球プニプニ現人神様~!にゃーん!肉球プニプニ現人神様~!にゃーん!」


早足で戻る葉月。

顔は真っ赤。


聞いてるこっちが恥ずかしくなった。


「良かったじゃん!1神力獲得!」


弥生が言った。


笑いをこらえているのが分かる。


「……1…」


明らかに割にあっていない…。


そして気になることが…。


「何でさっきからやたら現人神関係が多いんだよ!?」


「これは召喚された神が現人神と交流を深めるためのものなんです」


如月が言った。


普通の人間が神業喰らったりしたら間違いなく交流を絶つと思うのだが…。



「次はあたし!いくよ!」


長月が出したのは5。如月と同じ。


「アメリカシロヒトリ!やった!」


決してガに喜んだわけではなく神力増加に喜んだのだ。


しかし増えた理由が性格の悪さがにじみ出ている。



次は神無月。


「出よ!6!」


しかし出たのは3。


「蚊に刺されって…。あたいはそんなことじゃやる気失わない!」


しかし神力は減少。


ゲームに本人の意思は関係ない。



「霜月行きます!そりゃえい!」


6。


6は確か…。


「喰らえ!黄泉八百万よみやおよろずかい!」


相手に幻聴を聞かせる恐ろしい技。


(這いつくばれ~這いつくばれ~!腹を見せて服従しろ~!)


非常に不愉快な幻聴が聞こえた。


「これで私も一位タイ~」


嬉しそうな霜月。



やっと俺のターン。


気になることが出てきた。


「俺が6出したらどうなるの?」


当然神業など使えない。


「ん~…。適当に技名付けて自分殴って」


弥生が言った。


「はっ?ちょっ!」


「じゃあ出さなきゃいいのよ!!」


ああそうか。

なら簡単だな…っておい!

(下手なノリ突っ込み)


「いざ!サイコロ!」


出たのは…


「1……」


それが意味するものは…。


「わー1なんて出してやんの~!だせー!振り出しに戻してやる!ざまぁ!ついでに10神力没収!ばーかばーか」


…カチンッ。


「わっ!ご主人様!フィールドひっくり返しちゃダメです!」


ボードをひっくり返そうとする俺を慌てて止める卯月。


「なんだこのマスはー!」


俺発狂。


「そうよ!何で私だけ神力全部失って振り出しなのよ!?」


文月も叫んだ。


はっ?私だけ?


「俺もだよ!私だけって何だよ!」


「うるさいわね!現人神はアウト・オブ・眼中よ!」


決めた。

こいつを最初に倒そう。


見た感じ、「誰かから100神力奪い取りさらに一回休みにする」なんてマスもあるし。





ゲーム中盤。


ゲームが進むに連れて神力の増減も激しくなる。


現在トップは卯月の271神力。


ビリは俺の81神力。


睦月の番。

只今125神力。


サイコロを振り出たのは2。


「お…?三竦みに陥る。両隣の人と一緒に一回休み…」


両隣…。


如月と俺、一回休み。


しかし、何をすれば三竦みに…?



如月飛ばして弥生。


現在202神力。


「私は4がいい!4!」


出たのは5。

残念。


因みに4なら他のプレイヤーに攻撃できた。


「五月雨を 集めて速し 最上川。30神力増加」


えー!?


何!?俳句何?


「まぁいいか!琴ちゃん!絶対負けないからね!」


嬉しそうな弥生。


「私は負けませんよ!」


強気の卯月。



卯月のターン。


出た目は2。


「子供が叩いて来たことにカッとなり劣化ウラン弾を投げつけた。40神力減少」


何やら物騒な文章。

というか酷すぎる文章…。


「劣化ウラン弾て何ですか…?」


卯月が聞いた。


「……武器…」


相変わらず味がない程さっぱりした答えを返す葉月。



続いて文月。


「サイコロコロコロ~。私の~お婿様~!」


変な歌をうたいながらサイコロを振る文月。


出たのは3。


「あなたが少女ならば50神力増加。あなたが幼女ならば100神力増加。あなたがおばさんならば30神力増加。あなたが老婆ならば10神力増加。あなたが男性なら全神力没収。振り出しへ帰れ」


何だこのマス!?

男性は帰れ!?俺だけ帰らされる…。

というかこの手のゲームで命令型なの初めて見た…。


何故幼い程得点が高いんだ…?


「ん~…。私は…幼…」

「待て待て待て!」


文月を止めた。


「何よ!?文句あるわけ?」


文句しか無い。


「おかしいだろ?あんたはせめて少女だろ。いや、実年齢は老…」

「にゃー!」


「!??」


突然のにゃーに驚いて言葉が出なくなった。


結局100神力持って行きやがった…。



葉月のターン。

今190神力。


「……7…」


そうか7か。

7…?


「7っておかしいだろ!サイコロで!」


すかさず指摘。


「……ちっ…3だよ…」


何故すぐバレる嘘ついた?


「……現人神と馬が合わず八つ当たりで瓦割をしたら手が痛かった。20神力減少…」


すごいこっちを睨んでくる葉月。


いや、俺関係ないし!



神無月のターン。


「ほれっ!」


出たのは1。


「神力増強カードを一枚引く。その後現人神に神業をかまして5神力増加」


うわっ…。

最悪だよ…。


「神業・諸行無常の響!」


耳元で鐘の音がする。

うるさい。


そして5神力増加。



次は霜月。

現在145神力。


「6!」


6という目に嬉しそうな霜月。


しかし止まったマスは…。


「ウサギのコスプレをする。耳とピンクの洋服は必須。ゲーム中は常に~ウサと語尾に付ける。可愛いから。お着替えはみんなの前で!」


コスプレ?

そんなのもあるの?


というか最後余計。


「段々制作者の趣味が入ってきましたね…」


誰しもが思ったことを口にする如月。


そう言ってる間に衣装を召喚し、着替えようとする霜月。


「わーっ!ちょっと待って!ここで?」


慌てて止める。


「だって…指令がここでと…ウサ」


霜月が言った。

指令は絶対らしい。


仕方ない。


伏せておこう。

着替えシーンを見る訳にはいかない!



「お~!なかなか可愛いな!」


伏せてるので見えないが睦月の声。


「あっ…見ないで…ウサ」


霜月の声。ウサウサ言ってるし。


「あんまり大きくないね」


文月が言っている。


「いいじゃん!小さめでも!ウサ」


何の話…?

伏せてるとわからん…。



「もっと大きくしたら~?」


今のは神無月の声かな。


「あっ!あんまり触らないでよ。ウサ」


「いいじゃん!私にも本物あるんだから!」


文月の声。

本物…?


「本物って…私の偽物みたいに言わないでよ~ウサ」


「偽物じゃん!」

「確かに無いけど…ウサ」


見えないと会話が気になる。



「これどうする?」


弥生の声。


「あっ!持ってかないで!ウサ」


「えいっ!」


何かが頭の上に…。


顔を上げて見てみる。


霜月の白ワンピース。


無意識に霜月を見た。


「あっ…!」


すぐに伏せ直した。

何でまだ衣装着てないんだよ…!


「ご主人様!」


卯月に見られた…。

遅かったか…。


「ちょっと隣の部屋に来てくださいませ」


呼び出し喰らった。


隣の部屋。


「どうしてこうご主人様は!」


「ごめん…あの…ワザとじゃな痛いっ!抓らないで!」


「年頃なのは分かりますが一緒に生活している人に対して発情しないでくださいよ!」


「痛い痛い!ぎゃー!ごめんなさい~!発情…してない…動物じゃないし…ちょっ!耳引っ張らないで!」



5分後…。


部屋に戻ると霜月がコスプレしていた。


「ん…?耳小さくない?」


明らかにウサミミが小さい。


「ほら!私と文子が言った通りじゃん!」


弥生が言った。


さっきの小さいだの偽物だのはウサミミの話だったのね…。

文月には本物のネコミミ付いてるし…。


変なこと考えた自分いなくなればいいのに…。



神生ゲームに戻る。


俺は睦月の三竦みのせいで休み。


睦月も休み。



如月の番。

1ですと言って駒を動かす。

「神力増強カードを一枚引く。そしてヤッホーと叫ぶ」


後半は謎…。


「さっきも出たけど神力増強カードって?」


質問してみた。


「今は役に立たないがゴールしたらカードに書いてある数字だけ神力にプラスされるんだ!」


睦月が説明してくれた。


「や、ヤッホー…!」


叫んだ如月。


ナイスファイト。




そしてそのままゲームは進み…。


俺の番。


「ムカつくやつをぶっ飛ばせ!誰か一人から700神力貰い、一回休みにする。この際だからついでに一発芸もしてもらおう!」


キタコレ!


これで文月に仕返しができる!


文月は今521神力。


指定すればマイナスにできる。


そして一発芸もやらせられる!


「ご主人様、誰を選びますか?」


少し心配そうな卯月。


「俺が選ぶのは…文月だ!」


指差しながら言った。


「ちょっと!?何で私?琴ちゃんはもう1000超えてるのよ!」


抗議する文月。


「いや、ムカつくから」


「何よもー!」


「一発芸は…そうだな~。桜エビのモノマネやって!」


自分で言っててわかる無理難題。


「桜エビって…あやつら動物よ?難しいわよ!」


桜エビは知ってるらしい。


「ほらっ!指令は絶対!」


「わかったわよ…。」


そう言うと、腰を素早く後ろに引いて、「つ」の字になった。


あはははは!

一同爆笑。


「似てる!似てる!」


仕切りに叫ぶ睦月。


俺は重大なミスを犯した。

エビって…みんなそれじゃん…。


きっとザリガニもそれやるぜ…。


まあいいか。


この700点で神力的にはトップに立った。




ゲーム終盤。


卯月、如月、葉月がすでにゴールしている。


睦月の番。


「4だ!ゴールだ!」


睦月ゴール。



次に弥生。


5以上でゴール。


「わっ!1だ…」


5以上はなかなか出ないがこのタイミングで1もなかなか出ないもの。


「え~…。水着でプレイ。私は白のスク水が好きだー!だと…」


ゴール直前でこれはねぇよ!

しかも白のスク水は珍しくないか?



隣の部屋で着替えてくる弥生。


弥生が着替えてる間に文月のターン。


「6!えっと。サランラップをオブラートと間違って食べた。20神力減少…」


マイナスが止まらない文月。


こいつには負ける気がしない。



長月のターン。


「3!いちにーさん!現人神に好きだと告白される。現人神に好きですと言わせたあと5マス進み250神力増加だって!お兄ちゃん!ほら!」


長月が読み上げた。

また俺に被害が…。


というか、5マス進むとゴールに入るんだが…。


「ほら!お兄ちゃん!ね!?」


やたら急かしてくる長月。

告白なんてしたこと無いし、やたら緊張する。


「す…」

ガチャン!


「好きです」

ガチャン?何の音…?



扉の方を見ると白スク水姿の弥生が立っていた。


フリーズする弥生。


「え…あんた…好きなの…琴ちゃんじゃなかったの…?それは…歳の差というか…見た目の差が…」


今までの流れを知らない弥生。


完全に俺を変態と勘違いしている…。


「いや、違っ!このマス読んでみろ!」


長月の駒が止まったマスを指す俺。


「なになに?現人神に告白する。現人神に向かって好きですと言って250神力増加…ってやつ?」


何か違う!


「何言ってんだよ!?ここに現人神に向かって言うって書いてあ…ん?あれ?」


あれ?告白する人物が違う…。


「うん。だからそう言ってんじゃん!」


あれ…?ってことは…。


「長月ぃ!適当なこと言ったろ!」


「うわー!弥生お姉ちゃん!言わないでよ!」


そう言われても事情を知らない弥生。


これからは読まれたマスを確認しよう。


「そんなことより私の水着姿はどう?」


どうと言われても…。

もとが小学生みたいな体だし…。


「白のスクール水着って珍しいよね!」


とりあえず言っておいた。


「水着の感想かよ!」


文句言われた。


似合ってる!という睦月の声に嬉しそうな弥生。


嬉しいのか?



何がともあれ長月ゴール。


残ってるのは俺と弥生と文月と神無月と霜月。



続いて神無月の番。


「2!ゴール!」


神無月もゴール。


次は霜月。


「私の番!ウサ!4ウサ」


ウサウサうるさい霜月。


「神様なんていない!と言い張る受験に落ちた人に向かって神業を放ち神の威厳を示す。30神力増加ウサ!」


可哀想な人…。

落ちた上に神業とは…。


「私達が実際に人間の前で神業使ったら殺されますよね~」


如月が言った。


「でも確かにこういう人間にはかましたくなるけどな!」


睦月も怒りを覚えるらしい。


神様も大変だ。



次は俺。


「ほいっ。5だと。友達がいない現人神を惨めに思い、神様をもう一人召喚させる。現人神は神を召喚したあと100神力増加。できない場合は切腹または振り出しに戻る」


切腹…?


いや、それよりも…。


「マッコウ~。神召喚しろだとよ~。それとも腹切る?」


何やら嬉しそうに声をかけてくる弥生。


「切るか!師走~!出て来いよ~!」


「うわっ!適当!」


神無月が突っ込んだ。



師走の神召喚。


金髪の長い神。

紅白の巫女服。

高い身長。


金髪と巫女服の組み合わせには違和感が…。


「私は日溜ひだまり 師走しわすといいますの。12月と無病息災を司る神ですわ」


「…巫女?」


服が気になる…。

月野神社に巫女などいない。

だからこそ気になるのである。


「巫女は神に仕える人間ですわね?私はただ着たくて着てるだけですわよ!私はコスプレイヤーですのよ!」


楽しそうな師走。


「ところで、私の神生ゲームの駒はどれですの?」


神生ゲームやってたんだった…。


神生ゲームのマスの指令として呼ばれた師走。

駒などあるわけない。


「なぜですの!?なぜ私の駒だけありませんの?」


自分の駒だけ無いのが気に食わない様子。


「そりゃ…ゲームの途中で呼んだからな…」


「始める前に呼ぶのが普通ですわ!」


「日溜~、私達はもう終わってるからもう少し待ってな~」


睦月が言った。


「…なら仕方ないですわね。まぁ、すぐ終わるのであれば待ちましょう」



次は弥生のターン。


「はーっ!6!6!ゴール!」


とても嬉しそうな弥生。


これで残りは俺と文月と霜月になった。



文月のターン。


「4!」


ゴールの2マス手前。


「亀に乗って竜宮城へ。食べ過ぎた…。腹痛い…。今度桃太郎に乙姫を退治してもら腹が…。貴様!振り出しか一回休みか選びやがれ!ぎゃー!早くトイレ出ろ!ま、間に合わな……」


何だこのマス…。

今までで一番酷い。


「…一回休みでいいや…」


一回休みを選択した文月。

ゴール手前でこれは痛い。

というか、振り出し選択する人いる?



霜月の番。


「4ウサ!やった!ゴールウサ!」


霜月ゴール。


俺と文月の一騎打ち。


俺のターン!


ゴールまで後5マス。

「ほりゃ!って2かよ!」


ゴールできず…。


「宝くじの一等が当たる。発狂するも冷静を装い現金ゲット。1000神力増加」


今までで最高の増加。


「やべぇ、誠が強い!」


睦月が焦る。


「大丈夫ですよ。私達は先抜けボーナスが出ます。それを含めれば…あれ?ちょっと足りませんね…」


卯月もちょっと焦る。


卯月、一回休み。

また俺。


「ゴール!それ!1ってどういうこと?」


ゴールが遠い…。


「自己紹介で好きな飲み物をわさび醤油とポン酢と言い人気者に!150神力増加」


これで現在4580神力。


2位の卯月でも先抜けボーナス含め3920神力。


勝った!


次文月。


「4!ゴール!」


文月に順位的に負けた。


しかし、早く抜ければ勝ちというわけじゃないのがこの神生ゲーム!


全ては神力だ!


「まあ、もうゴールするし!ほれ!」


サイコロを振って出たのは…。


「1かよ…」


ゴールの目の前のマスでストップ。


「はっ!ざまぁ!ゴールできないでやんの!神力など没収だ!代わりに持ってた神力と同じだけ借金しやがれ!バーカ!バーカ!神生そんなに甘くないぜ!」


月野誠。-4580神力。


もう何が出てもゴールしかない。


そして…。


「6…。ゴール…」


ビリのため先抜けボーナス無し。


月野誠、惨敗。


爆笑する神様達。


「マコちゃん…。あははは!最下位ですね!」


嬉しそうな如月。


「私、初めてこんな転落神生見ましたわ!」


師走が言った。


「私ビリじゃなくて良かったわ!」


最下位を免れた文月が言った。


「お兄ちゃん!ほら!元気出して!」


長月の慰めが逆に心に刺さる。


「あたいじゃなくて良かったわ~」


神無月が言った。

完全に他人ごとである。


「マッコウ…ださっ!」


容赦ない弥生。


そして…。


俺の肩に手を置き、卯月が言った。


「ご主人様、私の勝ちです!」


「うるさい!うるさい!最後の何だし!最後の!」


最後が納得いかない。


「どこのメーカーだ?何なに?MONDAI…?こんなの作る方が問題だわ!」



「…ご主人様、時の運とは…非情な物でございますね…」


卯月のこの言葉でまたみんな笑いだした。


「私も入りたいのでもう一度やりましょう!」


「やらねーよ!」


師走の申し出を即効で却下した俺だった。



「昼食を作ってきます」


卯月が台所へ行った。



「ま~こ~と~。二階見てきていいか?」


睦月が聞いた。


「いいけど…。何か探すの?」


「おう!暇だからな!室内で出来るものを!」


依然雨が振っている。


確かに退屈だ。

神生ゲームはやりたくないし…。


睦月が二階に行ってから5分後…。


こんなのあった、と言って何かの冊子を持ってきた。


中を開いてみた。

文集のようだ。


そして、あるページ…。


「つき野まこと」という文字と恐らく自分で描いたと思われる似顔絵が書いてあった。


「うあっ!あー!見るな!」


俺がそう叫んだときにはすでに睦月が文集を持っていた。


「誠~…何で『野』が書けて『月』が書けないんだよ~?」


睦月が聞いてきた。


「知らないよ!俺だって覚えてないんだし!いつの?」


本当に覚えてない。


「4年4組つき野まこと、って書いてある。それよりこの似顔絵…」


睦月が似顔絵を指摘したくなるのは当たり前だ。


輪郭は歪んでいる。

目は死んでいる。

小4としては致命的な画力。


御神体の「校長」と同等かそれ以下である。


「うるさいな!絵は苦手なんだよ!」


必死の言い訳。


「じゃあ誠がなりたかった職業は?」


突然聞かれた。


「そりゃ当然神社の神主だろ!」


神社の息子として、当然!


「ぶぶー!消防隊員だって~!」


「当時の俺ー!」


「じゃあ、好きな授業は何だと思いますの?」


横から冊子を覗いていた師走が聞いた。


「えっと…理科…かな?」


「違いますの!えっと…総合的な学習の時間、ですのよ!」


中学に入った俺にはその発想は無かった。


「まあ、勉強しない時間だったからね…」


多分これが理由。


「じゃあ、マッコウが一番頑張った教科は?」


今度は弥生が聞いてきた。


「算数!であって欲しい!」


「道徳!」


「俺って…」



「じゃあこれで最後!マコちゃんが好きだった人は誰ですか?」


如月が聞いてきた。


「はい?そんなこと書いてないだろ?」


そんなデリケートな質問…。


「書いてありますよ?分からないんですか?」


「えっと…当時は…同じクラスの…片桐かたぎり 智絵ちえかな…?」


「えっ?僕の味方全員って書いてありますけど…。誰ですかそれ?」


やらかした!

すげー恥ずかしいこと言ったよ俺…。


というか当時の俺の回答も回答だけど…。

味方って…。

敵誰?


「片桐って誰ですか?」


しつこい如月。


「片桐ってのは前にこの神社の近所に住んでた友達だよ。毎日のように神社で一緒に遊んでさ…」


「今は住んで無いんですか?」


「…うん。父親の仕事がどうとかで引っ越した。ま、もう二度と会うことも無いんだろうけどな」


「どこに引っ越したんですか?」


「ん~…。忘れたな」


昔あんなに遊んだのに覚えてない。


今では年賀状だけの仲である。


年賀状の住所に何て書いたっけ…。


確か…県名は書いて無かった気がする。




「お昼ご飯ですよー!」


卯月が昼飯を持ってきた。


食べながら何となく気になった。


「水無月何してるかね~?」


「水無子?何にもしてないんじゃん?」


弥生が言った。


「へ?神様って天界で何やるの?」


「あたいらはこの地域周辺を天から見てるだけ。たまに悪い人間にバチ当てたり願い叶えたりするけどな」


神無月が答えた。


一応神様っぽいことはやるらしい。




昼飯後はまた退屈な時間。


雨だと暇で仕方がない。


退屈…。

ついうとうとしてしまい…。


気がついたらソファーで寝ていた。


布団がかかっている。


卯月がかけてくれたのだろう。


目を覚ますと何やら会話が聞こえてきた。

取り敢えず布団被りながら聞いてみる。


「ああ!そこはダメです!」


如月の声がする。


「ダメとか無い!ほらっ!」


弥生の声。


「ああ!そんなにいっぱい…。白くなっちゃいました…」


「きっちゃんは鈍感ね。もっと敏感にならなきゃ!相手の弱いとこ突けるように!」


神無月が言った。


「はい…。でも私、弱くて…」


如月は弱いらしい。


何が…?


「誠叩き起こして練習すれば?」


睦月の声。


叩き起こされる…!


前人未到踵落ぜんじんみとうかかとおとし!」


睦月の一回転しながらの踵落としが腹に直撃。


呼吸が…。



「誠~。きっちゃんが日溜並みにオセロ弱いから教えてあげて~!」


睦月が言った。


「ちょっと!私は弱くなくてよ!」


反論する師走。


「え~…眠い…」


「もう十分寝ただろ!教えてあげて!」


時計を見ると既に5時。


寝過ぎた…。


「で、如月が弱いと…」


「はい…」


如月が返事した。


「オセロってのは回りを取った方が有利なんだよ。回りを取るための四つ角なんだし」


「分かりました。回りですね」


「うん。あとは…相手の手を先読みすることだな。敏感に反応して弱点を突く!で、あとは反撃させないように守りを固める。目の前に大量に取れる場所があっても回りを取ることを優先せよ!」


「さっきあたいが言った通りじゃん!」


嬉しそうな神無月。


そして如月対霜月。

如月は回りから攻めて行く戦法。


霜月は一気に大量得点を狙う戦法。


序盤こそ霜月リードだったが、周囲を制圧した如月は強かった。


見事逆転で勝利したのである。


「負けた~。勝てそうだったのに~!」


悔しそうな霜月。


「確かに…端っこ取れば強いな!」


睦月も感心した様子。


次は葉月対師走。


序盤は師走リード。


「端っこ取ればいいんですわね?負けませんわ!」


強気の師走。


「……」


喋らない葉月。


試合結果は葉月の勝ち。


「何でですの?」


不思議そうな師走。


「……作戦…口に出しちゃダメ…。角抑えれば…周囲も簡単に…取り返せる…」


つまり、相手の作戦を読んで取らせて取り返す作戦を取った葉月が勝ったというわけ。


やはり葉月は曲者だ。



「晩御飯ですよ~!」


卯月が呼びにきた。


いつの間にかそんなに時間が経ってたのか…。


昼寝恐ろしや~。


夕飯はカレー。


台所の窓から夕日の光が入って、卯月が赤く照らされている。


西日は表情を柔らかく見せる。


卯月の顔がいつもより何となく明るく見えた。



食事後、シャワー浴びていざ就寝。


「私もあなたがたと一緒に寝なくてはいけませんの?」


師走が言った。


まあ、女の子だし…。分からなくはない。


「部屋が無いから…我慢して…」


俺が言った。


寝室として使えるのは二部屋だけ。


「あっ!ソファーで良ければ!」


「お断りですの…」




草木も眠る午前2時。


寝れない…。


昼寝の所為だろう…。


…どうしよう。


仕方ない…。


気分転換に外にでも…。


もう雨は止んでいた。


みんなを起こさないようにそっと本殿を出た。



俺は何となく賽銭箱の方を見た。


「ん?誰かいる…?」


暗くて顔は見えないが、こんな時間に参拝客はおかしい。


俺は陰からこっそり様子を見た。


そいつは、辺りを見たあと、賽銭箱を開けた。


「おい!何だ貴様はっ?うちの賽銭箱に何か用か!?」


恐怖心を捨て俺は叫んだ。


そいつは驚いて逃げ出した。


「待て!逃がすか!石ころストライク!」


神社には小石が敷き詰められている。


俺はそれを全力で投げた。


「痛っ!」


見事足に命中したらしく、そいつは速度を落とした。


すぐに追いついてとっ捕まえた。


「さて、何してたか言って貰おうか?」


「誠…ちょっと落ち着いて…」


聞き覚えのある声がした。


「あっ…母さん!?」


母親だった。

考えて見ると賽銭箱開けられるのはうちの人間だけだよな…。

3重に鍵かかってるし…。


「何してんだよこんな時間に!」


「えっと…あの…お父さんには言わないでね!」


説明を聞いた。


へそくりを賽銭箱に隠したんだとか…。


「でも、前に隠したやつが無いのよ…。誠使った?」


「使わない!」


と返事しながら心当たりが…。

あいつらが召喚した道具や食材の費用って確か…うちの…賽銭箱の中身だったような…。


「そう…。まあいいわ。お休み誠」


「うん。お休み…」


賽銭箱にやたら大量のお賽銭が入っていた理由がわかった…。


俺はこの直ぐに寝た。

暦通信~えくすとら・すて~じ~



日溜 師走

ヒダマリ シワス


お嬢様口調。

威張る。


師走の言われ~


年の暮れは師匠ですら走りまわるくらい忙しい月。

よって「師走」。




し:私、威張りましたか?


ま:口調の所為で威張ってるよいに聞こえるの~。


し:まあ、私には関係無いことですわ!


ま:あるよ!


し:…これから頑張って直す!いや、直さないけど。


ま:直せー!適当なこと言うなよ…。


し:私はこれから寝るのですわ。あ、少しなら夜の相手をしてあげても構いませんわよ?


ま:うるさい!さっさと寝ろ!


し:怒られてしまいましたわ…。


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