表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

61/62

Episode 61

 あれから一週間。

 第二王子に突然接触された次の日には、私の妃教育のための部屋はパトリックの執務室の向かいの部屋に移されていた。その部屋は元々資料室として使われていたらしいけど、あの日私が帰ってすぐに資料は別室に運び出され、妃教育のための机や椅子などが運び込まれたそうで、翌朝私が登城した時にはすっかり部屋は整えられていた。

「物理的なところもしっかりと対策をしておかないといけないからな。第二王子がこの階に来ることはほぼない。というか、この階は避けている。俺に会いたくないようだからな。まあ、会う度にあいつのメンタルを着実に削りにいってるから、無理もないが。この顔は便利だ。美形過ぎるおかげで、笑顔に凄みを乗せやすい」

 部屋が変わったことに私が驚いた顔を見せたとき、パトリックはそう言ってにやりと笑っていた。会う度に笑顔で第二王子を牽制してたなんて、やっぱりこの人は敵には回したくない。パトリックの顔になる前の沢渡部長の顔だって、笑顔で凄まれたら十分すぎるくらい怖かったと思うけどね。笑顔、見たことほとんどなかったけど。


 そんなわけで、あれから第二王子と顔を合わせることは一度もなく、私は妃教育と婚約披露パーティーの準備に集中できている。婚約披露パーティーも、あと一ヶ月ちょっとというところまで迫っていた。

 ドレスや装飾品は既に決定し、王城の衣装係さんたちが頑張ってくれている。

 会場の装飾や振る舞う料理などに関しては、パトリックのお母様、つまり王妃様が取り仕切ってくれている。それがこの王宮での慣例なんだそう。

 準備の過程で王妃様にお会いすることが増えたけど、王妃様はさすがパトリックの生みの親といった感じでとっても美しい。アラフォーとは思えぬ美魔女っぷりだ。パトリックと同じダークブロンドの髪も艶々で、20代と言っても通ってしまうのでは、と思うほど見た目が若々しい。まあ、イライザも相当な美女だし、さすが乙女ゲーの世界といったところ。顔面偏差値が高い方に振り切れている。そう考えると、本当に第二王子はどうしてあんなに平凡な感じなんだろう。そういう見た目問題も、第二王子がパトリックに劣等感を抱く原因なのだろうか。

 

 王妃様は以前パトリックが言っていた通り、穏やかで優しい方だ。私のことをとても気に掛けてくれるし、「イライザちゃん」と呼んで可愛がってくれている。ラブソニのパトリックルートでも嫁姑問題的なのは起こらなそうな雰囲気だったし、そこは安心できそうだ。

 それに、王妃様と仲良くなったことで、何故パトリックも第二王子も第三王子も王妃様の子なのに、王太子をめぐり支持派閥ができたのかも知ることができた。

「あの子たちもね、昔はとっても仲が良かったのよ。でも、教育係の影響であんなことになってしまっているのよね…。また、前みたいに仲良くしてくれるといいのだけれど…」

 兄弟の仲についてさりげなく聞いてみた時に、王妃様が溜息交じりに漏らしていた。

 どうやら、それぞれの教育係に就いた者たちが反目し合っていたせいで、自分が教育係を務める王子を王太子に、という思いが強くなり、現在の状態になってしまっているらしい。まあ、第三王子はまだ十二歳ということもあり、そこまで王太子に推そうという力は働いていないらしいけど、第二王子とパトリックは二歳しか歳が違わない。それもあってか、第二王子の教育係と、その家門が激しくライバル心を燃やしているようだ。


 国王陛下は周りの雑音に惑わされず、息子たちを公平に見て判断しているようだし、王妃様も三人の息子みんなを愛しているように思える。それなのに、周囲の大人の都合に振り回されてしまっている第二王子が、少し不憫に思えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ