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異世界の住人が皆チート過ぎてチートがチートになってない件について【リメイク版】  作者: よしみん
第三章 王国建国

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邪神の秘密

「ちくしょう!倒しても倒しても湧いてきやがるぜ!」


佐藤Aの怒鳴り声が、血と硝煙の匂いが混ざる空気を震わせた。


俺たちはすでに一九一階。

息を吸うだけで肺が焼ける。足元は魔物の残骸でぬかるみ、踏み込むたびに嫌な感触が靴底を掴む。


「ノークールタイムのデスバトルだにゃ〜!」

ミミが笑うが、声は引きつっている。


「最下層に魔物の復活地点があり、倒しても即時再生成されています」

クルゥリーの冷静な分析。


「復活は通常六時間ほど必要ですわよ!? 一瞬なんて異常ですわ!」


異常。

確かに異常だ。


最下層にある神器――ゴッドコアの影響か?

それとも、もっと悪質な何かが裏にあるのか。


「ミミ!倒すな、喰って進むぞ!」

「はいなのですわ!」


「エーコ、【愛の鉄槌】で行動不能にしてくれ!」

「りょ〜かい!」


「他も不殺スキルだ!殺すな、止めろ!」


「「「了解!!」」」


方針を変えた瞬間、戦場の質が変わる。


斬るのではなく、掴む。

潰すのではなく、絡め取る。

焼くのではなく、転ばせる。


俺たちは魔物を殺さず、食い止め、抱え込み、押し潰し、吹き飛ばし、恐怖で動きを止め、強引に突破口を作った。


魔物の悲鳴と怒号。

牙が肩をかすめる。

爪が鎧を削る。

だが止まらない。


「おい兄ちゃん!あの階段で一九六階、最下層だ!」


階段は黒い塊に埋め尽くされていた。

魔物、魔物、魔物。


「突破するぞ!」


五人のおっさん勇者が前へ出る。

盾がぶつかり、槍が薙ぎ、拳が叩き込まれる。


一瞬、階段に隙間が生まれた。


「ミスターリョー!ナウにゴーにゃ〜!」


俺はその裂け目に身を滑り込ませた。

押し返す魔物の体温。粘つく皮膚。

腕でかき分け、膝で蹴り、無理やり進む。


そして――


一九六階に足を踏み入れた、その瞬間。


ベキッ。


胸の奥で、あり得ない音がした。


ベキベキッ!!


視界が白く弾ける。

激痛が脊髄を駆け上がる。


胸に、禍々しい破滅のオーラが突き刺さっていた。

黒い杭のような光。

魂を砕こうとする圧。


「ふん。妾を謀った罪は重いぞよ?」


声が二重に響く。


顔を上げる。


魔物の群れの奥。

そこに――邪神が二人、立っていた。


「……は?」


思考が止まる。


「何で邪神が二人いるんだよ!?」


一瞬、女神と邪神かと思った。

違う。


どちらも同じ気配。

同じ破滅の波動。


脳裏で全てが繋がる。


魔物が即復活した理由。

神器を放置して攻め上がれた理由。

倒しても終わらなかった理由。


二体。


一体が戦い、

一体が最下層で復活を高速化。


そして片方が倒れても、もう片方が即座に再生成。


永久機関。


「【破滅の楔】」


二体の邪神が同時に手を掲げる。


閃光。


黒い光線が、再び俺の胸を貫いた。


「グファッ!?」


膝が折れる。


ああ、終わりだ。


消えるのか。


この世界、クソだと思ってた。

でも、皆がいて――悪くなかった。


……あれ?


痛みはある。

だが、砕けない。


胸元で、勾玉が強く脈打っていた。


王の証。

赤い光が、破滅の楔を受け止めている。


「ぐっ……それは神代の祭器!忌々しい……!」


邪神が歪む。


「打ち砕いてくれるわ!」


手が伸びる。


その瞬間。


「そうはさせないよぉ〜!」


背後からエーコが飛び出した。


鏡を掲げる。


王妃の証。


水色の髪が、真紅に染まる。


灼熱の光が噴き上がる。

太陽のオーラ。


鏡が反射する。


光が二体の邪神を包む。


「バカな……太陽神の末裔か……!」


絶叫。


黒が、焼かれる。


破滅の波動が歪み、溶け、裂け、崩壊する。


「グアァアアアアア!!」


そして――消えた。


静寂。


魔物の群れが、嘘のように動きを止める。


「カケルたん!女神二人いたポン!って……あれ?いないポン?」


タヌーが転がり込んでくる。


「エーコ様が討ちました」

クルゥリーが淡々と告げる。


エーコの身体がふらつく。


「おい!」


俺は慌てて抱きとめた。


体が熱い。

呼吸が荒い。


髪は元の水色へ戻りつつある。


「だいじょぶ……ちょっと気が抜けただけ……怖かったぁ〜」


震えた笑顔。


汗が頬を伝う。


俺は、そっと頭を撫でる。


「……おつかれさま」


そして強く、抱きしめた。


胸の奥で、まだ勾玉が温かく光っている。


邪神は消えた。


だが、これで終わりではない。


二体いた。


ならば――


まだ、何かが残っているはずだ。


静まり返った最下層の奥で、

神器ゴッドコアが、微かに脈動していた。

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