表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

65/67

Episode 65

 どうしよう。このまま馬車の中にいて、さっきの攻撃がまたきたら、馬車ごと潰されてしまうかもしれない。かといって、闇雲に外に飛び出すのも危険だろうし。私は身を屈めて大きくひしゃげた天井を見上げた。

 きっと、遠隔攻撃だよね。風魔法で石とかを飛ばしてきたのかな。だとしたら、これだけ天井が損傷してるってことは、かなり大きい石のはずだ。風魔法の使い手だとして、そんな大きな石を飛ばせるってことは、相当な実力者だと思っておいた方がよさそうだ。

 ドドドドッと馬車の外にいくつもの足音が近づいてきたと同時に、激しく剣がぶつかり合う音が聞こえてきた。身を屈めたままそっと窓の外を覗くと、護衛の人たちが武装した集団に応戦している。遠隔攻撃だけじゃなく、直接襲撃するための準備もされていたようだ。きっと、あの青果店の荷車の荷崩れも、仕組まれていたに違いない。襲撃者たちは十数人はいるだろうか。今日の護衛の人たちは五人。倍以上だ。護衛の人たちはパトリックが選んだ精鋭揃いとはいえ、腕が立つ襲撃者が倍以上となると、制圧は簡単ではないかもしれない。


 ――ドン!!

 再び馬車に衝撃が走り、天井がさらに大きくひしゃげ、グラグラと馬車が大きく揺れた。身を屈めていなかったら、頭が潰れていただろう。粉塵が舞い、パラパラと天井の欠片が落ちてくる。次の攻撃が来たら、もう馬車はもたない。恐怖で身体が震えてくる。ああもう、こんなところで死ぬわけにはいかないでしょ!どうにかすることを考えないと!私は震える手をぎゅっと握り、自らを奮い立たせた。


「イライザ様、ご無事ですか!?」

 外から護衛の人が呼びかける声。

「はい!私は大丈夫です!そちらは!?」

「目下応戦中です!馬車を取り囲んでいる襲撃者たちの制圧は間もなくですが、まだ遠隔攻撃をしてきている者の姿を捉えられていません!もう一度攻撃が来たら危険です!イライザ様、馬車から脱出はできそうですか?」

 ドアを確認すると、幸いまだ開けられそうだ。

「ドアは開きそうです!ドアの前を空けていただけますか?」

「承知いたしました!」

 防御魔法を展開しながら外に飛び出せば、王城の中まで逃げ込めるかもしれないけど、私を狙った遠隔攻撃が、護衛の人たちに当たってしまうかもしれない。

「私が外に飛び出したら、私から離れてください!遠隔攻撃は私を狙って飛んできます!あなたたちは、周りにいる襲撃者を完全に制圧してください!」

「ですが、それではイライザ様が…!」

「私は防御魔法を使えますから大丈夫!私の退路だけ確保していただければ、防御魔法を展開しながら王城に駆け込みます!時間がありません!私の指示に従ってください!」

 さっきまでの攻撃の間隔から考えても、次の攻撃はもうすぐのはずだ。グズグズしている暇はない。

「し…承知いたしました!背後は私たちが必ずお守りいたします!」

「はい!お願いいたします!」

 王城の門の目の前でこれだけ大規模な襲撃があれば、王城を警備している騎士団が駆けつけてくるはず。パトリックにだって、すでに連絡がいっている可能性も高い。だとすれば、門さえ通過できれば、きっとすぐに保護してもらえるだろう。


 意を決してドアに手をかける。

「出ます!」

 叫ぶと同時にドアを開け、防護結界を展開しながら馬車の外に飛び出す。

 その直後、ドォン!と背後の馬車に攻撃が飛んできた。――本当に間一髪。馬車の破片が結界をかすって飛んでいく。護衛の人たちに大きな破片が当たらないことを祈りながら、私は彼らが身体を張って空けてくれた門までの道を全力で走った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ