表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

58/63

Episode 58

「あーもう!一体何なんですかね、第二王子!これまで何の接点もなかったのに!」

 パトリックの執務室。お茶を入れてくれた側近のイボンさんが部屋を出て行くなり、私はソファの背にぐでっともたれかかった。パトリックが私の向かいに置かれていたティーカップを持って隣に座る。隣に座るのはもうデフォルトなんだから、お茶も最初から隣に用意してもらえばいいんじゃないかな。

「妃教育で疲れていただろうに、災難だったな」

 自分だって執務で疲れているだろうに、パトリックは私を労うように頭を優しくポンポンと撫でた。

「どうやら、俺がイライザと婚約したことで、王太子の座はほぼ俺に確定だって流れになってるようだ。婚約披露パーティーが終わったら、立太子の準備を進めるという話が出てる。それで第二王子派が焦っているらしい。イライザにちょっかいかけて、何でもいいから醜聞を流して婚約破棄にでもなれば、俺を引きずり下ろせるかもしれない、とでも思ってるんだろう」


 ――はぁ?私があの第二王子と醜聞になるような事態になるって?そこまで脇が甘いつもりもないよ。イライザ見くびりすぎでしょ。そして第二王子は自分を過信しすぎ。あいつがパトリックに勝てる要素がどこにあるんだ。私が転生する前のイライザだって、絶対に第二王子なんて相手にしないだろう。

 私の盛大に顰めた眉間を、パトリックが笑いながら伸ばす。

「考えてることが丸わかりのイライザを見られるなんて、第二王子も少しはいい仕事するじゃないか。この表情は俺しか見られないものだからな」

 私が公爵令嬢の仮面を脱げるのはパトリックの前だけ。確かに他の人の前でこんなに表情豊かに振る舞うことはない。だからって、そうやってすぐからかうんだから。私は少しむくれて、パトリックの手をどかす。笑っていたパトリックだが、すっと表情が変わった。

「焦っているんだかなんだか知らないが、イライザにちょっかいをかけようとした罪は重い。さっきも嫌な思いをさせて悪かった。これからは王城内でもイライザが一人になることがないように配慮する。ああいう考えが浅い奴らは、何をしでかすかわからないから、用心するに越したことはない。王城以外の場所でも、絶対に一人にはならないでほしい」

 本気で私を心配している顔。私も表情を引き締めて頷いた。

「わかりました。気をつけます」

 アランの時も、アスター帝国の時も、ゲームとはまったく違ったタイミングでハプニングが起こっている。そもそも、イライザとパトリックが婚約するなんて展開は、ゲームのどのルートにもなかったんだから、違って当然だ。そして、ここはラブソニの世界とはいえ、今の私たちにとっては現実。ここで自分たちの幸せを掴まなくちゃいけない。

「それにしても第二王子にだって、婚約者候補がいるはずですよね?きっとそのご令嬢たちも、有力な家の方々でしょう?わざわざ私たちにちょっかい出すんじゃなくて、そっちと話を進めて地盤を固めればいいんじゃないですか?」


 ラブソニの設定で、パトリックはじめ、王子たちに幼い頃から婚約者がいないのは、成長した時の情勢に応じて最適な婚約者を選べるように、という背景だと説明されていた。だからパトリックルートでは、以前あったようにアスター帝国の皇女との婚約話が持ち上がったりする。

 そして、これはゲームでは何も触れられていなくて、私も妃教育を受けるようになってから知ったんだけど、王子たちの婚約者候補としてリストアップされている令嬢たちが存在するらしい。実はイライザもリストには入っていたそうだ。リアムという婚約者はいたけれど、そこは王家の力があればどうにでもなるということだったようなんだけど…。だいぶ強引だな。

「婚約者の後ろ盾くらいじゃ、第二王子が俺を押しのけて王太子になるのは無理だろうな。実力も評判も、何もかもが俺に劣るからな」

 パトリックがふん、と鼻を鳴らした。まあ、それは圧倒的にそうだよね。

「だから第二王子派はこっちの足を引っ張ろうと躍起になってるんだ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ