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異世界の住人が皆チート過ぎてチートがチートになってない件について【リメイク版】  作者: よしみん


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12/14

オヤジ狩りはおしとやかに

気づけば、俺たちは――

小汚い勇者たちに囲まれていた。


人数は五人。

見た目はただの浮浪者じみたおっさんだが、鑑定結果を見て、俺は眉をひそめる。


全員、勇者。


しかも、初めて遭遇するタイプの――

「はじめての村」の連中とは違う、本物の勇者だった。



佐藤A Lv999

鈴木 Lv2000

高橋 Lv3000

田中 Lv3500


そして――


佐藤B(大勇者) Lv100000


……いや、桁。


名前からして、まず間違いなく転生者。

しかも佐藤B、明らかに頭ひとつ抜けている。


Lv10万とか、正気じゃない。


他の連中も、どんなチートスキルを持っているかわからない。

下手に手を出せば、返り討ちもあり得る。


――まずい。


そう思った瞬間だった。


「グフフフッ……

その旨そうな肉、よこせよぉ〜」


「えっ――」


バキッ、バキバキッ。


「もぐもぐ……

なんか変な味するけど、まぁ旨いなぁ〜」


佐藤A――Lv999が、

エーコの持っていた猪の丸干しを奪い、

骨ごと、一口で食い尽くした。


……胃袋どうなってんだ。


「おい佐藤A!

我輩たちの分まで食うな!」


「一番下っ端のくせに生意気だぞ!

あとで“お仕置き”だからな!!」


「す、すみません先輩方ぁ〜……」


佐藤Aは慌てて頭を下げる。


その横で――

エーコが、ぷるぷると震えていた。


怖がっているのかと思ったが、違う。


「……あたいの……」


低い声。


「アタイの大事な……

猪の丸干し、返しやがれぇぇぇ!!」


ドゴォンッ!!


エーコの拳が、佐藤Aの顔面に叩き込まれた。


「グハァッ!!」


佐藤Aが吹き飛び、地面を転がる。


……A夫人の娘だけあって、

食べ物への執着が異常だ。


「佐藤Aが……やられた!?」


「ちくしょう!

仇を取ってやる!!」


鈴木が叫ぶ。


「チートスキル――

【アドレナリン・パーティー】!!」


次の瞬間。


半径10メートルに、異常な興奮が満ちた。


脳が焼けるように熱くなる。

鼓動が跳ね上がり、思考が荒れる。


鈴木のスキルは、

周囲にアドレナリンを充満させ、

鈍器を持つ人間のリミッターを強制解除する狂気の能力だった。


佐藤 : メイス

鈴木:鉄パイプ

高橋:釘バット

田中:ゲバ棒


そして――


佐藤B:ガラスの灰皿


……なんで灰皿。


俺の武器は剣。

エーコは今、素手。


完全に、おっさん側が有利。


正直――

俺でも勝てるかわからない。


身体が、強張る。


だが。


その時、エーコが動いた。


狙いは――

佐藤Aが装備していた、

巨大なメイス。


棒の先の鉄球に鋭い無数の棘。

どう考えても一番強そうな鈍器だ。


エーコはそれを掴み取り、

アドレナリンを――深く、吸い込んだ。


「エヒヒッ……

イヒヒヒヒィィィ!!」


――まずい。


精神的にヤバいエーコが、さらにヤバくなった。


空気が歪む。


裏スキル【恐気の空間】発動。

半径50メートル。


おっさん勇者たちが、一斉に震え出す。


あの佐藤B――

Lv10万の大勇者ですら、額に冷や汗を浮かべていた。


「キィヤァァァァ!!」


狂戦士と化したエーコが、

動けなくなった鈴木、高橋、田中を――

次々と叩き潰していく。


「これでもくらえぇっ!!」


佐藤Bが、ガラスの灰皿を投げつけた。


エーコはそれを避け、

即座に佐藤Bへ肉薄。


ドゴッ!!


……だが。


Lv10万。


一撃では、沈まない。


エーコは無言で、

何度も、何度も、叩き続ける。


それでも。


佐藤Bは――

ニヤニヤと笑っていた。


そして。


「くはっ……あ……?」


エーコが、突然血を吐いた。


避けたはずの灰皿が――

ブーメランのように戻り、後頭部を直撃したのだ。


佐藤Bが、勝ち誇った声で言う。


「引っかかったな。

我輩のチートスキル――

【殴った者を即死させる灰皿】」


狂気じみた笑み。


「それを食らえば、もう助からん。

――我輩の、勝利だ」

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