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待ち合い

作者: aristotles200

大きな病院の待ち合い

ずっと座っている

気がつけば

大きな病院の待ち合いに

居る

いつから

ここで座っているのか

記憶がない


午前中は

たくさんの人で溢れかえる

午後から少なくなり

夜は、誰もいなくなる

ずっと

一人で座っている


誰からも声をかけられず

声をかけることもない


何故、ここに座っているのか

呼ばれるのを待っている

幾日、幾月、幾年と

誰かを待ち続けている


待ち合いのロビーには

グランドピアノが置かれている


ガラスの天井から

月の見える時

人のいない

ロビーでピアノを弾く


たどたどしい

戦場のメリークリスマスの

旋律が

待ち合いに響く

夜が明け

再び、待ち合いに座る


ある夜

ピアノを弾いていると

初めて声をかけられる


少女はいう

美しい音楽ね

ああ、そうだね

いつも、あなたが弾いているの

ああ

私ね、ずっと入院してるの

でも、もうすぐ終わるみたい


ああ、そうみたいだね

あなたは誰

わからない


お迎えって、あなたなの

わからない

ふーん

少女は消えた


ある夜

ピアノを弾いていると

少女が現れる

私、もう行くから

ああ、そうだね

あなたは、ずっと

ここに居るのね

ああ、そうみたいだね

さようなら

さようなら


そうして夜が明け

少年は

再び、待ち合いに座る

誰かを

待ち続けている

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