洗脳してニートになりたい
その日も、はじめての村は平和だった。
俺は、村長(大勇者)との激戦の後、
洗脳した村長に衣食住をすべて貢がせ、
奪い取った村長の豪邸の寝室でごろごろしていた。
掃除洗濯は当然やらせ、
一日三回の食事とおやつも用意させる。
退屈になると、
「なんか面白いギャグやれ」
と無茶振りをし、
スベったらやり直しを命じる。
「わかったのじゃ!ショートコント神々の戯れ!」
村長が剣をかかげた瞬間、空気がざわついた気がした。
嫌な予感しかしなかったので、俺は全力で止めた。
……話を戻そう。
ついでに、村娘の中から
俺のハーレム候補を選出する作業も命令していた。
現在は第二次書類選考まで進んでおり、
最終選考はオーディション形式で、
一人ずつ俺に自己アピールさせる予定だ。
……アイドルグループを作るみたいで、なかなか楽しい。
まあ、俺専用のアイドルだけどな。ぐふふ。
さすがにゴロゴロにも飽きたので、村を散歩することにした。
最近、まったくレベル上げをしていない。
理由は単純だ。
クソ女神への、ささやかな反抗である。
あいつは魔物を全滅させるために、俺を転生させている。
だから、あいつが喜びそうな行動は、極力したくない。
このまま村に引きこもっていれば死なないし、
死ななければ、ムカつくクソ女神に会わずに済む。
完璧な作戦だ。
自分で自分を褒めてやりたい。
村の中央広場には、物々交換の露店が並んでいた。
干肉、ドングリ、キノコ、貝。
土器や毛皮の服まである。
……縄文時代かよ。
内政チートで稲作とか機織りとか教えてやろうかと思ったが、
斧やナイフなどの石器は、勇者の剣で代用しているらしく、
誰も困っていないようだった。
勇者の剣で山菜を刻んでいる光景を見た時は、
さすがに少し引いた。
その時だった。
「ぐわあぁっ!!」
「ヒィイッ!助けてくれぇぇ!!」
悲鳴が広場に響く。
視線を向けると、村人たちが魔物に襲われていた。
【なんでも鑑定】
オーク(魔王)Lv99。
……どう見ても猪だが、魔王らしい。
Lv500だったはずの村人たちが、なぜ苦戦しているのかと思ったが、
すぐに思い出した。
俺が一度、村人を皆殺しにしたせいで、
全員Lv1に戻っているのだった。
一方の俺はというと――
現在――Lv50000。
オークを倒せば、さらにレベルが上がってしまう。
だが、村人が死に戻りしてチート強化されるのは、
さすがに見過ごせない。
「勇者ビィーム!!」
額の宝石が閃き、
灼熱の光線が一直線に走った。
オーク(魔王)と、
――その前に立っていた村人ごと、消滅。
……やっちまった。
仕方がない。
今後は気をつけよう。
村を見回すと、あちこちにオーク(魔王)が入り込んでいた。
中には、
ウリオーク(大魔王)Lv999
なんてのもいる。
見た目は完全にウリ坊で、めちゃくちゃ可愛い。
なのに親の猪より強いってどういう理屈だ。
可愛いは正義、ということなのか?
村の入口に立つ、看板係の村人は、
すでにボコボコにされていた。
このままでは、
村人が無限にチート強化されてしまう。
……仕方ない。
俺はため息をつき、剣を握った。
こうして俺は、
村の周囲にいる魔物をすべてLv1にするため、
魔物を皆殺しにすることにしたのだった。
……クソ。
結局、女神の思う壺だ……。




