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異世界の住人が皆チート過ぎてチートがチートになってない件について【リメイク版】  作者: よしみん
第三章 王国建国

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水上移動国家カケル王国誕生!

「キングカケル万歳!!」

「「キングカケル、バンザイ!!」」

「カケル王国は不滅なり!」

「「カケル王国は不滅ナリッ!!」」


空母の巨大な甲板が、ひとつの大陸のように震えていた。


艦隊は、もはや水平線そのものだった。

無数の船影が連なり、百万の歓声が波のように押し寄せる。

風すら熱を帯び、祝福の渦が空へと昇っていく。


勢いというものは恐ろしい。


気がつけば、この超大艦隊は「カケル王国」と呼ばれ、

俺は――王として即位することになっていた。


国土。

国民。

統治者。


三つが揃えば国家は成立する。

理屈の上では、確かにそうだ。


巨大ディスプレイに映る自分の姿を、どこか他人事のように見つめていると、

エーコが静かに歩み寄ってきた。


彼女は俺の首に、勾玉の首飾りをかける。


王冠ではなく、勾玉。


……古代日本かよ。


内心でツッコミを入れながら、歓声に押されて笑ってみせた。


「これより、キングカケル様の即位を宣言しますにゃ〜!」


リーペの声が、甲板全体に響く。


俺は青銅の鏡を手に取り、エーコへ差し出した。

この世界では、王女は鏡を持つらしい。

どう見ても三種の神器のノリだ。


少し照れた顔で、エーコがそれを受け取る。


沈んだ王都の王族の血を引くA家。

湖の底に沈んだ王城へ「結婚のためならエンヤコラー!」と突撃し、

神器を回収してきたあいつの姿を思い出して、思わず苦笑した。


……だが、らしい。


勾玉と鏡が揃った瞬間、儀式はそのまま結婚式へと移行した。


甲板には紅白幕。

提灯が風に揺れ、やぐらの周囲には露店の灯り。

空母の上とは思えないほど、祭りの匂いが満ちていた。


「ヤンデル時もジーザスな時も、フォーリンラブをオーケーしますにゃ?」


リーペが神父役として、妙な英語を混ぜながら問いかける。


「誓います」

「誓います」


俺たちは同時に答えた。


「ではぁ〜、誓いのディープキッスをゴーにゃ〜!」


……今、ディープって言ったな。


エーコと向き合う。


短いようで長かった時間。

女神への怒りも、このクソみたいな世界も、何一つ終わってはいない。


それでも。


エーコがいたから、ここまで来られた。


――ありがとう。


そう思った瞬間。


「お祭り……」


エーコが小さく呟いた。


「え?」


ドンッ!!


視界がひっくり返る。


「むぐっ!?」


押し倒され、次の瞬間には激しいキス。


いや、激しすぎる。


鼻まで塞がれて――息ができない。


「ちょっ……むぐっ……息……!」


声を上げようとしたその時、

駆逐艦隊から花火が打ち上がった。


ドォォン!!


爆音が歓声ごと飲み込む。


酸素が足りない。


視界が、ゆらぐ。


花火の光が、水の中から見ているみたいに歪んでいく。

耳の奥でゴボゴボと泡の音がした。

遠くで鳴る花火は、水中の雷のように鈍く響く。


……苦しい。


胸が焼ける。


暗い水の底。

重たい身体。

上へ、上へと伸ばした手。


――あれ?


俺、どこで溺れて……


遠くから声が聞こえた。


「……くん……架君!」


必死に呼ぶ声。


エーコに似ているけど、もっと遠くて、もっと昔の――


ふと、胸をよぎる。


もしかして。


これは――


死ぬ前に見るっていう、走馬灯とか……?


異世界転生なんて都合のいい話じゃなくて。


ただ沈んで。

落ちて。

流されて――


ここに辿り着いただけなんじゃ……。


意識が沈みかけた、その瞬間。


「ミスターカケル!?にゃあああ!!」


現実の叫び声が、頭の奥を叩いた。


「ストップにゃ〜!!」

「死亡確率90%です」

「顔が紫ポン!」

「おやめになってっ!」


四天王たちが駆け寄る。


だが――Lv1000億。


誰も止められない。


「【なんでも食べちゃうわっ】ですわっ!」


ミミが小さく口を開く。


ぱくっ。


一瞬だった。


エーコの姿が消える。


「グッジョブポン!」

「ミミちゃん、あっちに吐き出すポン」


「はーいですわっ」


ぺっ。


唾液でべたべたのエーコが、少し離れた場所にぽふっと現れた。


「えっ? あれ?

私、さっき架様とお祭りしてたはずなのに……?」


きょとんとするエーコ。


俺は咳き込みながら甲板に倒れ込む。


やっと肺に空気が戻る。

生きている実感が、胸の奥でじわりと広がった。


空には色とりどりの花火。

歓声は止まらない。


王即位と結婚式。


その中心で、俺は思った。


……この国、たぶん、めちゃくちゃになるな。


でも。


それでも――悪くない。


そんなことを思いながら俺はまた意識を手放した......。

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