表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界の住人が皆チート過ぎてチートがチートになってない件について【リメイク版】  作者: よしみん
第四章 女神激戦

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

49/60

女神の罠

シロが裏切った。


そして、ほとんどの国民が女神の手に落ちていた。


その事実が、頭の中で何度も何度も反響していた。


はじめての村。


あの時もそうだった。


女神に操られた村人達に囲まれ、追い立てられ、居場所を奪われ、ただ怒りと屈辱だけを胸に抱えて立ち尽くすしかなかった。


あの時、自分の中で何かが決定的に変わったのを覚えている。


《クソ女神、いつか必ずぶっ殺す》


あの時、確かにそう叫んだ。


その声が今、脳の奥で何度も何度も繰り返されている。


《クソ女神、いつか必ずぶっ殺す》

《クソ女神、いつか必ずぶっ殺す》

《クソ女神、いつか必ずぶっ殺す》


怒りが喉の奥までせり上がってくる。


視界が熱い。


拳を握るたび、骨が軋む音がした。


俺が怒りに震えている、その間にも、状況は悪化していた。


空母の上空。


そこへ、異様な影が次々と集まってくる。


「「「フハハハハハ!ワレワレハ!メガミサマノタテ!エンジェル!メガミサマノテキ!ホロビヨ!!」」」


何なんだ、こいつら。


ハゲ頭に、申し訳程度のように天使の羽を生やし、上半身は異様に鍛え上げられた筋骨隆々のおっさんどもが、空中で隊列を組んでいた。


天使というより、悪夢だ。


神々しさなんて微塵もない。


ただ、気持ち悪い。


本当に人間なのかこいつら?


「「「クラエェ!! カミノサバキィイイイイイ!! カミカゼアターーーーク!!」」」


ズゴゴゴゴゴオォーーン!!!!


叫んだ瞬間、そいつらは頭から真っ逆さまに落ちてきた。


羽で舞うでもなく、神々しく光るでもなく、ただの全力頭突きである。


「「「うわっ!!」」」


俺達は咄嗟に飛び退いた。


甲板に激突した天使(エンジェル)の頭部が、鉄板を凹ませる。

頭蓋骨どうなってんだよ。


しかも一体や二体じゃない。


次から次へと、空から狂ったように降ってくる。


避けても避けても終わらない。


その上――


バシュッドゴーーンッ!!


近くの駆逐艦からミサイルが飛来し、俺達の周囲で炸裂した。


「「「うわぁぁぁああああ!!」」」


爆風が国民ごと俺達を吹き飛ばす。

甲板を転がり、龍肉の皿や酒樽が宙を舞う。


「ミーのミサイルを勝手にユーズするなニャーーー!!」


リーペが尻尾の毛を逆立てて叫んだ。


怒っている場合じゃないが、確かにそうだ。

完全に艦隊システムまで乗っ取られている。


「うおっ!?何だ、こいつら燃えはじめたぞ!?」


爆炎に巻かれた国民達が、そのまま火だるまになって立ち上がる。


それだけでも異常なのに、さらに最悪だったのは、その炎が周囲の人間に次々と燃え移っていったことだ。


「「「うおぉおおお熱い!熱いぃぃぃィイイイイイイ!!」」」


「こっちに来るな!うわぁぁあ!土下座フィールド!!……!? 土下座が効かないだと!?」


佐藤Bが叫ぶ。


火に包まれた国民達が、泣き叫びながら、それでもこちらへ向かって突っ込んでくる。


痛みで正気を失っているのか、あるいは最初から狂っているのか、もう分からない。


空からはエンジェルの頭突き。

横からはミサイル。

船上では燃える国民達の突進。

海に逃げれば、サメの大群。


完全に包囲されている。


「空からは特攻兵、船上は火責め、海に逃げればサメの大群……」


田中だけは妙に冷静だった。


「考えたのが女神かシロさんかは分かりませんが、軍師としてはかなり優秀ですね」


褒めてる場合か。


だが、その分析は間違っていなかった。


この場の全部が噛み合いすぎている。

偶然でこうはならない。


鑑定で国民達を見る。


すると、見慣れないスキル名が次々と浮かんだ。


【超燃えやすい体質】

【土下座無効】

【痛覚麻痺】

【恐慌伝染】

【対爆風適応】


見たこともないチートスキルばかりだった。


「この前調べた時には、こんなチート無かっただろ……!」


つまり、あの後から追加されたのか。


いつだ?


どこで?


答えは一つしかない。


全部、女神の仕込みだ。


「お前ら!火魔法は使うな! 佐藤B!そいつらに土下座は効かない!」


俺は怒鳴った。


「【なんでも食べちゃいますわ】……あっ、ミミのチートも効かないみたいですわっ!」


ミミが珍しく焦った声を上げる。


「様子を見るに、未確認のチートスキルがまだ多数ありますね」


クルゥリーが短く言った。


「私の【占術】が封じられているのも、おそらくその影響?」


全て、手の内だったということか。


こっちが女神を追い詰めていたつもりで、実際は逆だった。


この状況そのものが、あいつの罠だった。


「チクショウ……クソ女神め!!」


怒りが限界を超える。


今すぐあの顔を叩き潰してやりたい。


「エーコ!! 早くクソ女神を鏡で消し飛ばせ!!」


俺は叫んだ。


「確証はないが、あいつを消せばこいつらのチートも消えるかもしれない!」


「分かったー!まかせて!」


エーコが鏡を構える。


その髪が、太陽の光を浴びて燃えるように赤く染まった。


鏡面に光が集まる。


眩い輝きが一点に圧縮され、次の瞬間、一直線に女神へと撃ち放たれた。


同時に、俺も叫ぶ。


「ついでに神器ゴッドコアも頂きだぜ! 食らえ!勇者ビィィィーム!!」


俺のビームもまた、女神とその背後の力の核へ向かって突き刺さる。


これで終わる。


これでクソ女神も、もう二度と復活できない。


そう思った。


『ふふふっ……かかったな!!』


女神が笑う。


その直後。


『ぐっ……ぐあぁぁぁあああーーっ!!』


光の奔流に飲まれ、女神の姿がかき消える。

同時に、神器ゴッドコアも砕け散った。


やった。


そう思った、その瞬間。


「これで、天使(エンジェル)や国民達も無力化されて――」


「「「カミカゼアターーークゥ!!」」」


「「「熱い!熱い!熱い!アツイ!アツイィイイイイ!!」」」


「……は?」


何も、変わっていなかった。


天使(エンジェル)達は相変わらず空を飛び、狂ったように頭から突っ込んでくる。

国民達も燃えたまま走り、叫び、こちらへ襲いかかってくる。


チートが消えていない。


「んな!? チートスキルが消えてない!?」


その時だった。


頭の中に、冷たい声が直接響いた。


《天高原架は女神から解放され、全てのチートスキルを失いました。Lvが1になりました。勇者の剣は青銅の剣に、勇者鎧は青銅の鎧になりました》


「はっ!? 俺だけ!?」


状況を確認する。


握っていた剣が軽い。

いや、違う。


軽いんじゃない。弱い。


見れば、勇者の剣は鈍くくすんだ青銅の剣に変わっていた。

鎧も同じだ。


勇者装備じゃない。


ただの、安物の初期装備だ。


「……アタイ、Lv1になってしまいました」


エーコの声が震える。


振り向くと、彼女もまた呆然としていた。


「なっ……!?」


俺とエーコだけ?


なんでだよ。


どういう理屈だ。


女神を倒したのに?

ゴッドコアまで壊したのに?


何も終わっていないどころか、俺達だけが弱体化した。


理解が追いつかない。


だが一つだけ、はっきりしていた。


俺達は、女神の罠に完全に嵌められたのだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ