表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界の住人が皆チート過ぎてチートがチートになってない件について【リメイク版】  作者: よしみん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

13/13

ヤンデレ無双

佐藤Bは体を小刻みに震わせながら笑っていた。


勝利を、確信している笑いだった。


――だが、それは長くは続かない。


「……ザケンナヨ?」


低く、乾いた声。


エーコはしゃがみ込み、

いつの間にかガラスの灰皿を手にしていた。


「あれ? お前……

なぜ、まだ生きているのだ?」


エーコには即死を無効にする

【蘇生&全回復】がある。


次の瞬間。


「ザケンジャネェヨォォォォ!!」


――ガンッ!!


「グハァ!!」

「ゲハァ!!」

「ゴハァ!!!」


エーコが、灰皿を振り下ろす。


一度。

二度。

三度――。


ガラスの灰皿の重く鈍い音と、肉が潰れる音が重なる。


佐藤Bは、

【殴った者を即死させる灰皿】で即死するたび、

次の瞬間には蘇生され――


そしてまた、殴られた。


「グハァ!! ゲハァ!! ゴハァ!!!」

「グハァ!! ゲハァ!! ゴハァ!!!」


終わらない。


死んでは殴られ、

蘇生しては殴られる。


地獄のループ。


「ごっ……ゴハァ!!

ごめん! ごめんなさい!!

グハァ!!」


涙と鼻水と吐血を垂れ流しながら、

佐藤Bは叫んだ。


「食べた肉は!!

ゴハァ!!

百倍にして返します!!

グハァァァ!!」


「……ヒャクバイ?」


ぴたり。


エーコの手が止まった。


「……ほんとぉ?」


その声は、

さっきまでの狂気が嘘のように、可愛らしい。


「は、はいっ!!

家に帰れば!!

マンモスの丸干しがあります!!

グハァ!!」


「……ふぅん」


エーコはにこっと笑い、

灰皿を下ろした。


佐藤Bは、

糸が切れた人形のように崩れ落ちた。




「わぁ〜!

すご〜い!

マンモスの丸干しだわぁ〜!」


俺達の前には、

三階建てのログハウスと――

それに寄り添うように立てかけられた、

巨大なマンモスの丸干しがあった。


体長五メートル。

逆さまの巨体。

四メートルはある牙が、地面に突き刺さっている。


「ぱくっ……

きゃあ、美味しい〜!」


つまみ食いしたエーコは、

嬉しそうに跳ね回り――


そのまま、

牙を掴んでマンモスを持ち上げた。


ぶんっ。


ぶんぶんっ。


ログハウスに、ガンガン叩きつける。


「や、やめてくだせぇ!!」

「我輩達の大事な家がぁ!!」


おっさん勇者達が、

青ざめて飛び回る。


……全員、生きている。

彼らは殴られて気絶しただけだった。


下手に殺せば、

チートを増やして復活しかねない。

殺さなかったエーコの判断は、正しい。


――心は、完全に折れているが。


「エーコ。

色々貰ったんだし、家くらい許してやれ」


そう声をかけると、

エーコは素直にマンモスを下ろした。


「「「あ、ありがとうございますぅ〜!!」」」



俺達は、

感謝するおやじ勇者達を背に、歩き出した。


このままログハウスで暮らすのも悪くない。

……一瞬、そう思った。


だが、引きこもれば、

また女神に目をつけられる。


結局、旅に出るしかない。


「エーコ……

武器、持ちすぎじゃないか?」


「いいのよ。

くれるって言ってたんだから」


エーコは、

メイス、鉄パイプ、釘バット、ゲバ棒を背負い、

ガラスの灰皿は封印の包帯でぐるぐる巻きにしてカバンへ。


そのうえで、

巨大なマンモスの丸干しを担いで歩いている。


……どんな腕力だ。


湖から吹く風が、

草を揺らし、

血と鉄の匂いを、

水と土の匂いへと薄めていく。


この状態で抱きつかれたら、

俺の背骨が先に折れる。


仕方なく、

左手に封印の包帯を巻き、

エーコと手を繋いだ。


エーコは一瞬きょとんとしてから、

こっちを見て、にこっと笑う。


頬には、

焼いた肉の炭が少しだけついていたが、

本人はまったく気にしていない。


「……ちゃんと、手。

離さないでね?」


指先に、

少しだけ力がこもる。


あぁ――

このまま平和に、

二人で旅ができたらいいな。


そんなことを思いながら、

俺達は歩幅を合わせ、

ゆっくりと歩いていくのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ