表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界の住人が皆チート過ぎてチートがチートになってない件について【リメイク版】  作者: よしみん
第四章 女神激戦

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

46/60

スルガ天空の塔

俺達のいる超大艦隊の上空には、信じられない光景が広がっていた。


長い。


とてつもなく長い塔が、雲の中から海へ向かって伸びている。


塔は途中で崩れ、海と雲のちょうど中間あたりで宙に浮いたまま止まっていた。


本来ならば、重力に引かれて海へ落ちているはずだ。


だが落ちていない。


まるで、何かに支えられているかのように。


俺はしばらく黙ってその光景を見上げていた。


おそらく、この塔は大陸の上に建っていたのだろう。


大陸が沈み、地面と接していた部分だけが崩れ去った。


だが、それならば塔全体が海へ落ちるはずだ。


それなのに、塔は雲の中で止まっている。


俺は雲をじっと見つめた。


そして、ある事に気づいた。


「なぁ」


俺は言った。


「あの雲の中に、女神がいるんじゃないか?」


「「「えっ!?」」」


皆が一斉に空を見上げる。


しばらく沈黙。


そして、おっさん勇者の田中が「あぁ……」と小さくうなずいた。


「なるほど」


「確かに、ダンジョンに邪神がいるなら、天空の塔に女神がいても不思議ではありませんね」


田中は腕を組みながら続けた。


「天空の塔には【天の使い(エンジェル)】という連中が占拠していて、最上層まで辿り着いた者は誰もいません。あの塔のボスが女神という可能性は、十分あります」


【天の使い】。


その言葉を聞いた瞬間、俺はある光景を思い出した。


はじめての村。


ゾンビのような目をした村人達が、俺達に襲いかかってきた。


狂った信仰。


あの連中も確か、女神を信じていた。


俺は奥歯を噛みしめた。


「間違いない」


「クソ女神はあの雲の中にいる

早く海から剣を回収して、

ぶった切ってやる!」


俺は骨付き肉を、雲に向かって突きつけた。



その時だった。


「塔から何か来ます」


クルゥリーが静かに言った。


彼女は目を細め、崩れた塔の先端を見つめている。


「何が来てる?」


「……分かりません」


「水晶が反応しなくなりました」


「は?」


クルゥリーの占術が?


あのクルゥリーが?


そういえば――


恐怖の大魔王を占った時も、未来の詳細が見えなかった。


あの時と同じだ。


占術が妨害されている。


女神がやっているのか?

それとも……


「敵機ロックオン!」


「チートシースパローミサイル!全弾発射ファイヤーニャ~!!」


次の瞬間。


駆逐艦の甲板から、無数のミサイルが空へ撃ち上がった。


ババババババババッ!!


シュゴォォォ!!


ドドドドドドドドドン!!!


塔の周囲で連続爆発が起こる。


炎。


煙。


衝撃波。


「ゲホゲホゲホ!!」


「煙で何も見えないですわ!」


空は黒煙で覆われ、視界は完全に遮られた。


全部倒したのか?


それとも――


「ダークウィンド」


クルゥリーが水晶を掲げた。


水晶から黒い光が放たれ、天へ昇る。


次の瞬間、上空の大気が渦を巻いた。


渦巻く黒い風が煙を吹き飛ばす。


……魔法だ。


そういえば、まともな魔法を見るのは初めてかもしれない。


皆チートスキルばかり使うからな。


勇者ビームも勇者装備の機能で、魔法とは違うし。


……いや。


そういえばダンジョンで田中が「マルチバリア」とかの支援魔法使ってたな。


すっかり忘れていた。


「オールグリーンにゃ~!」


「やったか!?」


空には――


何もいなかった。


「まだですポン!」


タヌーが叫んだ。


見ると。


塔の中から、ゾワゾワと影が這い出してくる。


人の形をしている。


……だが、人間の動きじゃない。



今さらだが――


……あれは敵なんだよな?


もし普通の人間だったら――


俺達はまた、大量殺戮をしている事になる。


「ミレニアムファイヤー!」


「クマソボンバー!」


「アイスバーン!」


「ソニックサンダー!」


「ロケットアニマル!」


おっさん勇者達が魔法を撃ちまくる。


炎。


雷。


氷。


爆発。


塔から溢れた敵の群れが次々と吹き飛ぶ。


俺も負けていられない。


「えーっと……」


「魔法ってどうやって使うんだ?」


「Lvアップした時に聞こえた魔法名を叫ぶだけです」


クルゥリーが風魔法を放ちながら言った。


「ウィンドホール!」


巨大な竜巻が発生し、敵の群れを巻き込む。


敵はぐるぐる回されながら一箇所へ集められていく。


やがて。


団子状の巨大な塊になった。


よし。


あの団子を狙うか。


「確か、Lv一万の時に覚えた魔法が……」


「クリム……?」


「クリムゾン?」


「あっ!」


思い出した。


「クリムゾンフレア!!」


一瞬。


光が走った。


次の瞬間。


ドゴォォォォォォォォォン!!!!!!


巨大な爆発が起こった。


空が、真っ赤に染まる。


塔の一部が吹き飛ぶ。


敵の塊は跡形もなく消し飛び、爆炎が空を覆った。


数秒後。


衝撃波が艦隊に到達した。


「うわぁ!!」


「きゃあああ!!」


「おおおお!!」


爆風で皆が吹き飛ぶ。


「火力高すぎだポン!!」


タヌーが怒鳴った。


「もう少し弱い魔法を使ってほしいポン!」


「兄ちゃん!」


佐藤Bも叫ぶ。


「高レベルでの魔法使用は下手すると味方殺しになるぞ!」


「ご、ごめん……」


怒られた。


「高火力でも効果範囲の狭い魔法を使うといいですよ」


田中が真面目にアドバイスしてくる。


「敵と味方の距離、敵の数、強さに合わせて使い分けてください」


なるほど。


魔法って、ただ強ければいいわけじゃないのか。


……思っていたより、ずっと難しい。



その時だった。


「架様!」


エーコが叫んだ。


「見てください!」


彼女は指をさしていた。


燃え尽きた塔の先端。


そこに残っていた雲。


小さくて最初は分からなかった。


だが。


目を凝らすと――


確かに見えた。


雲の中に立っていた。


光り輝く――


あのクソ女神が。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ