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第三話 旅と石と画家

 太陽に焼かれたアスファルトの匂いと、木々の緑がより濃くなる夏の日頃。昼はうだる暑さで、夜は熱のこもった地面や地表付近の温度から来る熱さで息苦しさを感じる日々。

月見里(やまなし)浅葱(あさぎ)は日課にしていた散歩を日差しが厳しさを極めたせいにして、外に出ることをやめていた。


 月見里浅葱は風景画も人物画も描くが、最も得意としているのは幻想画である。何よりも二枚から五枚にかけてのストーリー性のある絵画を描くことを得意としており、本人も学生時の進路では漫画家と悩んだほどだった。小説家は文章力に自信がなかったために諦めた。もともとストーリーを考え、空想するのも浅葱は好きだった。

 空想すること、ストーリーを考えることが好きになった理由を辿れば、幼いころから読んできた絵本、アニメ、漫画、小説に親しみがあったからだろう。浅葱の父はあまり小説などの本を読まない人間であったが、浅葱の母は浅葱の暇つぶしに創作に触れることを薦め、表現の仕方を教えてくれたのである。

 感性とともに感受性が成長していく過程で、浅葱は季節の匂いを感じることができるようになる。それは大人になっても擦り切れることなく、今現在も自然とその季節になったら感じることのできる特技だ。未発表であるが、嗅覚で感じたものを幻想画として描いたこともあった。作品として表現するくらいには浅葱は日本の四季が好きで、それを幻想のものに落とし込むことが好きだった。

 さて、そんな浅葱ではあるが三十五度越えの夏の気温には情緒も減ったくれもないと思っている。アスファルトの焼ける匂いどころか、人の皮膚が焼ける匂いがしそうな日差しだと恐ろしい想像が過るほどには珍しくくそったれとイライラしていた。


 屋敷の電気代はエジェオ曰く気にしなくていいとのこと。実際電気は通っているのだが、ライフラインのお金はどうなっているのかは、浅葱は把握していない。税金等も自分のものはもちろん管理しているが、エジェオはそもそも吸血鬼という人外だ。税金とかあるのだろうかと甚だ疑問であるが、エジェオが有耶無耶にして躱すのでかれこれ三年はもやがかかった状態である。そしてそれも四年目に入る。

 今日も昼から冷房を利かせた自室にて、夏バテからのだるさで浅葱はベッドで丸まりながら昼寝にしけこんでいた。レム睡眠に入り、眠りながらも意識が浮上してきたころ。


 こぽ。こぽぽ。


 水中でゆっくり息を吐き出すような音が聞こえた。環境音の動画やサブスクの音楽を聞いていたっけな、とぼんやりしていると次第に映像が目の前に浮かんできた。日の透き通る青の水中。光の束が波の動きに寄って右へ左へ、奥へ手前へと動く。心地いい空間だった。涼やかな青と、水中の音と、空気の音。綺麗だ、と。

 瞼を開ける。涼しい部屋の温度とスマートフォンから流れるラジオの話声にしばらくの間ぼんやりしていた。寝返りを打って意識をはっきりさせ、上半身を起き上がらせる。と、指先に固い感触があった。浅葱の視線が右手に行く。

 指先には、まるで水中から深海を見下ろしたような、透き通った青から深みのある紺色に染まった、手のひら大の石がぽつんとそこに置いてあった。

 浅葱には寝かけていた時にこんなものは置いていなかったと記憶している。もし置いてあったとしても枕元に置いているはずだし、ポケットに入っていた可能性を考えても、そもそも浅葱の持ち物にこんな綺麗な石はない。

 エジェオが置いていったのか、とも考えるが自分が寝入ったのは十時ごろだ。ベッドわきに鎮座しているデジタル時計を見ると今は十二時を少し過ぎた時分だった。どう考えてもエジェオが活動できる時間帯ではない。

 しばしの黙考。


「おれが記憶してないだけで持ってたのかな。夜、エジェオにエジェオに聞けばいっか」


 自分の記憶違いということに着地して、食欲がないながらも何かしら食べたほうがいいと思い、青い石を置いて浅葱はキッチンに向かった。

 今日のお昼御飯はエジェオがお中元に貰ったというお高い素麵だ。夜に食べる物というイメージのないエジェオは、最近夏バテで食欲のない浅葱に自由に食べてもらって構わないと譲ったのだ。お湯を大量に沸かすのは暑っ苦しいが、他のものに比べれば食べやすい食材なので、今回は素麺。


「つけ汁……めんつゆでもいい、けど。野菜取りたいな」


 がぱっ、と冷蔵庫の野菜室を開けて使えそうなものを確認する。

 葉野菜系はそのままでも食べれるけど、するっと食べれるものがいい。根菜は茹でなきゃだから少し手間。他にさっぱりいけるものと言えば。

 視線をさ迷わせて、葉野菜に重なり合って隠れていたトマト二つを見つけた。

 トマトに、めんつゆ。それだけでもよさそうだけれど、ハーブソルト少しとオリーブオイル混ぜてみるかと思いつく。以前見かけたつけ汁の作り方がこんなだった気がするが、詳細には覚えていない。が、味見しながら確認すればいいだろう、今日は面倒くさいしと早速浅葱は調理に取り掛かる。

 二束の素麺と茹でるための水を用意し、先に水だけ火にかける。湧くまでが時間がかかるので、その間にトマトのつけ汁作りを開始する。

 トマト一個を細かく切り、ボウルにめんつゆと水を加えて混ぜる。さっと混ぜたところで適宜味見をしながらハーブソルトとオリーブオイルを加えていく。一個で足りなければ追加でもう一個トマトを使おうかと思っていたが、一個が大きめなため一食分で使うのは問題なさそうだと判断。

 お湯が茹で上がったタイミングで素麺を茹でていく。あとは二分くらい経った後にざるに上げ、水洗い。浅葱が食べる時はいつもガラスボウルに氷水を入れて、そこに素麺を泳がせるスタイルだ。つけ汁も器に用意し、いつも食べるテーブルに置いていく。箸も飲み物も準備ができたところで席に着くと、向かいのテーブルに石があった。そう、ベッドに置いてきたはずの青い石だ。

「わあ」と思わず浅葱は声を上げるが、その声は非常に平坦だった。驚きすぎて逆に平常心に瞬時に戻ってしまったのである。数秒石を見つめ硬直したが、思い出しように浅葱は手を合わせ「いただきます」と食事を始めた。

 つけ汁のトマトのフレッシュさと、ハーブとオリーブオイルの香りが食欲をそそる。めんつゆの塩っ気がちょうどいい。大葉を入れてもよかったかもしれない、七味唐辛子はあうかな、そんなことを考えつつも今日はこれで完食したいなと無理なく素麺二束食べきった。一息つき「ごちそうさまでした」と口にした後、目の前の石に視線を移す。

 多分、ついてきている。見た目ただの石にしか見えず、先ほど出くわした存在であるからいつ実害が出てくるか分からない。


「もしや虫とかじゃないよな?」


 ふと湧いた疑問にすぐに石を手に取って確認する。石を裏返したり、指先で突いてみたり、いろんな角度から観察してみる。やはりただの石だ。石は中央に向かって紺色に色が深くになっているので石越しに向こう側が見えることはない。

 行く先々で現れるのなら、もしこの屋敷に置いていって外に出たと考えると。エジェオが関係しているものだったならまずいんじゃなかろうか。

 改めて考え、結局はその石をズボンのポケットに入れて過ごすことにした。洗い物も済ませ、エジェオが起きるまではしばらく目に入るところに置いておこうと心に留める。

 そこからはエジェオが起きるまで本を読んだり、スケッチブックに会員として参加している美術協会の来年に予定されている展覧会用の作品の下書きに取り掛かった。

 休憩しつつスケッチブックに描いていると、屋敷の中で物音がした。エジェオが起きて来た音だ。デジタル時計を確認すると時間は十九時を過ぎている。道具を置いて、ポケットに石を入れ直しキッチンに向かう。

 キッチン並びにリビングでは寝起きのコーヒーを飲んでいたらしいエジェオが、長い銀の髪を高く結い上げていた。


「おはよう、エジェオ」

「ああ、おはよう。今日は何か絵は描けたか」

「スケッチブックにラクガキ程度にね。流石に夏バテからまだ抜け出せてない」


 苦笑いを浮かべる浅葱。エジェオは顎に手を添えて考える素振りをする。


「何か食べやすいものを作ろう。冷たいものがいいんだろうが、恐らくずっと部屋にいたんだろう? それなら体が冷えてるから却下として、豚しゃぶサラダがあるといいな。主菜は海鮮系か、クエン酸……梅……うどん食べれるか?」

「梅のうどん?」

「ああ。温かいうどんだけれどいけるだろ?」

「うどんなら多分」

「よし、じゃあ準備する」


 椅子に掛けていたエプロンを手に取り、エジェオはキッチンに立つ。それにひな鳥の様についていき、エジェオに確認を取りながら食材を取り出す。レタス、キュウリ、絹豆腐、豚肉。うどんは冷凍のうどん麺と大根ととろろ昆布と梅干し。レタスやキュウリを切ったり、大根をすり下ろしたりは浅葱がやり、味付け、茹で、盛り付けはエジェオがおこなう。三十分時間を要して夕食は出来上がった。

 食卓に移動させ、朝作っておいた麦茶をガラスコップに注ぐ。胡麻ドレッシングを二人とも豚しゃぶサラダにかけたら手を合わせて「いただきます」。

 まずはさっぱりとした豚しゃぶサラダを口に運ぶ。胡麻ドレッシングのまったりとした味と、茹でられて余計な脂が落とされた豚肉、しゃきしゃきのレタスのさっぱり感が清涼感があっていい。生野菜だけのすっきりとした味だけでなく、食べ応えのある豚肉と胡麻の味があってこれだけで満足感がある。

 続けて大根おろしと、とろろ昆布、梅肉のうどんに箸を移した。リピートしている市販のうどん出汁は優秀だ。どんな具材とも合うのでエジェオは重宝している。浅葱もこの関西の好みに合わせた味はお気に入りで、このうどん出汁を使い始めてから出汁までちゃんと飲み干すようになった。そんなうどん出汁に大根おろしやとろろ昆布の相性は、言うまでもなくばっちりだ。火が通って透き通った大根おろしは甘みが出ていて、それでいてさっぱりとした味に、うまみの凝縮したとろろ昆布。そこに酸味で味を引き締める梅干し。するする入っていく美味しさに暑さも忘れる。

 夢中になって食べ進める。その間にエジェオが浅葱に聞いてきた。


「変わったことはあったか? とは言っても屋敷の中にいたのならそんな大きな出来事はなかっただろうが」

「あ、いや。屋敷の中にはいたけど変わったことはあったよ」


 ポケットに手を突っ込み、今日出会った青い石をテーブルに置く。それを見てエジェオは目を丸くした。


「昼寝から起きたら側に落ちてたんだ。エジェオ、これ何か知ってる?」

「ああ。私の物ではあるが、君の元に行ったなら浅葱が持ってると良い。あげよう」


 エジェオは軽く石を浅葱の方に押し返し、譲る意思を示す。その意を受け、浅葱は石をズボンのポケットに戻した。


「海みたいな石だよね。どこかの宝石商から買ったりしたの?」

「いや、父から譲り受けたものだ。父は友人から渡ってきたと言っていた」

「大事なものじゃんか……おれが貰ってもいいものなの」

「いいんだ。本人にその意思があるのならそれを尊重したいし、物の巡りはちゃんとそうなる様になっているものだ」


 浅葱にはエジェオの言葉がいまいちわからなかったが、彼が自分に気負わないように言ってきていることだけは分かったので、素直に受け取ることにした。



 その日からは浅葱はできる限り石を持ち歩くようになった。屋敷の中で出歩く間は部屋に置いておくのだがどうにも石は留守番ができないらしく、浅葱がコーヒーを取りにリビングに移動するだけでも、振り返った先のテーブルなどに石は当たり前のようについてきていた。浅葱についてくる行動は外出先でも同じだった。浅葱が石を家に置いていくと出先の鞄の中や服のポケットの中にいつの間にか入りこんでいる。

 まるで呪いの人形のような行動に、初めこそびっくりしていた浅葱だがエジェオやエジェオの父親やその友人が譲り受け続けていることを考えると、こういった習性を持っていることを知らないわけがないと思い当たる。そう思うとなんだか可愛い子供のように思えてきた。

 しかし、たとえエジェオが持っていたものだとしても(不可思議な存在が不可思議な物を持っていたとしても)どうして見た目が綺麗なだけの石がこんな行動をするのか。分からないのは些か据わりが悪い。


「というわけで、エジェオ。何か知ってることある?」


 晩御飯のあとの食休み中、石をテーブルに置いて浅葱はエジェオに訊ねた。エジェオは青いマグカップに淹れたブラックコーヒーを飲み、特に気にせず石について話した。


「私はこの石を海の石、と呼んでいる。しかし父はこれを渡り石と呼んでいた」

「わたりいし?」


 一単語だけをおうむ返しする浅葱にエジェオは頷く。


「人から人に渡っていくから渡り石。父の友人から父の手に渡ったのも比喩ではなく、石が自ら父の元に移ってきたことを言っている」

「この間言ってた本人の意思って、この石自身のこと言ってたわけか」

「ああ。実際、私もいつの間にか私の側に海の石があってね。父に相談したら石が私元に渡ったんだろうと。どうしてそのような行動をしているのかは分からないが、人から人に移るなら、行きたい場所があるんだろう」

「そう、なんだ」


 去年から今年にかけての年末年始の龍神、春に出会った天使。そして今。三年間の普通の、特に変哲もない日々から突如として人ではないものとの関わりが浅葱に増えていく。それを嫌だとも嫌悪だとも思わないのが今の浅葱だ。受容している部分もあるが、浅葱の中で目の前の現実への実感がモニター越しに感じてしまっている部分が大半だった。モニター越しのような、明晰夢を見ているような、そんな心地だ。ではなぜ、石に対して疑問を持ち、エジェオに聞くという行動をしたのか。映像を見て心動かされることはあるだろう、つまりはそういうことが浅葱にも起きたのである。

 しかしだからか、現実感のなさゆえにエジェオから話を聞いて多少の驚きはありつつも当事者としての実感は薄かった。


「おれでいいのかな。この屋敷から外出するようになったのも最近なんだけど」


 視線を落とし、指を絡ませ惑う浅葱。

 実際、浅葱が外に自主的に出るようになったのは去年の六月ごろだった。それまでの二年と半年間は美術協会関係で出ることはあっても、それ以外はずっと屋敷に引きこもっていた。食事のための食材はエジェオが夜にネットスーパーで注文して済ませていた。やっと外に出てきたきっかけは、たまたまネットで見かけたキッチンカーの移動カフェになんとなく心惹かれたからだ。その日からずっ落書きだけを描いていた日常に、久しぶりに季節の匂いと色が吹き込んだのだ。

 不安に思う浅葱に対し、エジェオは何も心配はしていないようにあっけらかんとフォローした。


「最近でも人とよく関わるようになっただろう。それだけで進歩だし、海の石もそれを感じ取って君に渡ったのかもしれない。私も父も外出し、人と交流していたが石が渡ったのは自分のところに来てからずいぶん時間が経ったあとだ。野良猫が家に居ついたくらいの感覚でいいと思う」


 そう言ってエジェオはコーヒーを飲んだ。


「そういえば、石の中は覗いたか?」

「いや、少し離して石越しにリビングを見たくらいで覗くまではしてない」

「じゃあほら、覗いてみるといい」


 テーブルに置いた石を手に取る。視界一杯になる様に至近距離で海の石を覗く。

 視界は水面から暗く底の見えない海を見る様に広がる。浅葱としては正直覗いたところで見た目通りの石の模様しか見えないと思っているのだが。と視界の端に影が映った。なんだろうと思うまでもなく、次第に影は奥へ手前へ左右から目の前を横切っていく。それは魚のようでもあり、エイのようでもあり、イルカなどの動物にも見えた。

何がおかしいといえば、浅葱は石を覗きこんでるだけなのだ。つまりはこれは石の中の映像なのである。

石から目を放し、浅葱はエジェオを見る。吸血鬼は珍しく面白そうに笑って言った。


「私が海の石と言ってる所以(ゆえん)だ。それは海の記憶を宿している」

「海の記憶? 誰からの視点なのさ」

「さあ。私は特定のものの記憶は見れるが、それが誰なのかは率直に言って見せている物体の記憶としか言えない」


 エジェオの言葉に浅葱は訝しむ。


「初耳なんだけど、その能力」

「前に一度言ったぞ。と言っても一緒に暮らし始めて最初の頃だから、君としてはあまり覚えてないか。あの時の浅葱はだいぶ危うい状況だったからな」


「ああ、それなら……」エジェオと出会った当時のことを言われては浅葱は納得するしかない。自分でもあの頃は彼と出会わなければどうなっていたかも分からなかった。


「でも、エジェオの能力でだけじゃなく、おれにも見えたのはなんでだろう」

「私は海の石そのものが記憶の塊だからだと思っている。ただ、海は広い。縦にも横にも。海から記憶を取り出したとしても、海の中の一部の記憶でしかないだろうな」

「そっかぁ」


 話を聞き終え思うのは、当初の謎は解決したが新たな謎が増えただけという非常にもやもやする結末だということだった。


                   〇


 浅葱が眠り、書斎での読書で夏の夜の時間を過ごすエジェオは、コトン、と書斎の机にやってきた訪問者に本から視線を向けた。机の中央にいたのは浅葱の元に渡った海の石だ。


「こんばんは。浅葱が寝たからこちらに来たのかな」


 石は答えない。ただ覗くまでもなく、石の中で泡が浮き上がるのか見えた。


「彼が次の船なんだね。君はどこに行くつもりなんだ?」


 エジェオの声が静かな書斎に飽和する。彼の耳に海の中の音が聞こえ始める。エジェオはゆっくりと瞼を閉じた。瞼の裏が次第に明るい青が広がり、光の筋が天井から降り注ぐ。

 これはこの石の記憶だ。たとえ触れることや覗き込むことが必要な動作だとしても、ただ視界に入れ、受けいれる姿勢を作れば見えてしまうのがエジェオの眼の能力だ。

 それでもエジェオには、この海の記憶が何を指し、何を目指しているかは分からなかった。こうして記憶の塊として形に残ってるには理由があるのだろうが、父も、父の友人もついぞ分からずエジェオに渡り、今度は浅葱に渡っている。

 瞼を開けて、泡を浮かせる石を見つめる。


「浅葱の元に居たら、私にも分かるかな」


 石は答えない。紺碧の海はただ揺蕩うだけだった。



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