続シロちゃんとデート
「キングカケル様!こちらのお部屋へどうぞ!!」
ボクとかけるぴょんは、なぜか煌びやかな個室へ通されたピョン。
天井には巨大なシャンデリア。
床はふかふかの赤絨毯。
金縁の机と椅子がずらり。
レストランというより、王宮の晩餐会場だピョン。
「ずいぶん立派な部屋ですねピョン」
「……最近、万金札に顔を載せたら国民に覚えられちゃってさ。普通の席だと落ち着かないんだ」
苦笑するかけるぴょん。
ああ、そうだった。
今や彼は“キングカケル”。
外を歩くだけで騒ぎになる存在。
アシヲぴょんも、いつか大国を作るんだから、
ボクもこういう空気に慣れておかないといけないピョンね。
トントンッ。
「失礼いたします!お料理をお持ちしました!」
垂れた黒いうさぎ耳が印象的な兎魔人のウェイトレス達が入ってきた。
「みんなー!運んで!」
「「は〜〜いっ!!よいしょっ、よいしょっ!」」」
ドアの向こうから、三メートルはある巨大な何かが運び込まれる。
どーん。
机の上に置かれたのは――
超巨大人参。
しかも、腕と脚が生えている。
「わぁ〜〜!美味しそうピョン!!」
「……これは、なんだい?」
かけるぴょんの笑顔が凍る。
「人参魔人の丸焼きでございます!」
「丸焼き!?しかも魔人!?」
香ばしく焼けた表面から、じゅわりと橙色の肉汁が滲んでいる。
「ご安心ください。植物並みの知能しかございませんので、魔物以下の存在です」
「植物に知能あるのかな……?」
かけるぴょんが小声で呟く。
ウェイトレスはわざと彼の側に寄り、
胸元を強調しながら説明している。
むむ……侮れないピョン。
「かけるぴょん、太ももが一番美味しいピョンよ」
ボクはナイフで脚を切り分け、彼の皿に乗せた。
グシャッ、ボギボギ。
「うっ……生々しいな……」
かけるぴょんは慎重に切ろうとする。
「ストップピョン!!」
「え?」
「太ももはかぶりつくのが正解ピョン!」
彼は目を見開いた。
「……本気?」
「本気ピョン!」
周囲の兎魔人たちも煽る。
「さぁキングカケル様!」
「ガブリいっちゃってください!」
しばし沈黙。
ガブリッ。
「……!?」
かけるぴょんの目が見開く。
「うまい……!なんだこれ!人参の香りなのに肉の旨味がある!しかもジューシーで柔らかい!」
止まらない。
橙色の肉汁を滴らせながら、
夢中でかぶりつく。
「……すごいピョン」
ボクも太ももにかぶりつく。
甘い。
香ばしい。
罪深い美味しさ。
気付けば三メートルの巨体は骨(芯)だけになっていた。
「ぷは〜……もう入らないピョン」
「お腹……きつい……」
二人で椅子にもたれかかる。
そこへウェイトレスが現れた。
「あらあら……お苦しそうですね」
「え?」
「隣のお部屋にベッドをご用意しております」
「えぇ!?」
その瞬間。
他の兎魔人達がわらわらと現れ、
ボク達を軽々と担ぎ上げた。
「ちょっ、ちょっと待つピョン!」
「うわっ!」
ふかふかのベッドへ放り込まれる。
バタン。
扉が閉まった。
静寂。
「「…………」」
き、気まずいピョン。
かけるぴょんがこちらを見る。
あれ?目が凄く血走ってウサギみたいに目が赤くなってるピョン?
「シロ……ちゃん?」
近い。
距離が近いピョン。
だ、ダメピョン!
ボクは人妻!
アシヲぴょんという大切な旦那様がいるピョン!
かけるぴょんの手が、そっと近づく。
あわわわわ……!
その頃、廊下。
「クロセンパイ〜、成功かなバニー?」
「ラビコ!仕事中にバニーは禁止バニー!」
でもクロ先輩も言ってるバニー。
「……あっ。もう!とにかく!人参魔人はウサギが食べたら何ともないけど、普通の人間には超精力増強効果があるバニー!今頃きっと盛り上がってるはず!」
「センパイ、またバニー言ってますよ」
「きゃっ!仕事に戻るバニー!」
兎魔人達はピョンピョン跳ねながら去っていった。




